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僕は、魔法が使えない。  作者: アーシェス
63/106

63 魔法薬

ゼペットから頼まれたものは、意外と簡単に集った。

樽、米、芋、油、酢、炭、乾物の海草・・・お金さえあれば、何処にでも売っているものだからだ。

最も難しかったのが青カビだった。


パン屋やチーズ工房などを回るが、カビのついた売り物などは流石に売っていない。

店の人に尋ねるが、逆に怒られる始末である。まぁ、当たり前といえば当たり前である。

あっても、店の信用にかかわるからあるなどといわないだろう。

“暁のカルテット”の3人もフェル達も街を探し回るが、手に入らない。


「カビ・・・カビ・・・・。」

何処にでもありそうで、普段は邪魔な存在なのに、いざ探すとなるとみつからない・・・。

“約束の双子亭”もあたってみるが、青カビは見つかれない。

ここは、単に客の回転が速いのが理由のようだ。

途方にくれて“暁のカルテット”の家に帰ってそれは見つかった。


「あ、あの柑橘についてるの青カビじゃないです?」


それは、テーブルの上に無造作に置かれた柑橘系の果物の実であった。

屋台で買ったのか、森で獲ったのか・・・それすらも忘れていたのだが、皮にびっしりと青カビがついている。灯台下暗しであった。




・・・・・





“暁のカルテット”の家の中では、ゼペットとその指示によってバーンが着々と準備をしていた。

芋の煮汁と米のとぎ汁をあわせた小さめの栓のついた木樽に人肌の湯をいれ、そこに柑橘の皮からそぎ落とした青カビと何やら薬を一つ入れる。さらに油と水、そしてその木筒の中身をゆっくりといれてかき回していく。

ゼペットは、「油に溶けるもの」「水にも油にも溶けないもの」「水に溶けるもの」の3つにわけるための仕組みだと説明するが、バーンだけが頷くだけで、他のメンバーにはまったく仕組みが分からない。


炭の入った樽に栓からその中の液を打つして、なにやら色々と材料から絞り出した液をかけていく。

順番や理屈なども説明していくが、これもバーンにしかわからなかった。

ただ、手順はフェル達もおぼなくてはいけない。


バーンは魔法薬つくりに集中する必要があり、基本の薬の調合は、ゼペットとフェル達でしなければいけないのだ。その後も、いくつかの工程を経て樽1つから木筒3本分の薬がやっとできる。


「これで、薬の完成じゃ・・・。あとは、魔法薬にしていくだけだが・・・・

ここから先は何もしてやれん。お前さんだけが頼りじゃ・・・。」

そういうと、木筒をバーンに渡す。


「さて、お前さん達、バーンが成功するまで何本必要になるかわからんが、とにかくこれを作りまくるんじゃ。材料がたりなんだらまた買ってこなければならんからな。」

そういいながら、また薬を作り出す。




バーンは、精神を統一しながら、薬に付与を試みる。

魔法薬に必要なのは、「即効性」「効果増強」の2つの効果の付与をする。

同時に2種の効果を付与するため高難易度の付与魔法になる。

もちろん、効果のレベルは術者のレベルによるので、バーンが創れるのは効果増量値はそこまで高くないのだが、それでも普通の薬とは一線を画す効果になる。


1本の挑戦にかかる時間は、おおよそ5分。

少し、自分の中から力が抜けるのがわかる。

失敗をしても、やはり魔力は消耗する。適度な休憩は必要不可欠になる。


3本の挑戦をするが、やはり簡単には成功しない。


「フェル。失敗したものは、そのまま樽に入れて水分を蒸発させろ。

粉末状にしたら木筒に詰めなおせ。3本分で1本だ。」


そういいながら作業を繰り返す。

繰り返すこと32回・・・失敗作は96本・・・・。

作業は深夜まで及ぶ。

そろそろ、バーンも精神力も材料も限界に近付いていた。


「で・・・できました。」

バーンが疲れ切った様子で1本の木筒をゼペットに渡す。

100回近くやって1つ。生成率でいえば、1%未満・・・。

それでも、バーンにしては良くできた方かもしれない。


ゼペットは、薬の色や匂いの変化を確認すると頷く。


「よくやった。あとは任せろ。」

そういうと、注射器を取り出し、薬をすわせるとカティアの腕に針を刺し、薬を注入する。

カティアはすこしビクンと反応すると、静かに寝息を立てる。

しかし、すぐに何か効果が出ない。


「失敗か・・・」

そうバーンは考えるが、ゼペットが指示を出す。

「バーン。乾燥させた粉末を1つを水で溶いて飲ませるんだ。あとは、明日の朝確認だ。

皆も、今日はここまでだ。場合によっても明日も同じようにせねばならん。休め」


それだけを言って、部屋を出ていった。



・・・・





翌日、カティアの部屋に集まったメンバーはカティアの様子を見て驚く。

まだ完全に水泡は消えていないものの、随分と良くなっている。


「よし、効果は出ているな。もう1本ぐらいほしいところだが・・・・。

まぁ、飲み薬でももう大丈夫だろう。朝と夜に1本づつ水に溶いて飲ませるんだな・・。

これでとりあえず1週間。容体が急変したり、他の誰かに同じような水泡がでたらすぐに連絡するように。あと、その間は極力外出を禁止しろ。」


そう指示をすると、ゼペットはギルドへと向かったのだった。








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