その1「登場! 二人目の巫女・大三島さん!」
お待たせしました!本編第4話の更新を今週からスタートします!
※間が空いた分、内容を忘れられてるかもなので(汗)最初に「ここまでのあらすじ」をつけています。
【ここまでのあらすじ】
自分をスカウトしてくれた生徒会長・吉川あかりに憧れ、広島県北部にある名門私立校・三ツ矢学園への入学を決めた岡山出身の少年・清水宗春。入学前の春休み、希望と不安を胸に初めて学園を訪れた宗春だったが、そこで彼が遭遇したのは恐るべき《蜘蛛の怪異》アラクネーと、それに立ち向かう赤いバニースーツ姿の少女--バニーレッドであった!
バニーレッドの正体が憧れの吉川あかりであることに気付き、戸惑う宗春。しかも驚いたことに、三ツ矢神社の巫女・宮島楓良が管理人を務める「宿坊」で、あかりともども一緒に暮らすことになった小早川碧衣とキイロ・毛利・ジョンブリアンもまた、学園に巣くう《怪異》と戦う《バニー戦士》であったのだ!
訳も分からぬまま、彼女たちと《怪異》の戦いに巻き込まれ続ける宗春だったが、ゴブリン軍団との戦いを終えたその後、バニーイエローことキイロが宗春に告げる。
「ソレじゃあ、イヨイヨお参りスルとしまショーカ☆ ワタシたちの秘密が眠ル--三ツ矢神社の『ホンデン』へ!」
果たして《怪異》とは、そして《バニー戦士》とは何なのか? その謎が、今明かされる!
※ ※
第4話「今明かされるバニーの秘密!? これが三ツ矢神社の《玉神様》だ!」
その1「登場! 二人目の巫女・大三島さん!」
「……えーと、これが三ツ矢神社の『本殿』……ですか?」
朱色の鳥居をくぐって境内に入り、キイロに導かれるまま進んだ宗春が辿り着いたのは、しめ縄が張られた下に賽銭箱が置かれた、そこそこの大きさのお社だ。でも外見的には初詣とかでお参りするいわゆる「神社の建物」で、特別どうだというわけではないようだけど……
「ノンノン、コレは『ハイデン』ね。『ホンデン』というのはこの奥にあるのデース。ジョーシキですヨ? ムネリン」
それまでバニーのお尻をフリフリしながら前を歩いていたキイロが、くるりと振り返って訂正してくる。え、そうなの? 神社には何度も来たことあるけど、そんなの知らなかった(汗)
「ジャあ、中に入るとシマショー♪」
そこでハイヒールを脱ぐと、途中でジャランジャラン鈴を鳴らしながら拝殿の階段を登るキイロ。え、今の何? 鳴らす必要あった??と疑問に思ったものの、その間にもキイロは奥へ進んでいくので、慌てて宗春も後を追う。
そのまま拝殿の裏に出ると渡り廊下が続いていて、その先に新たな建物が見える。大きさとしては拝殿を二回り程小さくしたような感じだが、あれが「本殿」なのだろうか?
「オーミシマー! ムネリン連れてキタヨー!」
廊下を渡り終え、閉ざされた本殿の扉の前に立ったキイロが、中に向かって大きな声で呼びかける。
(オーミシマ?)
と、初めての名前に宗春が戸惑っている間に、本殿の中から「はいはーい」と涼やかな返事が聞こえてきて--
「お待ちしておりました。おひいさま」
扉が内側から開くと同時に、そう言って姿を現したのは、宮島さんと同じような巫女衣装を着た、宗春と同じぐらいの背丈の女の人であった。
(うわ、綺麗な人だなぁ……!)
整った顔立ちに華奢な体型という、まるで少女漫画から抜け出してきたみたいな容姿に、思わず宗春は目を見張る。肩より少し長いラベンダーアッシュの髪を藤色のシュシュでスッキリと一本結びにしているのも含め、実に涼やかな感じの美人さんだ。
中でも、特に人目を引くのはやはりその瞳だ。アーモンド型をしたその瞳はまるでウサギのような赤色で、人形めいた美貌もあって、何というか人間離れした印象を彼女に与えていた。
「あんなにジャラジャラ鳴らさなくても聞こえますからね? て言うか、鳴らしたかっただけでしょ、アレ?」
呆れたようにそう言った後、謎の女性はくるりと宗春に向き直ると、一転、フランクな口調で挨拶した。
「やぁ、キミが清水クンだね。ボクの名前は大三島鼎。この神社の巫女をしてるんだ。これからよろしくね」
そう言って握手を求めてくる大三島さんに、「こ、こちらこそ」と宗春があたふた手を差し出すと、小さな手の平がギュッとそれを握ってきた。
(……てことは、宮島さんの同僚なんだ)
とはいえ、受ける印象はずいぶん違う。ふんわりとした年上お姉さんな宮島さんに対し、こちらの巫女さんは年齢不詳で、思いがけずにサバけた感じだ。あと性別は女性で間違いないだろうけど、「ボク」という一人称もあって「美少年」でも通りそうだ。それに……(ジッ)
「……今、キミ、楓楽ちゃんとボクの『胸』比べてない?」
「いっ、いえいえいえいえそんなことは!!」
握手をしたままジトっとした目つきをされて、宗春は慌ててブンブン首を振る! そ、そりゃ確かに大三島さんの胸元は平坦な印象だけど、決して宮島さん@Fカップと比べたわけでは!
でも、今のでもう一つ確信したことがある。こう言うとアレだが、宮島さんと一番違うのは、この「大三島さん」からは、大変「できる人」のオーラが感じられることだ。別に宮島さんがポンコツだと言いたいわけではないのだけれど!
