第39話 ささいな違い
聖堂教会
そういうわけで、研究所から聖堂教会へとんぼ帰り。僕達はわずか数時間で(現
)拠点へ引き換えす事になった。
このグロリアに住む町の人達を、見殺しにするわけにはいかない。
けれど災害発生の事実を知った後、他の司教がどう行動するのかが分からないのが悩みどころ。
弱点を抱えている僕達は、漆黒の刃に繋がっている人達に、へたな隙を見せるわけにはいかなかった。
だからまずは、セインさんにだけ話を通すことにした。
けれど、町の人達を動かすような権限は、彼にないみたいだ。
セインさんはすごく申し訳なさそうに頭を下げた。
「力のない司教代理ですみません」
「そ、そんな事。頭を上げてください」
ほかの司教は、どうか分からないけど、この人は真面目だし良い人そうだから。
そんな風にされると、僕やエアロでも心苦しくなってしまう。
セインさんは、僕達の説明をきちんと聞いてくれたけど、
「もっと強い証拠があれば違ったんですが。私はただのお飾りで、代理でしかないんです」
とのこと。
セインさん自身は相当悔しそうだった。
「他の司教、九人に話を通さないと、町の人達に知らせる事ができません」
避難を進めるには、どうしても他の司教の同意が必要だという結論になった。
その言葉を聞いて、姫ちゃんが口を開く。
それはあまり気は進まないけれど、視野に入れていた事。
「なら、えっと……私達が他の司教さんにも事情を話したとしたら、どうですか」
「それでも……」
だから仮定の話として、災害の発生が目前に迫った状況について述べる。
「難しいと思います」
今の状況では、聖堂を束ねる他の司教が、大災害の事を信じないみたいだった。
人の動かしようがないのだと。
そうだよね。僕達にとってはほぼ確定している未来だけど、他の人にとってはそれが分からない
起こるかどうかも分からない事で、簡単に人を動かすわけにはいかない。
せめてゆるぎない証拠があれば、その状況も少しは違うらしいけど。
なあちゃんが「しょーこさんなの? ならなあ達がしょーこさんって人を探してあげなくちゃなの」といった。名前だと思ってるのかな?
とにかく結局は、どんなに話し合っても、そこに話題が戻ってしまう。
僕達は引き下がるしかない。
代表して姫ちゃんが話をしめくくった。
「わかりました。証拠になるようなものを用意できるよう頑張ってみます。お話を聞いてくださってありがとうございました」
話し合いは、あまり良い成果は出せず。
状況保留という形で終わってしまった。
心構えはしてもらっているけど、中途半端な時期に話を進めたせいで、どこかから話がもれないといいけど。
けれど、問題はそれだけじゃなかった。
その後、立て続けに起こる。
夕方、ウーガナから連絡がきた。
イフィールさんとラルドさんが行方不明になったという話だ。
探してみたものの、姿が見当たらないらしい。
ラルドさんはともかく、イフィールさんは足に怪我を負っている。
心配だった。
一応警戒するように言っておいたけど、ラルドさん達の対処能力をうわまわる出来事が起きた?
おかしいな、少し起きる出来事が違う。
こんな事、前は起きなかったのに。
僕達の行動で、未来が変わったという事だろうか。
前は大災害の予知なんてしなかったから、その影響でささいな何かが変わった?
とりあえず、僕達もイフィールさん達を捜索することにした。
けれど、結果はウーガナが行方不明になっただけ。
見つからないまま、一日が過ぎてしまった。




