閑話 市松模様クッキー 前編
谷口くんたちと、ちょっと変な約束をした日の放課後。
友達のさきちゃんに、
「今日はお菓子作りたいから、早めに帰るね」
とLINEを送った。
さきちゃんは中学からの友達で、去年は同じクラスだったけど、今年は別々で少し寂しい。
たまにこうやって、お菓子を作るから先帰るねって言うのも、数えきれないくらいだ。
返信を待っていると、スマホが震えた。
「わかった、気を付けて帰ってね♪ お菓子楽しみにしてる♡」
とかわいい絵文字付きで帰ってきた。
私は帰り支度を済ませて、チラッと谷口くんたちを探したけど、もう帰っちゃったみたいだ。
私も帰ろう。
午後の授業でも考えていた、何を作ろうかをまた考えながら家に着いた。
家に着いてすぐに手を洗った。
制服が汚れると嫌だから、動きやすい部屋着に着替えてキッチンに立った。
冷蔵庫から、とりあえず薄力粉とバター、砂糖を取りながら、
今日の谷口くんたちの反応を思い出した。
チョコチップのカップケーキをおいしそうに食べてたから、
チョコ系とかココア系は大丈夫そうだよね?
それにさきちゃんもココア好きだし。
私は小さく頷くと、卵、ココアパウダー、バニラエッセンスも取り出した。
バターが常温に戻るのを待ちながら、いつものようにボウルやゴムベラ、
測りなどの調理器具を取り出して、足りないものがないか見渡した。
「よし、作ろ~」
私は鼻歌を歌いながら、常温に戻ったバターと薄力粉の重さを測った。
砂糖は少なめにした。
ちょっと砂糖減らせば、カロリー減って、食べても罪悪感なくなるしね。
薄力粉はだまにならないように、ふるいにかけた。
ぱらぱら薄力粉が落ちるの、雪みたいできれいで好き。
砂糖を、バターの入ったボウルに少しずつ入れながら、ゴムベラでサクッと混ぜた。
色が全体的に変わってきた。
「そろそろ、良さそうかな。」
卵黄だけを別のボウルに入れて溶いた。
「よし、これを少しずつ入れて、混ぜて......」
「あとは薄力粉をちょっとずつ分けて......」
やっぱり薄力粉入れると重くなるね。
腕疲れる......でも楽しいんだよね。
お菓子作ってると結構体力使うんだよね。
この調子で頑張ればダイエットできるのでは......?
お菓子いっぱい食べてもプラマイ0、むしろマイナスだよね。
そんなことを考えている間に、全体の色が均一になった。
もう1つのボウルに生地を2等分にした。
「こっちにはバニラエッセンスを入れて......、こっちはココアパウダー入れて......」
また私は生地をサクッと全体的に混ぜた。
ココアの方は全体の色が、ちょっとずつ茶色になっていって面白いね。
目で楽しめるのもお菓子作りの醍醐味だよね。
バニラの方も香りを楽しみながら混ぜた。
匂い嗅いでるだけでお腹減っちゃう。
そうして混ぜるのが一段落した。
ラップで生地を別々に包んで、冷蔵庫で休ませた。
生地を休ませてる間に、使ったの洗わないとね。
あとで休憩できるように、お湯を沸かしながら、使ったのを洗った。
ちょっと前にそのままにしてたら、
ママにちゃんと片付けないと作っちゃダメって、怒られちゃったし。
あの時はちょっと怖かったな。
洗い終わる少し前にお湯も沸いて、いいくらいの温度になった。
紅茶のティーパックで淹れて、しばらく飲みながらお昼の事を思い出した。
鈴木くんと斎藤くん、それに谷口くんも、おいしそうに食べてくれたな。
明日渡すこれも、おいしそうに食べてくれるといいな。
まだ油断しちゃだめだから、休憩終わったら頑張ろう。
しばらくぼーっとしてると、生地を休ませる時間が終わった。
私は伸びをしながら冷蔵庫に向かった。
生地を取り出して、それぞれ打ち粉をして少しずつ生地を揉みなおした。
生地が均一になるように、体重を少しかけながら伸ばした。
そして棒状に分けてまた、冷蔵庫で休ませた。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。




