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凡人以下の俺に異世界でチートスキルがあったら奇跡だと思います。  作者: 羽矢隼
第2章 俺は異世界に帰りたい。
10/20

 私は彼を、想い続ける。

 レント君ではなく、カリーナさんのお話です。

 楽しんでください。

 物語は、前話と平行しています。

  1

 「必ず、戻る」


 彼は、そう言って、蒼白い光に包まれて、消えていった。

 その時、彼と私は、結婚式場にいた。

 そう、この日は、彼と私の結婚式。

 彼は、まだ俺は若すぎる、とか言ってたけど、16歳って、そんなに若いかな。


 そんな彼も、私の想い人。

 私の結婚相手が彼でよかった、そう思っている。

 彼は、私と結婚して嬉しいのかな、私のこと、好きかな、などと今は考えている。


 私は、特殊体質。いや、差別対象。

 そんな私は、貴族だ。

 そのうち、強制的に変な貴族とでも結婚させられていただろう。

 そんな時、彼は、私の差別なんて知らないかのように、接してくれた。

 まぁ、彼は、差別のことを本当に知らなかったけども……。

 そして、差別のことを知っても、同じ態度だった。


 私は、第一印象では、彼は、あまりよくなかった。

 だけど、今は、彼のことが好きでたまらない。

 だから、彼を待つ。

 どれだけ待たされても……。

 

  2

 彼と、最初に顔を合わせたのは、1週間前くらいかな。

 え、なんで覚えてないかって?

 そりゃ、彼の第一印象が地味な感じだったから。

 じゃあ、なんで今はそんなに好きかって?

 私的に、第一印象が地味とは言ったけど、外見はよかったんだよね。

 漆黒を写し出したかのような、黒い瞳、黒の中に僅かに存在する茶色の髪のバランスとか。

 あとは……私を恐れなかったことかな。

 それからはいろいろあって、二人で街の中を歩いたり、彼の故郷について教えてもらったり。

 二人で街を歩いた時は、彼がデート、デートって言って、テンション高かったなあ。

 シュバルテの独断の陰謀とかで、私は彼と結ばれることになったけど、彼は私のこと、本当に好きなのかなぁ?

 この答えは、彼が帰ってきたときに聞くとしよう。

 

「必ず、必ず、帰ってきてね、レント!」


 こうして私は、待ち続ける。


  3

 彼が消えて、1週間。

 その日の夜、微かな音が、寝室に響く。

 こんな時間に誰だろう? そんな疑問に私は、後ろに振り向いた。

 そこには、一つの人影。

 徐々に近づいてきている。

 警戒心から少し身構えたが、近づくにつれ、その人影の全貌が見えてきた。

 それは、見慣れた、いや、恋い焦がれた人物であった。

 私は思わず、その人物の名前を呼ぶ。


「レント……」


 私がずっと待ち続けていた人物が、そこにいた。

 約束、守ってくれたね、心の中で私は呟く。

 彼も名前を呼ばれ、私の待ち望んだことを言った。


「ただいま、カリーナ」


 私は、目尻に涙を浮かべ、言うべきことを言う。


「おかえり。おかえり、レント」


 そして私は、彼に飛びついた。

 彼との再会は、こうして終わった。

 

 次は、第3章です。

 評価ください。

 

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