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僕は、魔法が使えない。  作者: アーシェス
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83 珪化木

「これなんかよさそうですね。」

フェルは、井戸を掘ったあとから特大の松岩を収納する。

「ああ・・・。しかし、これなら・・・。

フェル。実は、ちょっと頼みがあるんだが・・・」

「どうしたんですか?ウェンツさん。」

「いや・・・、急ぐ話でもないし宿に戻ってからにしよう。

村長にも報告にいかなければならんしな。」



・・・・



フェル達は、村長に井戸の報告を行い報酬を受け取ると村の宿屋に泊まった。

ウェンツは、”暁のカルテット”の名前を売ることもも抜かりはない。

魔物が出た時など、可能な限り指名依頼をお願いしたのだ。


そして、ウェンツとニーズとフェル。3人で夕食を食べながら歓談をしていた。

「すみません。一応これ。」

そういいながら、フェルは金貨を3枚づつウェンツとニースに渡そうとするが、流石にウェンツ達はそれを断る。

「それは、フェルの稼ぎだろう。」

「でも、今回なにもなしに一緒について来てもらってますし。」

「にしてもな・・・。じゃぁ、今日の飯をおごってくれ。

あと、それとは別だが、さっきの頼みを考えてくれんか。それで十分だ。」

確かに、仲間ではあるが一緒に無償でついて来ていることにフェルも気を遣っているのだろう。

子供に奢られるというのも、あまり褒められたことではないが、まぁ大した金額ではないし、フェルは正直自分達よりも金を持ってるかもしれない。妥当な線であろうとニースも思った。


「でな、頼みというのは他でもない。ここから2日ぐらいの距離にガティコという小さな村がある。

ここは、俺達の故郷でな・・・。小さな修道院とそこがやっている孤児院がある。

この村のように特産品というほどのものはないが、農産物は結構豊な方でな・・・。

それでまぁ、なんとかなっている村だよ。」

暁のカルテットが孤児院の出身だとは聞いていたが、具体的な場所までは効いていなかった。

むしろ、エルアの街の出身かと思っていたぐらいだ。


「でな、頼みっていうのは、この街の周りに土塁をつんで、囲ってもらえないかと思っているんだ。」

「土塁・・ですか?」

「ああ。実は、俺達が駆け出しのころ、ガティコの村が盗賊団に狙われたことがあってな。

俺達がいたこともあって、村で応戦をすることになったんだ。ギルドにも対応を依頼したしな。

で、結果としては応援を頼んだハンターの活躍もあって、盗賊団は壊滅したんだが、村人が何人か犠牲になってな。それに、今でも野生動物・・・まぁ、主に猪だが村に降りてくる場合があってな。村の中に入られると女・子供などには危険だろう。

柵をつくるんだが、正直金もないし、ちゃちくってな・・・。」

「なるほど・・・・。それで、さっきの応用で穴をほってそれを積み上げて土塁ですか。」

「ああ。城壁みたいな高くて堅いものじゃなくていいんだ。

壁があるだけで、盗賊も野生動物も牽制になるからな。もちろん、只とは言わん。

まぁ、そこまで出せるわけじゃないんだが。」

跳龍の稼ぎはあるだろうが、おおよその暁のカルテットの台所事情は大体わかっている。

フェルの方が、よほど金持ちだ。

それに、いまはフェルが暁のカルテットの家にお世話になっているし、なによりフェルを助けてくれている。正直フェルはウェンツ達から金を貰うつもりはない。


「まぁ・・どうせ何かするあてはないですし、いまんとこお金に困っているわけでもないですからいいですよ。このままいくんですか?」

「いや、流石にギルやカティアもつれていきたいし、野宿することになるから、この人数だと不安だしな。クリスも行きたがるかもしれんし。」

最近、クリスは忙しそうだが、そうはいっても仲間外れにすると後が怖い。


「どうせなら、なにか依頼とか一緒にこなせるといいんですが。護衛依頼とか・・」

「ん?俺達は護衛依頼は受けれんぞ。お前達もそうだろうに。」

言われたことが良くわからず怪訝な顔をフェルがすると、ニースが解説をしてくれた。


「あのね。護衛依頼っていうのは、基本は盗賊や魔物に襲われないようにするのが一番の目的よね。

そして、もっと言えば襲われても、安全に依頼主を守れればOKよね。

なので、私達みたいな妙齢の女性がいれば、盗賊にとって襲う価値があがってしまう上に、依頼主も降伏しづらくなるの。もし降伏しようとしたら私たちは必死の抵抗をすることになる。売られたくないもの。

だから、よほどのことがない限り、私達は護衛依頼を受けられないの。

まれに、保護する人に既に女性がいるからということで指名がある以外はね。それは、クリスも同じよ。」

「女性がいるというのは、依頼条件などで書かれることが多いが、その逆はあまり書かれていないからな。だから暗黙の了解というやつだ。エドガーさん達がバーンが抜けた時に、フェルとクリスを誘ってたけど、そこまで言わなかったろ?クリスが入ると護衛依頼が出来なくなるからさ。

まぁ、エドガーさん達ならそれでも良いと思ってたのかもしれないが、それだと困る人もいるからな。

あの人たち二人しかいないのに結構人気なんだよ。指名が結構はいってる。」


たしかに、エドガーとリュークの指名依頼は良く入っている。ミンツさんもその一人だ。

しかし、そうするとバーンがいなくなった後、エドガーさん達のパーティーに入るという選択肢は消えることになる。時々は一緒に依頼を受けることもあるかもしれないが。

そうすると、暁のカルテットの誘いは魅力的だし、実際に助かっている。


「クリスに相談しないといけないな・・・」

4人が6人になったらなんていうんだろう・・・などと考えるフェルであった。







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