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僕は、魔法が使えない。  作者: アーシェス
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61 先輩ハンター2

回収依頼を私たちが受ける・・・”暁のカルテット”の3人は、何を言われているのかがわからなかった。

フェルの”転送”を見るまでは・・・。


フェルは、オークに近づくと瞬く間に3匹を消して見せた。


『しゅ・・・収納?!』


収納魔法は貴重だが、希少ではない。ギルドにも何人か使える者はいる。

しかし、目の前にいるのはあきらかに自分達よりもかなり年下の少年である。

いや、少年だから使えないという理屈はないのだが、ただこの年でそこまで魔法を使いこなせていることは驚愕であった。自分達も発火などのほとんど基礎的な生活魔法しか使えないのだ。


「どうされます?3匹いただいたので、これで3:2ですけど・・・」

クリスがリーダー格に話しかける。

正直1割というのはかなり安い。しかも、依頼は確実に受け付けられるし、後日回収結果を確認しなくてもいいわけである。

「す・・すまん。たのむ」

その返事を聞いて、フェルは残りの2体も収納をした。



・・・・





帰りの道は順調だった。

”暁のカルテット”の3人はリーダーがウェンツ、もう一人の男がギル、そして紅一点の女性がニースと名乗った。本来はもう一人カティアという女性がいるらしい。

ハンターで女性というのは正直珍しいから、二人もいるこのパーティーは特殊な存在なのかもしれない。


実は、今回の彼ら目的は、リングの花といわれる花の採取だったらしい。

比較的珍しい青い花らしく、薬の材料に必要らしかった。

「リングの花は、この季節ではなかなかお目にかかれませんよ。咲く時期が違います。」

バーンはそう答えるが、それは”暁のカルテット”の3人も知っていたようだった。

それでも、森では稀に季節外れの花が咲くこともある。

そこで、ダメもとで捜索にきたところ、オークに遭遇したらしかった。


「オークごときに面目ないが、したばっかり見ていてちょっと気づくのが遅れちゃって・・・」

ニースが面目なさそうに言う。まぁ、あのニースの悲鳴があったから駆けつけることが出来たのだが。





ハンターギルドについた6人は、ギルドには搬入口の方から入る。

フェル達を見つけたネールがやってきて、ため息をつく。


「おまえら・・またこっちからか。」

搬入口からの納品・・・つまりはそれだけの量があるという事だ。

次々とオークを出していくフェルだが、ギルドの職員はもう誰も驚かない。

一昨日にあれだけの物を出したメンバーだし、今日は”暁のカルテット”のメンバーも一緒だ。


「オークだな。しかし、捌きもせず丸ごとか。

これは逆に手間賃で値段が少し落ちるぞ。一体金貨8枚だな・・。」

岩蜥蜴の尻尾とくらべるとずいぶん安いが、いかに豚や猪と同じ食味とはいえ、人型のオークは値段が下がるし、解体が面倒なのだそうだ。その分安価で出回るため一般市民に親しまれた味らしい。

それでも、稼ぎとしては十分である。そもそも今回は稼ぐ気がなかったのだから。



「ネールさん。リングの花・・・入荷ありませんか?」

ウェンツが、ネールに確認するが首を振られる。

「そうですか・・・。」

報酬を得たのに、”暁のカルテット”のメンバーは釈然としない。

あまり立ち入ったことを聞くのは野暮だとは思っていたが、バーンはその表情をみて、放っておけなかったようだ。

「なにか・・訳ありのようですね。何かお力になれることがあれば・・・・」

自然とそう声をかけていた。



話は、結構深刻だった。

本来、”暁のカルテット”のメンバーであるカティアが、原因不明の病気で床に臥せっているという。

そして、その病の薬になるかもしれないのが「リングの花」からとれる蜜だというのだ。

残念ながら、原因のわからない病には回復魔法は効かない。


バーンは、残念ながらそのような薬の存在は知らなかったが、いくつかの病の処方箋は知っていた。

完治まで行かずとも、症状の緩和ぐらいならできるかもしれない。

そう思って、自分が薬師の卵であることを告げた。

ウェンツは少し迷っていたが、それでもカティアが少しでも楽になるようならと自分たちの家にバーン達を案内してくれることになった。


”暁のカルテット”は、宿暮らしではなく、さほど大きくはないが街はずれに自分達で共同生活をするための家を借りていた。

そして、その一室に全身を包帯につつまれたカティアという女性は寝せられていた。


扉を開けると、鼻を突くような水が腐ったような匂いがした。

包帯は、黄緑色の体液で汚れており、顔のあちらこちらにある水疱がいくつか破けて、見るも無残な姿になっている。


「こ・・これは・・・。」

バーンも息をのむ。皮膚に膿腫ができ腐ってきているのだ。

想像していた以上に酷い。全身をかきむしった跡が、さらに痛々しさを増していた。

ウェンツがためらった理由がよくわかる。


バーンは、正直自分の力不足を感じていたが、とりあえずできることを試してみようといくつかのことを試みた。

まずは、魔法薬の使用である。貴重な薬だが、この症状をみては使わざるを得ない。

綺麗な布に、魔法薬を浸して、患部をふき取る。

患部の腫れやひっかき傷は綺麗に治るが、根本の水泡はなくならない。

さらに、かなり希釈した麻痺薬で患部を素早くふき取ってみる。効いているかどうかはわからないが、かゆみ止めの代わりになるはずだ。

治りはしないが、少しは楽になったようで、カティアは少し微笑む。

すでに、弱っていてまともにしゃべれないようだ。


効果を確認したバーンは、クリスとニースに頼んで、全身にも同じような対応を依頼し、部屋を出た。

そして、ウェンツにいくつかの確認をすると、家を飛び出てあるところに向かっていった。









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