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35話 待ち伏せ

 自分の部屋につくとそこには一人の少女が扉の前で待ち構えていた。


「あ! やっと帰ってきた。また授業サボって森に行ってたな〜?」


「こんな遅くに何の用だよラミア」


 彼女の後ろには魔装機のガーロットが悪魔の姿で立っておりとても目立っていた。


「まあ、立ち話もなんだからちょっとお部屋に入れてくださいな?」


「……どうぞ」


 今は人がいないからいいがガーロットが他の生徒に見られればまずいだろう。


 ラミアとガーロットを部屋に入れて適当に座らせる。


「それで、何の用だ」


「いやいや、なんの用じゃないでしょ〜? レイル君、目を覚ましてからまだ一回も授業受けてないじゃん、そろそろタイラス先生も不味いって言うぐらい出席が足りてないっぽいよ?」


「……わかってるけど今はそれどころじゃないんだ」


「それどころじゃないってどういうこと?」


 ラミアは顔を顰める。


「アニスがまだ助かるかもしれないんだ」


 ポケットから魔石を出してラミアに見せる。


「助かるって……どうやって助けるの?」


「それは今考えてる、でも何をするにしろ今の俺は弱い。だから森で……」


「特訓してると?」


「そうだ」


「……」


 ラミアは大きくため息をついて俺を睨む。



「確かにその魔石には魔力があるけど絶対に助かるとは……」


「そんなのわかってる!! ……それでも俺はアニスを助けたいんだ」


 ラミアの言葉を遮り、感情的になる。


「もしアニスちゃんが助かったとしてもレイル君は出席が足りなくて学園を去らなくちゃいけない、それじゃあ本末転倒じゃない!」


「……」


 ラミアの言ってることは正しい。


 俺は騎士になるためにこの学園に来たんだ、自分の武器を治すと言ってこのまま行けば学園を辞めなければいけなくなる。


 それでも……それでも俺はアニスに言わないといけいことがあるんだ。


「それでも俺は……」


「……そう、もう決めたことなんだね。じゃあいいよ私はレイル君に何も言わないし知らない、勝手にすれば」


 ラミアは踵を返し部屋を出ていく。


「はあ……」


 後ろでずっと黙っていたガーロットは頭を掻きながら部屋を出ていこうとする。


「ああそうだ、一つだけ餞別として教えてやるよ」


 ドアノブに手をかけたところでガーロットは足を止める。


「餞別?」


「俺たちを創った魔王はまだ魔界領にある城に住んでる。魔王ならもしかしたらお前の魔装機を直せるかもしれない、むしろ魔王で治せないなら他の誰にも治すことなんて無理だろうな」


「なんでそんなこと教えてくれるんだ?」


 単純な疑問だった。


「……何故か……そうだな、お前達を倒さないと俺とアイツの気が済まない、ただそれだけさ。せいぜい足掻くことだな」


 ガーロットは部屋を出る間際、手を軽く振って答える。


 気が済まない、か……。


 ベットに腰を下ろして先程の言葉を考える。


 そのまま流れで横になり仰向けになると急に疲れがやってきた。


「魔界領……」


 そこに行けばアニスが直せるかもしれない。

 ……やるしかないか。


 新たな手がかりを手に入れ、決意を新たにするがどんどん瞼が重くなっていく。


 駄目だ、ご飯を食べる元気もない。今日はこのまま寝るか。


 そうして目を閉じて夢につく。


 ・

 ・

 ・


 彼が少年の部屋を出ると彼の主人は右を向いてすぐ横の壁に背を預けて腕を組んでいた。


「はあ……なんともまあ素直になれないなお前は」


「う、うるさい!」


 大きな声で怒ると少年に聞こえてしまうかもしれないので小さな声で怒る。


「何を話していたの?」


 預けていた背を持ち上げて歩き出す。


「とある宛を紹介しただけだ」


「……そう、彼の反応は?」


「行く気満々だったな、アレは」


「そう……」


 主人は難しそうな顔をして顎に手を当てる。


「ん?止めに行かなくていいのか?」


 少し茶化してみる。


「いいよ別に、もう知らないし……」


 難しそうな顔したかと思えば膨れた顔をしてぷいっとそっぽを向く。


 ……本当にめんどくさいな、うちのご主人様は。

「何よ、その呆れた顔……」


 おっと顔に出ていたようだ。


「いいえ、なんでも」


 素直じゃないな、という言葉は心の中に秘めて主人の後ろを黙って歩く。


「人がせっかく心配してあげてるのに……君がいなくなったら……」


 ご主人様は先程のやり取りを思い出してか、不満そうにぶつぶつと独り言を呟く。


 ……それを素直にいえばきっとやつにも伝わると思うのだが。


 うちのご主人は本当に素直じゃない。


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