その2「玉神様は神としての威厳を示したい」
『Nocturne』での「ケガレオトシ」も終わりましたので(笑、未読の方はそちらもどうぞ☆)
ここからは本編の続きです。
そしていよいよ《玉神様》が大登場!!
その2「玉神様は神としての威厳を示したい」
--よくぞ参った、毛利の娘、そしてその従僕よ。我こそが……
「アー『コレ』が《玉神》。イチオー『神様』らしいケド、ドンウオーリーネ」
神棚に鎮座していたその「物体」が、威厳に満ちた声で名乗ろうとしたところをサラッと流したキイロ(@シャワー後、制服に着替え済み)に、側に控えていた大三島さんが「うわぁ、おひいさま無慈悲……」と小さく苦笑する。
だが、一方の宗春はといえばもう、あんぐりと開いた口が塞がっていない状態だ。
だって、目の前に「神様」と呼ばれる存在がいるんだよ!? ええっ……えええっっ!?
「ソんなタイしたモンじゃないカラ。ホラ、ジョジアニメとかに出てくる《マスコットヨーセー》みたいなカンジ?」
「いやいやいやいや、こんなでっかい《マスコット妖精》いないですから!?」
と、思わず宗春がツッコミ属性を発揮したのも仕方あるまい。
だってデカい! とにかくデカい! 小柄な大三島さんが横にいる分、余計にそう感じるのかもしれないけれど、でも高さは2m、横幅は3mを優に超えている。この《玉神の間》と呼ばれる地下空間の半分近くを埋め尽くす勢いだ!
そしてその形状--「身長」ではなく「高さ」と言ったのは理由があって、「神様」と言っても人の姿はしていない。その形は何と言えばいいだろう、緑の色合いといい、ふよんふよんとした感じといい、あの広島のゲーム会社が生んだ国民的落ちゲーの「落ちてくるヤツ」というか……あ、そういえば、三ツ矢学園の入り口にあった謎のオブジェとそっくりだ! こっちの方がでかいケド!
ちなみに、例の「落ちてくるヤツ」同様「顔めいたもの」もあるが、大きな目だけがあるのとは違って、「顔文字的な感じ」というか、実際今も「(´・ω・`)」って感じだ。最初は「(`・ω・´)」だったのに。きっと偉ぶった自己紹介がしたかったんだね……
思わず同情してしまいつつも、やはり困惑が収まらぬ様子の宗春に、見かねた大三島さんが苦笑しながら口を挟む。
「はいはい、おひいさま、さすがにぶっちゃけすぎですよ。少年困ってるじゃないですか。少しは順を追って話してあげましょーよ」
--うむ、では改めてこの我が……!
「いや、『お前』説明下手くそだし、ボクが説明するから。いいよね? 玉神」
--う……うむ……では、任せたぞ、大三島よ……
再び「(`・ω・´)」となりかかった玉神様が、サクッと出鼻をくじかれてまたもや「(´・ω・`)」な感じになる。こ、この巫女さんも充分無慈悲だな……
あと、そこは「巫女」だけに大三島さんの方が立場が下かと思えば、どうもそういうわけではないようだ。それどころか、さりげなくディスりまでしてるし、この二人(?)の力関係はどうなってるんだろう……?
そんな宗春の戸惑いを見透かしたように、人形めいた美貌の巫女・大三島さんはフフッとミステリアスな笑顔を浮かべて、説明を始めた。
「じゃあ改めて自己紹介するよ。ボクの名前は大三島鼎。この三ツ矢神社の巫女として、この玉神の見は……もとい『お守り』をしてるんだ。少し役目は違うケド、楓楽ちゃんも似たような存在かな」
(……って、今何か「ヤバげなワード」が出かかったような……?)
