メテオストライク
■1
「――究極魔法」
俺は右手を空へ掲げた。
雲が渦を巻く。
真昼だった空が、一瞬にして夜のように暗くなった。
遥か上空。
赤く燃える巨大な岩塊が、雲を突き破る。
「《隕石――メテオストライク》!」
轟音。
大地が揺れた。
巨大な隕石が、魔王城の中心へ直撃する。
石造りの城壁が吹き飛び、塔が崩れ、炎と土煙が空高く舞い上がった。
遅れて、猛烈な爆風が俺の身体を叩く。
俺は腕で顔を覆った。
やがて。
土煙が晴れる。
そこに、魔王城はなかった。
残っていたのは、巨大なクレーターだけだった。
「…………」
終わった。
長かった。
異世界に召喚されてから、どれくらい経っただろう。
追放された。
馬鹿にされた。
何度も死にかけた。
それでも仲間ができた。
俺を必要としてくれる人たちができた。
そして今日。
ついに、魔王を倒した。
俺はクレーターをしばらく眺め、それから背を向けた。
「さあ――」
肩に担いだ剣を持ち直す。
「女神セレスティア様のところに帰るか」
■2
女神セレスティアの神殿。
「勇者様」
純白の衣をまとった女神セレスティアが、俺の前へ歩み出た。
「魔王を倒していただき、本当にありがとうございます」
「いえ。俺一人の力じゃありません」
「あなたがいなければ、この国は今日という日を迎えられませんでした」
そして。
「これからも末永く、この国をお守りください」
そう言って、俺の頬にそっと口づけした。
「セ、セレスティア様……」
地球にいた頃。
俺を必要としてくれる人なんて、いなかった。
でも、ここにはいる。
そう思った、そのときだった。
「異世界入国管理局です! 全員、動かないでください!」
長い耳を持つ女性を先頭に、銀色の制服を着た一団が神殿へなだれ込んでくる。
「……は?」
「女神セレスティア!」
「あなたを《異世界人召喚禁止法》違反などの容疑で拘束します!」
セレスティアは何も言わなかった。
俺だけが、間の抜けた声を漏らした。
「……え?」
「それから、そこの勇者!」
「あなたには、違法召喚事件の重要参考人として同行していただきます!」
「はい?」




