82 井戸
「ご無沙汰しています。」
そういって、顔を出したのは、村長のところであった。
ゴブリン討伐を行った際の事を、ウェンツに話をしたところ、挨拶に行くことになったのだ。
松岩をもらうくらいなら、現場で話をするだけでもよいかもしれないが、知り合いならば村長に話を通しておいた方がいいというウェンツの提案であった。
正直、フェルのことを相手が覚えているかどうかは正直微妙だと思っていたのだが、検分に来た村人が忘れていなかった。
”転送”を使った穴掘りが印象的だったのだろう。
「先日はありがとうございました。ところで、今日はどうされましたかな?」
「いや、実は村長に許可をいだきたい話がありまして。」
応対をするのはフェルではなくウェンツだ。
「実は、こちらで、大きめの松岩・・・珪化木をいくつかいただきたいと思っています。」
「松岩?あんな岩なら好きなだけ持って行ってもらえばいい。どこの廃坑にも大体入り口付近に大量にあるだろう。」
「ありがとうございます。一応、許可を取っておきませんと。」
「ところで、フェル君。君が魔法で穴掘りをした話は聞いたよ。
そこで、ちょっと頼みたいことがあるんだが。もちろん報酬は払うよ。」
村長から逆に依頼を受けることになったが、今後のためにも無理な依頼でなければ受けた方がいいだろう。
「いや、実はね。今の炭鉱の近くに井戸を掘る計画があるのだが、それこそ松岩などもあって、うまく掘れていなくてね。いや、フェル君の本来の能力の使い方ではないのはわかってるんだ。ただ、水の補給は炭鉱の死活問題でね。」
炭鉱のような空間で水分の補給が必要なのは当たり前だが、現在は町から輸送しているという。
「井戸掘りですか?僕・・そういうことやったことないですけど・・。まぁ、掘るだけなら多分大丈夫ですが・・・」
「もちろん、井戸をつくるのは、ベテランがいるからその者がやる。
ただ、土を掘るのを何とかしてほしいのだ。」
「村長・・・掘る場所は大丈夫なのか?ちゃんと水が出るのだろうな?」
「そこは、これまでの経験からも大丈夫だと思う。」
「大丈夫か?フェル」
「多分・・・。ちなみに、失敗した場合とかペナルティとかあるんですか?」
「いや、ギルド経由でもないし、こちらの勝手なお願いだからそういうものはないよ。
ちなみに依頼料は金貨10枚ぐらいでどうだろうか。」
「ええ、わかりました。」
そう答えようとしたフェルに、肘で少しウェンツが合図をして話し出す。
「一応、お断りしておきますが、村長もいわれるように、これは本業ではありません。
今回はこちらも初めてですし、その値段でお引き受けしますが、一応前例としないということでお願いします。」
おそらくわざわざ依頼をしてくるということは、何度が高いとおもわれる。
金貨10枚という値段が妥当かが微妙なのだ。
今回受けるのはいいが、何度もその金額で依頼をされてはたまらない。
「ああ、ウェンツ殿の心配ももっともだな。それは約束しよう。」
・・・・
「結構、松岩ってあるんですね。」
「ええ、これが原因で坑道が行き止ることも多いんです。」
松岩・・・珪化木は、文字通り木の化石なので、大きなものであればかなりの大きさになる。
下手な岩石よりも固く重いので、採掘が大変なのだ。
石炭と同じ層でとれるのだが、加工が難しく重いため輸送も大変なので、放置されたり、精々邪魔にならないように入り口まで持っていくぐらいなのだ。
「とりあえず、松岩は帰りで、先に井戸掘りだな。」
「はい。」
「このあたりです。」
そこは、炭鉱の入口から少し低い場所にある広場のような場所であった。
「ここでいいですか?」
「ええ。井戸なので、直径1.5mぐらいの穴をお願いしたいんです。」
「形は?」
「それは、四角でも丸でも構いません。」
「では、四角でいかせてもらいます。」
「ティルク・・・お願いできる?」
「うん。深さはどれぐらいだろう?」
「井戸って言ってたから、水が出るまでみたいだけど・・・わかる?」
「うん。何回かにわけたほうがいいよね?」
「うん。」
フェルが、転送を使って土を掻き出す。そして、すぐ隣に土と岩の山ができる。
中にはかなり大きな珪化木もある。
フェルの要件は、それで十分なサイズだ。
ウェンツとニースは、その様子を見て、井戸職人以上に驚いている。
「そんな収納魔法の使い方・・・見たことないな。」
「まぁ・・もう慣れたけどね。でも、やっぱり念を押しておいてよかったかも・・・。」
「だな・・・。こんなに簡単に井戸が掘れたんじゃ井戸職人の仕事が無くなっちまう。」
「いや・・確かに。今回は助かりますが、これはちょっと・・・」
「水が出たみたいです。これでいいですか?」
掻き出した土が濡れている。どうやら水脈まで竪穴が到達したようだ。
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無理やり更新させようとしたので、文が短いうえに荒いです。すみません。




