第22話 命の複製
中央領にきてから三日目。
この日は別れて行動する事になった。
僕は、三座ちゃん達の案内でとある場所へと向かう方。
一緒に行動するのは、エアロとディークさんだ。
他の面々は、引き続き聖堂で活動する事になった。
あやしまれるといけないから、カモフラージュとして姫ちゃん達は(研究所の要請で)計測器を置く作業をこなしている。
ハイネルさん一人で、姫ちゃんとなあちゃんを見る形になるけど、それはこちらだって同じだし。少々の危険は元から承知。
だから、僕達もしっかり行動しなければならない。
大樹区画 培養施設
聖堂を出た僕達は、グロリア名物の大樹へ向かった。
大樹の周辺にある区画、大樹区画へ足を向ける。
三座ちゃんとは現地で集合した。
たどり着いたのは、古びた大樹の根っこをくり抜かれて作られた場所。
その空洞の中には、隠されたとある施設があった。
そこは、鋼鉄の施設だ。
この世界に文明では作れない施設。
そんな建物のの中に並ぶのは、いくつもの培養層。
そこには、様々な容姿の人間達が入っていた。
初見だとかなり度肝を抜かれる光景だ。
ディークさんなんかは、すごく驚いて「うわっ」とか言ってた。
案内のため、先頭を歩いている三座ちゃんが、それらを視線で示しながら説明してくれる。
「ここにいるのは、魂の無いただの物体。ホムンクルスですわ」
つまりここでは生命倫理を逸脱した研究がおこなわれていた、という事だろう。
死体があるわけでも、グロテスクな光景があるわけでもないけれど、他の仲間達にはショックな光景だろう。刺激が強すぎると思う。
「うーん、姫ちゃん達には見せられない光景だー」
だから僕がそういうと、涼しい顔で三座ちゃんが発言。
「彼女達は普通そうですものね。人間がこんな形をした容器にいれられて並んでいるだなんて、ぞっとしますわ」
それ、さらっと自分を除外してないー?
三座ちゃんって、いったいどういう日常送ってきたんだろう。
とにかく、ここに来る前に事前にある程度説明は受けていたけど、実際に目で見るとやはり衝撃度が違う。
この世界の人たちが知らない場所で、この世界の住人ではない者が、別の世界の技術をつくって倫理をないがしろにした行いをしていた。
それは、とてもおぞましい事のように思える。
「私たち、元々は聖堂教の暗部をさぐるために、町の調査をしていたんですけども。途中でこんなものを見つけてしまって……。最初に見た時は、さすがの私でも驚きましたわね」
三つ編みをもて遊ぶ三座ちゃんにも、思う所はあるらしい。
培養層に向けて複雑そう色のな視線を一瞬向ける。
一応今まで、この場所のことは三座ちゃん達も調査を進めていたらしい。
主な資料は、ボア研究所に運び込んで、解析しているそうだ。
だがそれでもここには、運べなかった機材や資料が山ほどのこされている。
「好きに見てもらってかまいませんわよ。ここにはうっかりを仕出かしそうな人は連れてきていませんし」
うっかり、なあちゃんの事かな。
ディークさんは、「ん? 俺は?」みたいな判断に困ってそうなリアクション。エアロは「当たり前ですよ、未利さんじゃあるましし」とのコメント。
頼もしい限りだよねー。
姫ちゃん達も冒険を通じてそれなりにシリアス耐性が付いてきたけど、それでもやっぱり感性はまだ一般人よりだからー。
「とりあえず、好きに見ていってくださいまし。興味深い資料があれば、私達の方で他の拠点へと運んでおきますわ」
つまり、啓区達にも見てもらって、何か気付く事はないか言ってほしいという事だろう。
中央領に来た僕達の目的からはちょっとはなれてしまうけれど、こちらもないがしろにはできない。
「じゃあ、遠慮なくー」
気になるところを探してあちこち見て回る事にした。




