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白いツバサ 連なる世界(第九幕if)  作者: 仲仁へび
第2章 予想外

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第21話 同盟の提案



 人のいない区画を探して再び聖堂教内部をうろついていると、聖堂教会で働く者達になりすました漆黒メンバーがいた。


「身内が大変なご迷惑をおかけしました。処罰も与えず生かしておくほどの度量の持ち主ですから、どうか寛容な心で水に流してくださると嬉しいですわ」


 捕まったメンバーについて述べながら、出会いがしらに嫌味を言ってきたので、間違いはないだろう。

 甘いっていうのは自覚してるけど、生きていないと情報を得られなくなるというのもある。


 でも、クルスさんとロザリーの身柄は城が預かっているから、僕達が何か言ったところで、そう簡単に生死を決められるものではないんだけどな。


 話しかけてきたのは、見た事のない女の人だ。


「まさか本当に来るとは、思ってもいませんでしたわ」


 メガネをかけた濃紫のおかっぱの女性で、年齢は二十代半ば。

 化粧とかは全然してない。目鼻立ちも特にこれといた特徴がなくて、すぐに忘れてしまいそうな人だった。

 地味な印象をあたえる女性だ。


 でも、変装しているかもしれない。

 相手はこちらを何度も困らせた組織。

 そういう事をしてないと考える方が無理だ。


 見た目通りの人間とは思わない方が良いだろう。


 僕達は警戒しながら、相手の動向を見守る。

 しかし、向こうに敵意はないようだ。


 彼女は、自分の名前と所属を名乗ってから、単刀直入に話に入った。


「私の名前は、イア。漆黒の刃の一員であり、頭の補佐をしています。単刀直入に言いましょう。私達と……手を組む気はありませんか?」

「「「え?」」」


 ハイネルさんとなあちゃんを除いたみんなが、あっけにとられた。


 それは思わぬ一言だった。

 予想外すぎる提案だ。


 想定していなかった話に、おそらく僕達の誰もが思考停止していただろう。


 そんな中、こちらに向かって微笑みかける女性イアは話を続けていく。

 一時的でも良い、といった彼女は事の次第について語った。


「私達は、貴方達が想像している通りの組織です。ですが、今は貴方達と敵対する気はありません。雇い主とのちょっとした活動方針の違いで、先行きが怪しくなってきましたので」


 そこまで、顔色を全く変えずに話した彼女。

 こちらを見まわして、続ける。


「ですので、貴方達がふさわしい力を示したら、手を組みましょう」


 そこまで言った彼女は、「しかし考える時間も必要でしょうね」とも告げた。


「じっくり考えてみてください。期限は特に設けていませんが、見込みがないのであればこの話はなかった事に。では」


 そういって、彼女はその場から消えてしまった。


 協力してほしい、というわりにはちょっと上から目線だ。


 敵対していた人間同士だから、思うところがあると言えばそれまでだろうけど、なめられているのかもしれない。


 でも見込みがないほど実力が低い、とは思われてはいない。

 だから、手を組むだけの価値がある。


 そんなところだろうか。


 イアが去っていったあと、エアロが憤慨した様子で怒りをあらわにする。


「何なんですか、あの人! 急に現れたと思ったら。そんな勝手な……」


 大幅に同意だけれど、憤慨してばかりもいられない。

 これに対して、僕達はどう行動すればよいのか、考えなければ。


 果たして正しい行動は何なのか。

 相手の狙いは?

 罠である可能性は?


 考え込む一同に、姫ちゃんが己の意見を述べる。


「私達は相手の事何も知らないよね。もしかしたら、今までの行動には何か事情があるのかも。とりあえず、まず事情を話してもらうように頑張ろう。その後の事は、それから頑張るしかないよ」


 確かにその通りだよね。

 今の段階じゃ、推測材料が少なすぎる。

 正しい回答にたどり着けるわけがない。


 僕達は、いきなり予想の斜め上から放たれた一手に、頭を悩ませることになった。

 これが、中央領滞在2日目の出来事だ。



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