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白いツバサ 連なる世界(第九幕if)  作者: 仲仁へび
第5章 連なる世界

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第38話 計測データ



 ボア研究所


 姫ちゃんの意見を採用。

 という事で、一つ予定を立てた僕達は、セルスティーさんの元へ向かった。


 研究所に行くと、さっそくとばかりに来訪を分かっていたセルスティーやレミー、メリルさんが出迎えてくれる。


「待ってたわ」


 できる調合士セルスティー・ラナーは、すでに魔力計測器の結果を調べてくれたみたいだ。


 昨日までのデータを記した資料を見せれくれる。


「確かに異常が出ているようね。闇の魔力が大幅に増えている。でも、前例がない事だから、これだけで住民を避難させるというのは難しいわ。もっと詳しく調べてみないとなんとも……」


 それを聞いた姫ちゃんが落胆。


「そんな……」


 そこに、しばらく静かになりゆきを見守っていたレミーが告げる。


「落ち込んでいても仕方がありません。なら、原因をどうにかする方法を考えなければ」


 メリルさんも僕達を励ますように明るい声を発した。


「だねぇ。こっちにいるボク達も今回は協力できると思うしさ。どんどん意見出していきましょう!」


 そういうわけで、住民を避難させられないというのなら、何とか浄化できないか考えてみるけど、やっぱり問題がある。

 姫ちゃんが浄化能力を使えるようになる条件が分からない。


 姫ちゃんは、その事実をすごく気に病んでる。


「前の世界の私は使えていたのに、何が違うんだろう」


 前の世界とこの世界での相違が詳しくわかれば参考になるんだろうけど。

 今の所、この状況を覆すような記憶を思い出す人はなかった。


「このままじゃ、またあんな事が起きちゃう」


 もうすでに前の世界になってしまった災害の様子、町の惨状を思い浮かべているのだろう。

 姫ちゃんは悲痛な表情になる。


 そんな彼女にメリルさんが述べる。


「姫乃様達、セインさんに話はしたんですか?」


 頭に浮かんだのは聖堂教の司教代理。


 一応敵として扱っている聖堂教だけど、あの人は話が通じそうな気がするから、いざとなったら相談するという手もあるかもしれない。


 姫ちゃんは、信じたいと思っているのだろう。


「そうだよね。説明したほうが良いよね。町の一大事だし、さすがに動いてくれるんじゃないかな」






 研究所を出る時、外に例の黒髪の少女の姿はなかった。

 一応未利達には、警戒しておいてと伝えてはいるから、前の時のような行動はとらないはずだけど。


 でも、未利だし。

 なんて思ってたら、ジト目で見つめられた。


 そのままジト目を維持したままで尋ねられる。


「その少女の事で、他に情報はないんですか?」

「うーん。僕達はあんまり関わっていなかったしねー」


 僕がそういえば、姫ちゃんも同意。


「そうだね。一瞬しか見てなかったから。なんとも言えないかな」


 あの時はただちょっと警戒心が強いだけの、普通の少女だと思ってた。

 でも、そうでなかったかもしれない。

 まだ、可能性の話だけど。

 氷裏とつながっていたなんてことになったら、目も当てられない。


「情報といえば、用心深いっていうかー。人間不信そうな感じー? まあ、ああいう境遇の子には珍しくないんだろうけどー」


 すると、未利は得心が言ったようにつぶやいた。


「なるほど。だから……」


 姫ちゃんが尋ねる。


「何か分かったの」

「大した事ではありません、ただ、同族として放っておけなかったのでしょう」

「似てるってこと? そっか、未利も前はあんな感じが……あれ?」

「どうかしましたか?」

「今の会話、何か……」


 姫ちゃんが首をかしげているのは、セリフの中におかしな点を見つけたからだろう。

 なんというか、他人事すぎるような。


 前の世界といっても、自分の事だよね。


 恐る恐る尋ねてみる。

 本物はすでにずっと前に消えていて、入れ替わっていたとかだたら前提条件が変わってくるけど。


 そんなホラー展開じゃないよねー?


「偽物とかじゃない、よねー?」


 僕の言葉を受けたメリルさんが、横でぎょっとした顔をしている。


 しかし、未利レミーは呆れ顔。


「何を言いだすかと思えば。私はただエアロさんが言いそうなことを代弁しているだけです」


 そして、元護衛の少女の方へ話題を飛び火させる。


「私ですか!」


 前々から似てるなーと思ってたけど、その人格やっぱりエアロを元にして作ってるんだ。


 ひょっとして、自分で言うのは自虐ですむけど、人に言われるとむかつく的なー?


 紛らわしい事しないでほしいよ、まったく。



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