賑やかなホームルーム
地裏ムカサは、翌日は普通に登校した。
隣の席では呪香ミツコがいつものように不機嫌な顔で魔術書らしきものを読み漁っている。
前の席には極卒シリョウが腰かけ、悠然と構えていた。転入初日は臨時の席だったはずだが、いつの間にか正式に勝ち取ったらしい。
ムカサとミツコに関わりを持たないようにしている生徒がほとんどなので、勝ち取ったというより譲られたといったほうが適正だろう。
相変わらずシリョウは評判がいいらしく、侵魔の方がウィザードよりコミュニケーション能力が高いと言う、残念な結果を見せつけている。
ウィザードは能力があるたがために、人格をこじらせた人間が多いというのは、口実である。
ホームルーム前に、中等部の人気学生大地サトルが教室を覗きに来たが、ムカサの姿を見て安心したように帰っていった。
ホームルームが始まると、黒瀬エリッサが教壇に立つ。昨日は迷惑をかけたらしい。ウィザードとしてではなく、一生徒として。
賑やかにホームルームを終え、授業が始まる。
ムカサは大人しく授業を受け、静かに一日を終えた。
何事もなかった。
一週間後、シリョウはムカサとミツコに別れを告げ、転校していった。
大地サトルは、たまに高等部の教室を覗きに来るが、特に用件も言わずに帰っていく。
一月が過ぎ、担任の黒瀬エリッサの辞職が発表された。
隣には、呪香ミツコがいたが、相変わらず話はかみ合わない。
魔王レビュアータの気配を感じなくなり、ムカサは少しずつ周りが見えるようになってきたように感じる。
同時に静かになり、これまでほとんど記憶に残ることがなかったイノセントの知り合いが増えてきた。
学園生活がにぎやかになるのと同時に、地裏ムカサは、何かが間違っているような感覚に囚われていた。
何も変わらない、平和な生活が、むしろ不気味に感じる。
ムカサが知らないだけで、世界結界の危機は何度も訪れているのではないだろうか。
地裏ムカサは、平和になった輝明学園に居心地の悪さを覚え、学園を去ることにした。
魔王レビュアータの聖地を求める。
ただ、それがどこにあるのか、ムカサ自身も知らなかった。




