1話 白い結婚
ランベルト公爵家からの縁談をお受けすると返答した翌週には、ランベルト公爵自ら結納品を携え我が家に足を運んできた。
「初めまして公爵様、アトランティカ家長女のロベルタと申します。本日は ー」
「堅苦しい挨拶はいい。まずは、結婚の承諾感謝する。今日は結婚の前に言っておく事があって参った次第だ。伯爵殿、少し外してくれないか?」
マリウス公爵は結婚の挨拶に来たとは思えない顰めっ面を隠そうともせずそう言った。
「わ、わかりました。」
父親は不安そうな顔をしながらも言われた通り部屋から出た。
「本題だが。この結婚は、第3王女との縁談から逃れる為の契約結婚だと言うことを頭に入れてもらいたい。期間は王女が諦めて他との婚約を成立させるまで。年齢のことも考えるとだいたい2年といった所だろう。」
「私はこれから書類上君の夫となるが君を愛することはないし、夫らしい事もしてやれないので当然白い結婚になる。私の事は居ないものとして生活してくれ。もちろん君の家の借金は全て肩代わりするし離婚した後も援助しよう。持参金も必要ない。公の場で妻として振舞ってくれるなら後は何をしていてもかまわない。」
公爵様は2人きりになるとそう言い放つ。
そのあんまりな物言いにちょっとイラッとしたものの、元々公爵様に恋愛感情をもっていたわけではないのでこの条件は正直渡りに船だ。
「私は伯爵家によくしてくださるならそれで構いませんわ」
ロベルタがなんでも無いように微笑むと公爵は少し驚いたように
「怒るか泣くかは覚悟してたつもりだがこれは予想外だな…」
そう小さく呟いた。
謎だった結婚の真相もわかり、すっかり安心してしまったロベルタは目の前で紅茶を飲んでいるマリウス公爵の顔の良さにやっと気づいた。
『(は〜、やっぱり美貌の公爵と言われるだけあって綺麗な方だわ。)』
黒く艶のある長い髪、宝石の様な瞳を持った公爵は噂に違わず、思わず見惚れてしまう程美しい。そんな公爵を見たロベルタは美貌の公爵の妻となる女の容姿がこんなボロボロで大丈夫なのか気になった。
「公爵様、ずっとお聞きしたかったのですがどうして私だったんでしょう?もっと釣り合いのとれるご令嬢はいらっしゃいますよね?」
暗にこんな取り柄も何も無い冴えない貧乏令嬢じゃ王女様諦めないんじゃないですか?と言ってみる。
公爵はなんでも無いように言った。
「決め手は君の"スキル"だな。おまけに血筋もいい。」
今公爵がサラッと言ったのはアトランティカ家の超極密事項だ。
なんですって?
ここエトランシス王国では、10歳の誕生日になると稀に固有スキルを発現する者が現れる。実は私は幸運にも「家守り」というスキルを授かったのだが時期が悪く、スキルがあると発覚すると無理やりにでも攫われてしまう恐れがあったので今まで家族だけの秘密にしてきたのだ。それを今公爵様はなんて…?
「ななな、なんでそれををををを!!」
「落ち着け。私は鑑定魔法が使えるからな、過去1度遠目だが君を見かけた時に視た。そのスキルがあれば私が居ない時も屋敷を守れるだろう?これ以上に妻に向いている令嬢がいるか?」
超高等魔法を使えるなんて流石の魔術師団長様ですね。まさかバレていたなんて、でも確かに公爵ともなれば家を守るスキルは必須だろう。私のスキル「家守り」は名前の通り家を守る能力だ。私が許可した相手以外は絶対家に入れない、家を守る事に特化したスキル。私が選ばれたのも納得だ。
「もう質問はないか?無ければ帰る」
「あのぉ〜、最後に少し聞きにくいことですが重要なことなので…公爵様は非常におモテになりますよね?結婚したあと愛人「必要ない」
女性関係で揉めるのが嫌なので尋ねると食い気味に言われた。
やはり女性に興味がないらしい。
公爵様は宣言通り応接室から出ると父に挨拶をしてから帰って行った。
あの挨拶から一月後私達は結婚した。
この世界では、火水土木の4属性の初級魔法(生活魔法)程度なら全員使える設定です。他に光闇聖無属性などがありますが、適正がないと使えません。(固有スキルも持ってる人は大体適正ある)鑑定魔法はその適正がある人が魔法を極限まで鍛えたら使えます。つまりマリウス公爵超すげえって事です。




