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白いツバサ 連なる世界(第九幕if)  作者: 仲仁へび
第4章 4日目から6日目までの出来事

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第28話 黒髪の少女



 お昼時になったら、サテライトの調整をしていたレミー(未利)がご飯をもってどこかへと歩いて行くようだった。メリルさんが後ろをくっついてく。


 廊下で、それを見かけた姫ちゃんが声をかける。


 本当はできるだけ接しない方がいいけど、かといって何かしら気になる行動をとっているのに、無視するというのも色々と不自然だ。普通の人間の反応として。


「あれ? どこに行くの?」

「外にいるネコウに餌を与えに行くんです」

「ネコウ?」


 ムラネコの事だろうか。そういえば、最近見てないな。

 未利になついているようだけど、いつも一緒にいるわけじゃないから。


 レミーはこちらを一瞥して視線を戻す。


「ついてきますか?」


 レミーがもつ品物を見る。エサやりという割には、おしゃれなお皿に綺麗にご飯がもりつけられていた。


 それほど気になるというわけでもないけど、あの状態の彼女の行動が珍しいという事もあって、餌やりを見学する事になった。


 ボア研究所の玄関口に出る。


 ご飯を持った彼女は、周囲を見回して、植え込みの近くにそれを置く。


 そして、見張りの男性に声をかける。


「お疲れ様です」

「おう、レミーちゃんか。いつもいつも飽きないね」

「いつもじゃありません。ただの気まぐれです」

「そうかいそうかい」


 たんぱくな反応ながらもどこかむっとした回答。


 人格が変わっても、変に意地っ張りな所はまったく変わらないみたいだ。

 どうでもいいかもしれないけど、彼女はよく年上の人に好かれてるよね。

 ヴィンセントさんやアスウェルとか、セルスティーさんもちょっと気にかけてるみたいだし。


 そんな彼女、レミーは何を考えているのかわからない表情(僕がいえる事じゃないけど)で男性を見つめる。


「例の子、今日もいるんですか?」

「ああ、いるよ。ほら、あそこに」


 男性が指さす方向を見つめる。

 すると、植え込みに半身を隠しながら、じっとこちらを見つめる少女がいた。


 黒髪の、眼つきが悪い少女だ。

 歳は僕達より少し下っぽい。それとも小柄なのかな。


 あれは、何だろうね。

 こちらの方をじっと見て、窺っているようだけど、なぜだろう。


 見張りの男がその姿を確認して、首をひねる。


「あの子、最近よく来るよね。ひょとしてレミーちゃんの友達かな」

「違います」

「えっと? でも、こっちを見てる気が……」

「あの子はたまにこの研究所を遠巻きにみてるので、私がそれを知っているだけの間柄です」


 うん、それはもうほぼ他人だね。

 彼女の言葉を鵜呑みにすれば、だけど。


 ちょっと疑うが、チャットでは何も知らせてなかったから、本当に赤の他人なのだろう。報告連絡相談の重要性は、これまでの事で身に染みてるはずなので、ここで意地を張る人間ではないと思う。


 黒髪の少女がその場から動かないのをみて、レミーは満足したようだ。


「用事はすみました。いきましょう」


 その行動は、まったくためらいがなかった。

 さっと身をひろがしてスタスタ。

 さっさと建物の奥に引っ込んでしまう。


 そんな彼女を見て、姫ちゃんが驚く。


「え? ネコウはいいの?」

「大丈夫です。そのうち食べると思うので」


 ああ、ネコウってあの子の事か。

 わかりにくいなぁ。


 ここらへんって治安が良いって話だったけど、まるっきりそういう子供がいないわけでもないんだよね。

 孤児なのかな。


 素直にあげればいいのに。

 うーん、でもそしたら逆に向こうの方が逃げちゃうのかな。


 そんな光景を脳裏に思い浮かべれば、確かに納得。

 うん、それ猫だよね。

 ネコウに例える気持ちがちょっとわかった。



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