「マァ、ムネリンは『おっぱいセージン』だから仕方無いネ。あ、ちなみにオーミシマは71のAだカラ♪」
「だから! そういう生々しい情報ぶっ込むのは止めてください! それに僕は別に『おっぱい星人』なんかじゃ……」
「エ~、ホントかナー??」
初対面の人の前で何てことを!?と、さすがに抗議しようとした宗春に、キイロはニマニマと笑いながら、バニースーツの胸元を寄せて見せつけてくる。いや、そんなの反則だよ! 男なら誰だって見ちゃいますから!!(赤面)
「はいはい、清水くんの性癖は別にどっちでもいいから、そろそろ話を進めようよ」
パンパンと手拍子して場を仕切り直すと(さすが有能!)、大三島さんは宗春たちを本殿の中へと招き入れる。
「さ、取りあえず中に入った、入った」
「ウイ~ッス」「お、お邪魔します……」
実家に帰ったかのような気楽さのキイロに対し、宗春はといえばけっこうドキドキだ。何せ、神社の建物の中に入るのなんて初めてだし、しかも「本殿」ということは、中には「ご神体」とか置かれてたりするんだよね? キイロさんがわざわざ見せようとしてるぐらいだから、きっと何かスゴイものなんじゃ……??
と、おっかなびっくり本殿の中に入った宗春を待ち受けていたのは……
「……あ、れ?」
拍子抜けするぐらいに殺風景な畳部屋に、小さな神棚が祭られている。でもその神棚も特に何が祭っている感じじゃなくて、ただハンドボールぐらいの丸い石みたいなのが置かれてるだけだ。え? こんだけ……??
「あー、それはただのダミーだよ。《玉神》はちょっと『アレ』なもんで、ここに置くのは無理なんだよね。本物は……」
戸惑う様子の宗春に声をかけながら、えいと神棚を引っ張る大三島さん。すると驚いたことに神棚はスルスルと動き、その下からは何とポッカリとした穴が、そして地下へと続く梯子が現れた!?
「この『下』だよ。じゃ、ボクに続いて降りて来て」
そう言うと返事も待たずに梯子を降りていく大三島さんに、慌てて宗春は後に続く。長い梯子を下って暗い穴の中に入っていくのは正直怖くもあったけど、上を見上げたらキイロのお尻が迫ってきていて、逃げるように宗春は下まで降りる。
そして、先に降りていた大三島さんがパチリと灯りを付けると、宗春の視界に広がったのは、上の本殿よりも大きな地下室であった。とはいえ、あくまでここは入り口にしかすぎないようで、前後の壁には更にドアが1つずつ付いている。
「じゃあ、ボクは《玉神》のトコで待ってるから、『準備』ができたらお参りに来てね。おひいさま、ちゃんとレクチャーお願いしますよ?」
「ハイハーイ♪ ドロブネに乗った気でイルとイイネ!」
「……いやそれ、不安しかないから」
ドーンと胸を張るキイロに苦笑する大三島さんだったが、まぁでもしゃーないかとばかりに肩をすくめると、前のドアノブに手をかける。
「ちょ、ちょっと待ってください!? 『準備』って、何かしなきゃいけないことがあるんですか??」
「んー、簡単に言うとさ、こっから先は《神域》なので、人間が足を踏み入れるには《穢れ》を落としてもらう必要があるんだよね。ま、別に難しくはないから、後はおひいさまに聞くといいよ」
宗春の問いにそう答えると、「じゃ、また後で」とドアを開けて出て行ってしまう大三島さん。え? 説明そんだけ?? てか、大三島さんは《穢れ》を落とさなくていいの? 巫女さんだから??
と、慌てながらも疑問に思った宗春の腕に、不意にムニュ♪と柔らかいものが押しつけられる!?
「……ッ!? キ、キイロさん!?」
「ト言うコトで、コッカらはキイロにお任せアレデス♪」
あ、当たって……!と狼狽えまくる宗春を、当ててルンダヨ♪とばかりのニマニマ笑顔でキイロが上目遣いに見上げてくる。や、やばい! そんな可愛い顔されちゃったら、当てられてる「それ」の感触をますます意識しちゃうッッ!!
「オヤオヤァ? ムネリンさんってば、ボンノーたっぷりって感じデスネー。コマったナァ。コレじゃあ《シンイキ》入れまセンヨ~?」
「誰のせいですか! 誰のぉぉぉ!!」
思わず叫ぶ宗春だったが、そうしている間にもキイロはギュギュッ☆と胸を押しつけてくるし、となるとそこは思春期だけにこちらもビビン!と反応しちゃう!
「アレアレ~? ドウしマシたか~? モ・シ・か・し・て、オネーちゃんにヨクジョーしちゃいマシたかぁ? クスクス、ムネリンもヤッパリ『男の子』ですネェ♪」
たまらず前屈みになってしまった宗春に、ニマニマとキイロが畳みかける。
「シカタないデスネー♪ ソレじゃあ、キイロオネーちゃんがレクチャーしてアゲちゃいマスから、今からスッキリ--」
そこで一旦言葉を切ると、ニマ~♪と思わせぶりにキイロは笑う。そしてそっと唇を寄せてくると、羞恥と苦痛に泣きそうな顔をした宗春に向かい、誘惑するかのような声でささやきかけた。
「《ケガレオトシ》--しちゃいマショっか☆」
ということで、次回の更新はいきなりですが「Nocturne」の方です(笑)
初の「キイロ担当」での《ケガレオトシ》回をお楽しみに♪
ちなみに土曜日に更新する予定デスよ☆




