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アクション2


「初めまして太刀花凛華さん」


「えっと、君は……?」


「先日、太刀花さんにご迷惑をかけました東雲志乃の妹。東雲宇佐美です。以後お見知りおきを」


「ああ、志乃さんの妹さんか!迷惑なんてとんでもない!その……」


「接吻、なされたそうですね」


「え、っと、その、そうだね」


「姉は所謂(いわゆる)不幸体質というものでして、太刀花さんの唇を奪ったのは決して故意ではないのです」


「不幸体質」


「ええ、太刀花さんほどにないにせよ姉も少し名が通っていますし、ご存じでしょう?関わった人も巻き込んで不幸になる生徒『不慮の事故』『歩く交通事故』『目に見える不運』、色々と悪名ばかり」


太刀花さんとはまるで正反対ですねと笑う

しかし目は笑っていないようだ


「そんなの誰が決めたの」


「貴女ではない多数の有象無象です。悪意がないというのがタチが悪い。そして姉自身も己をそうだと自覚しています」


「お姉さんのこと嫌いなの?」


「いいえ、私は姉を愛しておりますよ?誰よりも、貴女よりも」


姉を心底嫌悪をする顔で、憎悪とも取れる表情で少女は(うそぶ)

憎いと愛しているは矛盾しない

それが宇佐美の持論である


「私?なんで」


「姉はあれでモテるんですよ?放っておけないでしょ?ああいった人は。お人好しは姉を構いたがるんです」


「私もそうだっていうの?」


「違うならいいんです。姉は嫌われやすくもありますから。疎まれやすいですから。遠目に指差し笑う分には無害ですから」


「私はそんなことしないよ」


「でしょうね。太刀花さんは姉に手を差し伸べる人です。姉を甘やかす人です。姉と共に駄目になる人です」


「宇佐美ちゃんは私にお姉さんと仲良くなってほしくないんだね」


「……言い方に物申したいところがありますが、ふん。その通りです。姉のため、太刀花さんのためにも一緒にならないほうがよろしいかと」


「ご忠告ありがとう。気を付けるよ」


「では」


宇佐美は忠告をしながらきっと凛華が志乃から手を引かないことを理解していた

あの手の人間は一度痛い目をみないと理解しない

善意で傷つく姉を思うと心が痛む

元から鬱陶しいのに手を差し伸べられて、その手が自分を支えれないことを知るとより一層沈むのだ

いい加減希望を持つのを止めればいいのに

そうすれば傷付くことはない

宇佐美は誰かに期待しない

最初に姉が傷ついて、大切なものが失われたときから、ずっと

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