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そうだ 城に行こう

 






 俺たちが向かったのはアルケオンにある大教会。の裏手にある病院施設のようなもの。病院といっても入院してる人はいないし、ケガ人もいない。いるのは世間話してるオバちゃんオジちゃんたちぐらいだ。


 どうやら回復魔法が便利すぎてこういう施設はあまり流行らないみたいだ。医者の代わりは光魔法が使える聖職者の人たちがいるし。


 そこに井戸は無いけど井戸端会議してるオバちゃんオジちゃんたち、礼拝に来たついでに近所の人とお喋りするのが日課になってるらしい。それに混ざって話している商人のおっさんがいた。商人のおっさんは俺たちが来たのを喜んで自分を魔物から助けてくれた冒険者だと俺たちを周りのオバちゃんオジちゃんたちに熱弁した。


 そしたらオバちゃんたちになんやかんや褒めちぎられて俺たちは終始好奇の的に晒された。


 その後商人のおっさんは俺たちに主にシーラちゃんたちに感謝と組合からの報酬に積荷損失の過失は含まないとしてくれた。


 命の恩人に感謝しつつアルケオンにある自分の店に来てくれたらサービスすると言って元気に帰っていった。あと馬車は直して渡したら驚いていた。馬は流石にアンデットになっちゃってるから返せなかったけど。


  * 


「ゼレスさん、あたしたちはこの街の宿屋『微睡みの日向草』に泊まってますから」


「あとで寄ってくれると嬉しい」


「分かった。ふたりともありがとう。またあとで」


 俺はシーラちゃんとジャスミィちゃんたちと別れる。ふたりと別れたあとイベントリから手紙を取り出す。


『アルケオン王城に来られたし。この手紙が通行証明書になる――――アウライディス』


 という内容。正直行かなくても構わないんだよな、俺は。このままブッチしても。せっかく異世界での同じプレイヤー同士仲良くしよう、仲間になろう、ていう感じはしないし、ならない。別にこれは俺が孤高を気取ってカッコつけてるとかコミュ症でボッチとかじゃ無い。ホントだよ?


 囁くのだ。俺の中の俺が。決して相容れない。この世界でのプレイヤー=転生者は反発し合う。拒絶する存在だと。


 恐らくこれは、この世界のプレイヤー=転生者が心の底で感じている既視感だろう。


 この世界にあと何人プレイヤーがいるのか。もしくはやってくるのか。何れにせよ闘うことは確定だと思う。そう考えるとあの時聖女を殺してれば後々面倒を省けたかな、と思ったけれど、なんかそれって神様にいいように踊らされてるよなぁ。


 ……気に入らないねえ。誰かしらが描いた物語通りに進むってのは。まあそん時はそん時だ。俺は俺の好きなようにやるだけだ。


「んじゃま、聖女さんに再びお会いしましょうかね」


 俺は悠々と大通りを闊歩する。


 もちろん人々の視線は俺に釘付け。良い気分だ。あとで冒険者登録をしてみよう。そんでいろいろなとこを旅しつつイベントをこなそう。昔仲間にした従魔たちももう一度集めないとならないし、やることは山積みだ。


「ご主人様、でしたら妾の故郷に脚を運びませぬか?如何ですか?」


 アルモディアが俺の影の中で囁く。


「月が白む紅い魔城"ルナメントス"か?懐かしいな、お前をボコった場所だったな。あの時は城破壊してすまんかったな」


「いえっ!あの日、あの時、あの場所で、ご主人様と出逢えた奇跡に感謝すれば城の百や二百何でもありませんっ!!」


 フンスフンスと鼻息を荒げるアルモディア。


「デハ主ヨ、我ガ冥界ニ招コウ。深淵ニ横タワリ惰眠ヲ貪るノハ心地良イゾ?」


 影の中でエルドアザルが言う。


「ならば我が君よ!我の幻獣界へ招待致しますぞっ!!幻想的で美しく、我が君にこそ相応しいっ!!」


 ジークレオヴァルトが他の二体に負けじと吠える。


 三体から熾烈な争いの予感が漂う。


「判った判った、順番ずつ皆んなの故郷に行こう。だから私の影の中で暴れるなよ?叩き出すからな」



 影の中で従魔たちが喜んでいるのが解る。



 ふっ、本当にやることが山積みだ。




 俺は軽い足取りで王城へ向かった。











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