SS 「石について」
それはシュナイデル城が襲撃される前の会話。
数時間後に攻防戦を控えた啓区達が、風呂に入った後の事だった。
未利「ふぬぅ……。うーん……」
啓区「未利が眺めてるその石ー、ラルドさんって人からもらったやつだって聞いたけどー」
未利「それそれ。なんか見てるとひっかかるというか。うーん。初めて見た気がしないというか、懐かしみを覚えるというか」
啓区「それでうなってたー? ちょっと見てみよっかー」
未利「魔法で? できんの?」
啓区「やってみない事には分からないけどねー。 ヴィジョンを見る魔法、発動条件がいまいちよく分からないしー」
未利から渡された石を手に取る啓区。
集中してみるが、何もイメージが伝わってこない。
啓区「うん、だめっぽいー」
未利「ま、期待してなかったからいいけど」
魔法が発動する気配を感じなかった啓区。
石を未利へと返した。
啓区「ってことは、シナリオには関係ないって事かなー。見えない事が関係してるんだったら、難しいけどー」
未利「ややこしい話。それだったら全部疑ってみてなくちゃいけないじゃん」
啓区「だよねー。まあ、戦いに集中してこうって前向きに考えとく感じでいいんじゃないかなー」
未利「アンタの口から前向きとか。おまいう」
啓区「お前が言うなだって、あははー。確かにー」
未利「何が面白いんじゃい」
夜は更ける。
彼らは知らない、自分達の時間が歴史に刻まれる事が無い話だという事を。




