ワクワクが止まらない
「おお〜っ!壮大な眺めだっ!」
俺はエルドアザルの頭に乗り、モルズの森上空から周辺一帯を見回していた。
モルズの森はかなり広く緑地の海が淡々と続いている。
森から北の方角には白い山脈の峰列がうっすら見えるから、あっちの方角が永冬大陸方面なのだろう。
「森の先は平原になっているな。多分アルケオン神聖王国はその先だ」
遠目に森の切れ目から平原地帯に移り変わるのが判る。
このままエルドアザルに搭乗し、一気に森を抜けてしまうのもアリだが、俺はそれを勿体ないと思った。
森の上空に滞空しながらさらに上を見上げると青い空に白い雲がみえる。
そして煌々と燦めく太陽が三つがある。その反対側に月のような天体が大中小と三つずつある。
でも太陽が三つもあって凄く眩しいとか凄く暑いなんてことはなく、いたって普通た。太陽は沈んで夕刻になり、月も三つあるがこの世界も夜は普通に来る。
四季や季節という概念は無く、大陸ごとに自然環境は決まっていた。
ゲームでは空や景色は綺麗なグラフィックだなぁとは思ってもただそれだけだった。
今こうして直接肌で感じる世界の質感が改めて異世界なんだと今更ながら理解する。
…夜になれば無限の星空に埋め尽くされる。
その星のどれか一つが地球かもしれない。
なんてセンチメンタルに浸るほどの感傷や未練は向こうの世界には、もはや無い。
「ゆっくり森を散策するのも悪くないか。現実世界のゲームでは、マップ移動なんてめんどくさいことはスキップしまくってたけど。リアルダークネスセブンズソードでは、全てのイベントを余すことなく楽しみたい」
ゲームストーリー上では七つの魔剣を集めて闇の女神を倒すのが目的だったが、すでに七つの魔剣を手中に収め闇の女神も倒している。
ここから先ははフリーのクエストやイベントがあるはず。
神様も新しくストーリーを創ったらしいし、楽しみは沢山ある。
今の俺は異世界を満喫したくてワクワクしてるのだ。
オラ、すっげーワクワクすっぞ!
「エルドアザル、何か気になる気配はあるか?モルズの森は魔物は少ないらしいが居ない訳ではないだろう?凶暴な野生動物は魔物以上に危険な手合いもいるからな」
ゲームでは無から自然発生する魔物と自然物が魔物化するパターンが多い。
無は何も無い空間から闇が現れて魔物が湧く現象で、自然物は岩や動植物が闇に侵食されて魔物化する現象だ。
闇化、堕落とも呼ばれる。
これは人間も魔物化するのでそう呼ばれるようになったのだろう。
魔物も種類が多様すぎて把握するのは至難の業だ。
スライム、ゴブリン、オーク、コボルト、トロル、ハーピー、オーガなど有名どころと、ダークネスセブンズソードのオリジナルモンスターも満載だ。
「…小サナ動植物ノ気配ハ多数感ジルノダガ、特ニ気ニナルヨウナ気配ハ……ム?森ト平原ノ境界線付近ニ複数ノ乱レタ気ノ流レヲ感ジル…コレハ、人間カ」
エルドアザルが森の前方を見ながら言う。
イベント来たーっ!




