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聖女と僕のやりすぎお忍び冒険譚  作者: グーグー


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68.聖獣様御一行に関する注意書

 ***寛太***


 そして、お付きの人に見せてもらった『聖獣様御一行に関する注意書』は予想に反して、ちょっとした冊子だった。


「僕、もっと、ポスターみたいな感じだと思ってたよ」

「私も!それこそ警察署に貼ってある手配書の『あっ!と思ったら110番』的なやつだと思ってたわ」


 渡された冊子の表紙をまじまじ見る。なんか開くの怖い。

 躊躇していたら、光太がサッと横からかっさらっていって、渉と二人でページをめくり始めた。


「ふんふん、なかなかじゃないか。柚子はもうちょとキツイ顔立ちだと思うけどな」

「そうかも。でも寛太は愛らしく描けてる」

 カケル様も渉の肩に飛び乗りチェックを始める。

「おお、ワシは見開きじゃのぉ。威厳ある姿がいかんなく描かれておる。絵師を誉めておくようにの」

「そのように」司教はかしこまって返事をしている。


「子犬姿に擬態している時は、寛太の腕の中がお気にいりで引き離すと不機嫌になる。だと?そのようなことはない!」とプンスカしている。

「にいたま!わっち!わっちは?」

 渉の足元でぴょんぴょん跳ねながらのぞき込もうとしているリオを抱き上げてやる。

 なんとも人間臭くなってきたものだ。僕の教育のたまものだな。……いや、アクセルさんという優秀な見本がいるからか。どうみても人に見えるドラゴンだもんな~。


「わっち!ない!!?」リオが悲しそうな顔をした。

 目に涙がたまっていく。

 ヤバいかも、と思った瞬間に竜巻のような風がキャビンのなかを吹き荒れた。リオが無意識に力を暴走させているのだ。

 吹っ飛んでいく司教たちを結界で保護して地面に着地させたのはアクセルさん。

 僕たちは吹っ飛んでいって壁に激突した。柚子の結界が発動するのでなんの問題もないけれど、心臓には悪い。


 僕の腕のなかで、自分も一緒にふっとんでしまったリオは、罰の悪そうな顔で、

「ごめんなさい」と謝った。

 素直に謝れた!偉い!


「でも、わっち、わっち、ないの……」今度はしくしく泣きだした。竜巻が起きなかったことに周囲は安堵したが、可愛いリオが泣いているのは問題だ。

 チラッと柚子をみると、

「そうね。追加してもらいましょうね。司教さん、この子、カケル様の弟なの、冊子に追加お願いしてもいいかしら?」

「アクセルも載せてもらうかの?」

「いえ、私は普通の人として生活しておりますから」


 どんどん会話が進んでいくが、司教とお付きの人達は『聖獣様の弟』のあたりで思考停止しているようだ。


 ***トリナテ司教***


 大聖堂からの通達や配布された冊子により、おおよそのことは分かったうえで聖獣様聖女様御一行をお迎えできていると信じていました。

 が、違ったようです。

 メンバーが当初より増えているとか、プライベート不可侵は徹底しろなど、追加情報も来ていたが、ププカの顛末を思えば当然だろうと思っていました。護衛が増えた、護りに敏感になっているくらいに思っていたら違っていたようです。


 聖獣様の弟に、火山を見守っているドラゴン。異世界からの旅行者。

 なんといいますか、大聖堂は情報の質の大切さをもう少し知るべきでしょう。


「うちのリオがすみません」とリオ様に続き、寛太様も頭を下げてくださいました。

「いえ、大丈夫です。ドラゴン様がお助けくださいました。ありがとうございます」こちらも頭を下げました。


 恐るべき力のぶつかりようでした。あんなものが瞬時に防げるドラゴンも凄いですが、身内に透明な結界というものを張って常時守っている聖女様も尋常ではないでしょう。


 とりあえず、私なら、もっと詳細な注意事項や引継ぎ書を用意できますと、教皇様に提案申し上げなければ。


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