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小骨が喉に刺さったまま  作者: ユガミヒト
1章「消えたスイーツのレシピ」
9/10

第9話

エイルとシャルは、サラからレシピが捨てられた経緯を聞き出し、そのままロイドに報告しようとしていた。ロイドは新作スイーツの準備をしている最中だったが、二人の呼びかけに応じて顔を上げた。


「マスターさん、ちょっと良いですか?」

エイルはいつも通りの穏やかな声でロイドに話しかけた。


ロイドはスプーンを置き、こちらを向いた。

「どうしたんだい、エイルくん?」


「実は、レシピがどうしてゴミ箱に紛れ込んだのか、その原因が分かりました。」

エイルがそう言うと、ロイドは少し驚いた表情を浮かべた。


「それは…一体どういうことだい?」

ロイドは困惑したように眉をひそめた。


エイルは静かに説明を始めた。

「サラさんが、忙しいランチタイムの片付けの中で、レシピを他の紙類と一緒に捨ててしまったみたいなんです。もちろん、意図的にではなく、です。」


それを聞いて、ロイドは一瞬驚いたようだったが、すぐに落ち着いた顔をした。

「そうか、そうだったのか…」


サラはそっとロイドの前に立ち、深々と頭を下げた。

「マスター、本当にごめんなさい。私、あの時すごく忙しくて、気づかないうちにレシピを捨ててしまったんです。」


ロイドは優しく微笑みながら、サラの肩に手を置いた。「いや、サラちゃんのせいじゃないよ。今思い出したんだが、新作を考えるためにノートの中身を机の上に並べていたんだ。だから、私の責任だ。それに、エイルくんとシャルちゃんがこうして見つけてくれたんだから、もう何も問題はないよ。」


サラは顔を上げ、ほっとした表情を浮かべた。

「ありがとうございます……、マスター。」


「こちらこそ、ありがとう。これからも一緒に頑張っていこう。」

ロイドはサラに温かい言葉をかけ、優しく励ました。


エイルとシャルはその様子を見守り、微笑んだ。


「これで一件落着ですね。」

シャルが満足げに言う。


「うん、みんなが幸せになって良かったよ。」

エイルも同意して頷いた。


「エイルくん、シャルちゃん、本当にありがとう。この件が解決したおかげで、また新しいスイーツを作ることができるよ。」

ロイドは二人に向き直り、感謝の気持ちを伝えた。


「こちらこそ、マスターさん。僕たちもマスターさんの新作スイーツを楽しみにしていますからね。」

エイルは微笑んだ。


「そうです!次はどんなスイーツが出てくるのか、楽しみにしてます!」シャルも元気に頷いて笑顔を見せた。


ロイドは微笑み返し、厨房へと戻っていった。カフェ・フローラの中は、再び穏やかな空気に包まれた。常連客たちも、心地よい雰囲気の中でおしゃべりを楽しみながら、コーヒーやスイーツを味わっていた。

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