邪神の片割れ
邪神さまは人間界に降りたい
勇者の育成、前例のない妙案に、邪神はわくわくしていた
ーーまずは、育成で一番大切なのは、死なせてはいけないことだろう
死にかけるぐらいの苦難は必要だが、死んでしまっては元も子もない
邪神はそこで大きな障害があることを思い出した
ーー死なせないようにと思ったが、我も常に見守る訳にいかない
しかし、万に一つあのゴミ勇者に接触したら殺されかねん
それは避けたいが・・・
人間界に神の存在が降りては、下界の情勢が乱れる可能性がある、ここの次元も狂ってしまうな・・・
邪神は少々骨を折ることにした
ーー我の存在を分離して、片割れをここに、もう片割れを勇者の側に置こう
片割れには、神としての力をある程度抜き取り、人間性を足しておけば、普通の人間として生活できるだろう
邪神は人間界では時に囚われず、世界を次元を問わず、あらゆる知識を持つ神と呼ばれていた。
それが、人間界では不都合な事実であっても、知識として在り続ける。惰弱な者には耐えられぬ。
無限の知識をもつ神は人間界では恐れられ、次第に邪神と呼ばれるようになる。
邪神は自らの知識を用い、己の力を惜しむことなく振るい、新たな存在を創り出した
邪神の力を持ち、また人間性を持つ存在
勇者に警戒されぬよう、美しく愛らしい見目をもつ少女
少女の姿をした邪神は初めて自我をもつ
「おお、成功したようだ。さすが我だな」
少女は得意げに口角をあげた
邪神と少女は異なる存在