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邪神の悩み
邪神さまは悩んでいた
なんとなく未来を覗いてみたら、勇者に滅ぼされる未来が見えたのだ
まあ、それはいいとしてだ、邪神だからな、しょうがないし
でもな、邪神を倒した勇者の人間性がな、うん
人間の中でも最底辺を走る部類の野郎だった
邪神を倒すため選ばれし勇者は、仲間を集め、魔物や蛮族、
または欲にまみれた人間と対峙しながら成長し、協力していく。
仲間を失うことも、裏切られることもあるが、乗り越えて進んでいく。
最後には仲間と共に、邪神を倒す。
勇者は世界中から称えられて伝説となるのだ。
これが市井の少年少女が夢見る物語のはずだ。
勇者は高潔で、人々のために、己が命をなげうつ者でなければならない
しかし、邪神が見た未来の勇者は違った
その勇者も選ばれし者だった、教会で力を与えられたのだ
しかし、強欲なものに力が与えられてしまっていた
少々、人間性に異常がある者だった
――市井の俗な言い方で表すならば
この勇者、欲まみれだわ、ナルシストだわ、
挙句に下手に金持ちだから、他を見下すわ、本当に最低だな
邪神は頭を抱えた
邪神様は解決策を思いつく