私は彼を、想い続ける。
レント君ではなく、カリーナさんのお話です。
楽しんでください。
物語は、前話と平行しています。
1
「必ず、戻る」
彼は、そう言って、蒼白い光に包まれて、消えていった。
その時、彼と私は、結婚式場にいた。
そう、この日は、彼と私の結婚式。
彼は、まだ俺は若すぎる、とか言ってたけど、16歳って、そんなに若いかな。
そんな彼も、私の想い人。
私の結婚相手が彼でよかった、そう思っている。
彼は、私と結婚して嬉しいのかな、私のこと、好きかな、などと今は考えている。
私は、特殊体質。いや、差別対象。
そんな私は、貴族だ。
そのうち、強制的に変な貴族とでも結婚させられていただろう。
そんな時、彼は、私の差別なんて知らないかのように、接してくれた。
まぁ、彼は、差別のことを本当に知らなかったけども……。
そして、差別のことを知っても、同じ態度だった。
私は、第一印象では、彼は、あまりよくなかった。
だけど、今は、彼のことが好きでたまらない。
だから、彼を待つ。
どれだけ待たされても……。
2
彼と、最初に顔を合わせたのは、1週間前くらいかな。
え、なんで覚えてないかって?
そりゃ、彼の第一印象が地味な感じだったから。
じゃあ、なんで今はそんなに好きかって?
私的に、第一印象が地味とは言ったけど、外見はよかったんだよね。
漆黒を写し出したかのような、黒い瞳、黒の中に僅かに存在する茶色の髪のバランスとか。
あとは……私を恐れなかったことかな。
それからはいろいろあって、二人で街の中を歩いたり、彼の故郷について教えてもらったり。
二人で街を歩いた時は、彼がデート、デートって言って、テンション高かったなあ。
シュバルテの独断の陰謀とかで、私は彼と結ばれることになったけど、彼は私のこと、本当に好きなのかなぁ?
この答えは、彼が帰ってきたときに聞くとしよう。
「必ず、必ず、帰ってきてね、レント!」
こうして私は、待ち続ける。
3
彼が消えて、1週間。
その日の夜、微かな音が、寝室に響く。
こんな時間に誰だろう? そんな疑問に私は、後ろに振り向いた。
そこには、一つの人影。
徐々に近づいてきている。
警戒心から少し身構えたが、近づくにつれ、その人影の全貌が見えてきた。
それは、見慣れた、いや、恋い焦がれた人物であった。
私は思わず、その人物の名前を呼ぶ。
「レント……」
私がずっと待ち続けていた人物が、そこにいた。
約束、守ってくれたね、心の中で私は呟く。
彼も名前を呼ばれ、私の待ち望んだことを言った。
「ただいま、カリーナ」
私は、目尻に涙を浮かべ、言うべきことを言う。
「おかえり。おかえり、レント」
そして私は、彼に飛びついた。
彼との再会は、こうして終わった。
次は、第3章です。
評価ください。