思わずドキッとなる宗春だったが、大三島さんは平然とした様子で説明を続ける。
「と言うのも、この玉神は本来は人間の姿にもなれない最下層レベルの神性のくせに、かなり『イレギュラー』な存在でね。色々手がかかるというか……。今後は--って、もうとっくに巻き込まれてるみたいだけど、キミにも関係してくる話なわけだし、そこんとこを今からかいつまんで説明しとくね」
--という前置きで、大三島さんが説明を始めたのは、この三ツ矢神社、そして三ツ矢学園の設立に関わる次のような内容であった。
(注:なお、ちょいちょい感想コメントが入ります)
古来、三ツ矢神社があるこの場所は山陽と山陰の「地脈」が交わる要所であり、本来の玉神は最上位クラスの神様がそれを抑えるための「重し」として置いた、ただの「玉石」だった。
キイロ「ヨーするに『ツケモノイシ』的なカンジ」
大三島「そこはせめて『要石』って言ってあげなよ(苦笑)」
その「玉石」が長い年月を経る中で次第に「神化」し、「自我」を持つようになってから、更に年月が流れた昭和××年--この神社の宮司の家系である毛利家に、《神気》を操る才能を持った男・元成が誕生する。
宗春「元成さんって言えば、三ツ矢グループの創設者で、この学園の創立者の!? しかも《神気》を操る……って??」
大三島「まぁ『不思議な力が使える』ぐらいの理解でいいよ。毛利の一族にはちょいちょい生まれるんだ。もちろん全員じゃないけど」
キイロ「ハイハーイ! キイロも使えるんダヨォ☆(ドヤッ)」
でもってそこから「色々あって」(大三島「長くなるから省略」玉神「ぐぬぬ……」)少年時代の元成が玉神の神体と出会い、交流を持つようになるのだが、そんな中でこの二人がお互いの「利益」のために密かに結んだ「密約」--それが、良くも悪くも全ての発端となる。
その「密約」とは、お互いの「夢」の実現に協力し合うこと--元成はこんなド田舎の神社の宮司で終わるのでは無く、ビジネスの世界で活躍することを望み、玉神はすっかり減少していた参拝客のV字回復、それもできれば「若い女の子」の増加を望んだ。
具体的な方法はこうだ。まずは玉神が《神力》の加護を与え、その力を元に元成はビジネス界に打って出る。そして成功を収めた暁には、三ツ矢神社をリニューアルするだけでなく、この土地自体を再開発する--まさにウインウインの計画だ!
宗春「ええ!? そんなのズルくないですか!?」
キイロ「んー、ズルって言うか『チート』?」
大三島「まぁ信者にご加護を与えるのは、洋の東西問わず神様の基本ということで」
そして計画の第一段階は無事成功。大学を卒業した後、広島市の大手商社に潜り込んだ元成はあれよあれよと頭角を現し、やがては会社自体を乗っ取ると更に事業を拡大、ついには一代にして今の《三ツ矢グループ》を創り上げた!
宗春「すごい……まさに立志伝ですね。ズルだけど(小声)」
キイロ「ノンノン、『勝てばカングン』デース♪」
大三島「……そういうトコも、元成さんそっくりだよね、おひいさま」
かくして50代にして会長職まで上り詰めた元成であるが、もちろん玉神との約束は忘れてはいなかった。それまでにも神社の整備をしたり、近くに社員用の保養施設を作ったりだけでなく、マスコミに神社をパワースポットとして紹介させたり、温泉を作ったりと女性参拝客増にも努めてきたのだが、ただ何せド田舎で交通の便が悪いために思った程にはうまくいかない。
宗春「……まぁ、広島市内から来るだけでも大変ですもんね。ここ」
大三島「かといって『地脈』の問題がある以上、この地から動くわけにもいかなくてさ」
いつしか玉神の不満はつのり、元成は焦りを覚えていく。神様はご加護を与えてもくれるが、同時に神罰をも下す存在だ。もし玉神の怒りを買えば、これまでのご利益が反転し、どんな不幸が降りかかるやも知れぬ。何か……何かいい方法は無いか……?
そんなとき、元成に待望の初孫が、それも三人立て続けに誕生する(キイロ「ワタシたちのコトね☆」)。そして全員女の子だった孫たちの顔を見た瞬間、元成は閃いた!
そうだ、この地に「全寮制の中高一貫の女子校」を作ろう。そうすれば、若い女の子たちをこの地に持続的に集めることができ、玉神との約束を果たすことができる--と!
宗春「……って、ええっ!? ここに学園があるのってそんな理由なんですか!?」
キイロ「キシュクガッコーならこんなド田舎でも成り立つネ。シカモ、ジョシコーなら生徒はヤングガールオンリー。サスガはマイグランパ! 恐るべきケイガンの持ち主デース☆」
大三島「まぁ確かにこの『学園計画』はそれなりにうまくいったんだけど、ところがここから、次の問題が生まれてきたんだ--」
ということで、この話はもう少しだけ続く!
次回も説明回ではあるのですが、できるだけ楽しく読めるようがんばります。
3/1(水)更新予定です!




