俺の異世界生活、これから始まる。
第3章です。
第3章は、かなり長くなります。
1
朝。
俺は、目を覚ました。
そして、ここがあの、自分の引きこもってた、あの部屋でないことに安堵し、体を起こす。
かなり昔のことのように思えるが、これは、昨日の話だ。
俺は昨日、この世界に帰ってきた。俺は、異世界召喚されている。
この世界で、俺が出会った異世界美少女ヒロイン、カリーナ・トゥエルブと俺は……
『結婚している』
いや、わかってるよ!?
話がいきなり過ぎるだろうって、言いたいんだろ?
実際、俺も、超ド級の急展開にかなりビビった。
ヤバすぎだろ?
引きこもりの男子高校生が、異世界召喚されて、その上、そこで出会った美少女ヒロインと結婚、とか。
どんな履歴だよ……。
そして、現実世界に戻って、この世界に再会して、今に至る。
俺は、現実世界に戻ったときに、遂に、チートスキルを手に入れた!
はい、嘘です。ただの駄スキルです……。
性能をいいんだよ? いや、弱点があるからどうとも言えない。
基本効果は、かなり強い。しかし、弱点とスキル名が±0、いや、-1ぐらいにしている。
俺は、自分のスキルに頭を悩ませていたとき、シュバルテが俺を呼んでいた。
「レント殿、朝食の準備が整いました。カリーナ様も着席されていますので、お早めに」
朝食の時間のようだ。
俺は、急いで部屋を出ようとしたが、数歩歩いたところで立ち止まった。
このとき、俺には、一つの名案(?)が浮かんでいた。
「……スキルの効果でも試してみるか」
俺は、自分の駄スキルを少し試してみたかった。
そこで俺は、一番スキルの効果がわかりやすい、«ぼっちは歩くのが速い»を使う。
このスキルは、発動中、歩いている限り、誰も認識できない、と言ったスキルだったはずだ。
「スキルって、どうやって発動すんだ?」
今気づいた。
俺、スキルの発動法知らねぇや。
「とりあえず、ありがちなスキル名を言ってみるか」
バトル系マンガとかで、中二病的な必殺技を大声で言ってるから、それに倣ってみることにした。
「スピニング・オンリー!」
「……」
あれ? 何にも起こらねぇ。これじゃ、ダメだった?
俺の夢であった、異世界でのスキルの使用は、まだまだ先らしい。
「……諦めるか」
とりあえず、朝食にしよう、そう決めた俺は、カリーナやシュバルテの待つダイニングへ向かう。
そういえば、『とりあえず』って、最近だと、『まぁ』と合わさって、『とりま』って言うだよね。
はい、どうでもいいですね。
俺は、まだ惰眠を貪りたいという欲を抑えきれず、だらだら歩いていた。
これでも勇者かよ!
いや、自分に言ってどうする……。
それは俺の姿をみた誰かさんのセリフでしょ。
2
俺がダイニングに来たときには、もう朝食の準備は整っていた。
俺は、無言で椅子に座っても、誰も声を掛けてこない。
俺も、おはよう、と言っていなかったため、俺から言うことにした。
「おはよう」
俺が声を出した瞬間、カリーナとシュバルテの瞳に驚愕の色が浮かぶ。
はて? 俺が何かしたかな? なんて思っていると、シュバルテは、俺に向かって、俺すらもわからない質問をしてきた。
「レント殿、いつから……?」
どうやら俺が来たことに気づいてなかったらしい。
俺、いきなり影薄くなったのかな。
な訳あるか!
でも、何で気づいてなかったんだ?
とりあえず、俺は事実を言って質問の意図を探す。
「まぁ、ちょっと前から座ってるぜ」
またまた驚愕。
俺じゃなくて二人がね。
そんなとき、遂にカリーナが、俺以外の皆が思っているであろう、驚愕の意味がわかった。
「レントって、透明人間にでもなれるの?」
はぁ? 俺、透明人間になれんの? いや、なれねぇよ。
更に、カリーナは続ける。
「ここにレントが来たの、誰も気づいてないんだよ!?」
ここにて真相理解。
なるほど。あのスキル、発動してたのかよ!
発動の合図がねぇからわかんなかった。
ぼっちスキルは、発動さえも気づいかれないのか。
俺は、それをカリーナやシュバルテに伝える。
「あ~、それ、俺のスキルっていうか、魔法というか……」
伝わったかな?
そうしたら、カリーナは興奮した様子で俺にスキルのことを聞き始めた。
「なになに? どんなスキルなの!?」
興味津々だな、おい。
あんまり話したくねぇ。
でも、自慢してぇ~。
さて、話してやるか。
「簡単に言うと、俺が歩いている間、誰も俺の存在を認識できない、っていうスキルだ」
弱点のほうは……いいや、言わなくて。
俺の説明にカリーナは、その紅い瞳を輝かせている。
「それって、かなり強いよね?」
カリーナに続き、シュバルテも、口を揃えて言った。
「いつの間に……そんなものを。……まったく、レント殿には驚かされます」
おいおい、照れるだろ~。
うわっ、嫌だ。
俺、今頃どや顔してるんだろうな……。
想像すると我ながらキモいな。
そろそろ腹減ったな……。
締めの一言、言いますか!
「よしっ! このスキルで魔王だが何だかをボコしてやるかっ!」
俺の異世界生活、やっと始まった。
そう心の中で俺は、感じていた。
3
その頃、魔王に脅かされている王都、トウキョー。
トウキョーは、タナカミツクニによって創られた、大規模国家の都市である。
そのトウキョーのど真ん中にある大きな城。
そこでは、騎士団らしき集団が話し込んでいた。
「あの英雄の剣、『真・覇王剣リザリアーク』を鞘から抜けた奴がいるらしい」
「まさか。そんな奴がいるわけなかろう」
「いや、実際にいるらしい。身元も割れています」
「信じてはいない……が、どこのどいつかだけは聞いておこう」
何やら、偉そうな老人と、騎士団の会話らしい。
「どうやら、トゥエルブ家の一人娘のカリーナ様の婿養子らしく、魔王退治に参加するとのことです」
一通り話を終えたところで、老人は、大きな声で笑い始めた。
「笑わせるな。そんなどこの馬の骨かもわからん奴に、抜けるわけがなかろう」
その老人は続ける。
「そんな奴がいるなら是非とも会いたいがね。いるわけないだろうがな……」
魔王退治の当日まで後3日。
感想等々、お待ちしています。




