堕ちたる凶星
俺の殺戮タイムに乱入して来たおっさん。
左目に大きなキズがある筋骨隆々で明らかに他の盗賊どもとは一線を画した風貌。極め付けは背中に長剣を二本帯刀していることだ。
ここの盗賊の親玉に相違あるまい。
「…なんだ、この有様は。これは…まさか、テメエの仕業なのか?」
驚愕で見開いた目を細め、ギョロりと鋭い隻眼で睨んでくる。
俺の周りには俺以外生きているものは居ない。
辺り一面盗賊どもの血湧き肉躍るパーリィーが絶賛開催中だ。それに血が滴る大鎌を軽く担いでるんだから俺しかいないだろう。
名推理だ、毛利のオッチャン。
ちなみに俺は返り血は全く浴びていない。そこはゲーム仕様で良かった。
「あんたが御山の大将か?あんたはコイツらと違って多少は出来るクチと見たけど?どうだい、私とやるかい?」
やらなくてもどのみち殺すけどね、と付け加えて血のように紅いぷっくりとした艶やかな唇を曲げて笑う。
「…テメエ…こんだけの数をバラして息も切らして無さげだな。ギルドの討伐依頼を受けた冒険者か?それとも国から派遣された騎士か?」
盗賊の親玉は背中から静かに二刀の長剣に手を掛ける。
俺が武器を抜くことを阻止しないのを確認するとゆっくりと鞘から引き抜いた。
俺は鑑定のスキルでボスオヤジを視る。
バルタス・ボルドール
レベル: 44
性別: 男
クラス: バンディットソルジャー
称号: 廃されし者 復讐者 双頭の牙
おっ!なんと称号持ちだ。しかもレベルが高い。周りの盗賊どもはせいぜい30レベルぐらいだったのにコイツは頭抜けて強いぞ。
双頭の牙はこのオヤジの称号からか。
まあ称号自体は自分では分からないからな。
ちなみに鑑定スキルは人物鑑定と物品鑑定の二種類あるが人物鑑定はプレイヤーや高位クラスの魔導師や人外の存在しか使えないと設定ではあった。それと自分より格上の相手は鑑定出来ない。
オヤジは油断なく二刀を構え間合いを計っている。
俺の大鎌の射程を警戒しているんだろう。
しかも俺はその大鎌を女の華奢な細腕で軽そうに担いでる。
見た目だけで判断していない。いい観察眼だ。
どうしようかな。正直あっさり殺しちゃいそうなんだけどね。いや油断とか慢心とかじゃなくてね。戦いの経験値というか場違いというかフィールドが違いすぎるんだよね。
俺は神殺ししてるんだもん。
まあそんな人間相手に無双して喜んでる俺も最低のクズ野郎ということは自覚してるけど。
俺もカッコよく在りたいと、ただの自己満足だけど俺は俺の欲を満たす為だけにこの世界にいるんだ。
だから自重せず好きにやらせてもらおう。
俺は魔装剣の新たな形態をお披露目することにした。




