51 帰路
ゴブリンたちを埋めて、村にもどると時間はちょうど夕方近くになっていた。
「よかったら、公衆浴場がありますから、どうですか?」
そういわれて、フェル達は喜ぶが、どうも風呂は男性用しかないらしく、クリスがふくれっ面になる。
炭鉱夫の村なので、汗だくになった男たち用しかないのだというから、それはしょうがないのだが。
「傷はどうだ。」
そういわれて腕を見ると、すでに傷跡はうっすらとしか見えなくなっていた。
「回復魔法いらずだな・・・。」
「いや・・・、今回はたまたまです。
やはり、魔法の訓練も受けないといけないですね・・・・。」
「そうすると、ここだとフェスカに教わることになるなぁ・・・・。
ただ、魔法ってのは系統によってかなり教え方も扱い方も違うからなぁ・・・。
本当は、王都の魔導学院か、アルキアの賢者の学院で教わるのがいいんだが・・・」
王都までは、馬車で1か月はかかるし、アルキアも同じぐらいかかる。
しかも、学費は馬鹿高く、普通の庶民が入れる場所ではない。
そのため、大体は魔法はその卒業生である者から教わることが多いのだが、教える者によってクセや得意不得意がはっきり出る。
フェスカも魔導学院の卒業生で、治癒魔法を得意とするが、攻撃魔法は”たしなむ程度”。付与魔法についてはほとんど”素人”であった。
「魔法薬<ポーション>ってのは、確か付与系の魔法だよな?」
「ええ、大きな系統で行けばそうですね。回復魔法の要素もありますが。」
「すると、フェスカじゃぁ、うまく教えられんかもなぁ。」
湯舟につかりながら、バーンとエドガーが肩を並べて、魔法訓練の方法を話をしていた。
エルアの街では魔法薬<ポーション>は出回っていない。
もし、バーンが創れるようになれば、それだけで自分達も含めたハンターの生存率があがる可能性がある。ギルドまで戻ってこれれば、治療班の回復魔法の恩恵に与れるが、問題は戻ってこれない場合なのだ。
当然、バーンも大儲けできるだろうし、これはWIN-WINの関係と言って良い。
しかし、これといった妙案も浮かばず、とりあえず帰ったらフェスカに相談をすることになった。
・・・・
一方、その頃宿屋では、クリスが湯の入った木桶にタオルを浸しながら、身体を洗っていた。
「ふぅ・・・。気持ちいい。」
湯舟にはつかれなかったが、それでも汗と返り血を温かい湯でふき取ると、疲れが取れる気がした。
「しかし、バーンといい、フェルといい・・・・」
そうつぶやくと次の言葉が出てこない。
二人とはうまくやっている。
いや、会ってわずか2週間もたたないことを考えれば、うまくやれ過ぎているといってもいい。
バーンなどはかなり年上にもかかわらず、タメ口で談笑が出来る仲である。
しかも、昨日・今日は同じ部屋で寝泊まりしているのだ。
そう考えると、ちょっと複雑な気持ちにもなるが、良いパーティだと自分でも思う。
クリスは、ちょっと焦っていた。
バーンは不思議な薬を調合し、フェルは貴重な収納魔法を使う。
しかも、単なる荷物持ちではない。
今回は、少し不覚を取ったが、岩蜥蜴に使った攻撃方法がいつでも使えるなら・・・。
あの穴掘りの技をトラップに使えたら・・・。
上級パーティーでも通じるとてつもない戦力なのではないだろうか。
それに比べ、自分は何もない。
魔法も使えなければ、剣技もやっと様になってきたといわれる程度である。
新しい武器のクロスボウも、まだまだ準備に時間がかかるし、混戦や狭い洞窟では不向きであることが分かった。何か・・・何か力をつけなければ・・・・。
そう考えながら、ベットに転がって天井を見つめる。
やがて、そこからは静かな寝息が聞こえてきた。
・・・・
「ようし、出発するぞ」
炭鉱の村の朝は早い。
昨日は、風呂の後、依頼主への報告と追加報酬をもらい、その報酬分を宿屋で使い切った。
一緒に検分にいった村人や一緒に来た商隊の人も含めて、”ご馳走”をしたのだ。
「追加料金は請求しないといかんが、それをどこで使うかは自由だからな。
金ってのは、あまり貯めとくと腐臭を放つんだ。貯蓄も必要だが、余裕があるときは使うのも大事なんだぜ。」
そういって、エドガーは皆に酒をふるまう。
流石に、階下でどんちゃん騒ぎが起きては、寝ていられず、クリスも不機嫌そうにしながらも宴会に参加をした。
そのため、商隊の人も含めて、皆の顔はやや疲れが出ているような気がした。
商隊は、帰りは様々な鉱石を積んでエリアの街を目指す。
主には鉄鉱石だが、銅や金・銀も含まれていることが多いらしい。
これを街で精製して販売するのだ。
そのため、馬車は一杯で、行きとは違って動きも遅いし、フェル達は歩かなければならなかった。
「フェル・・・これ、収納して私たち馬車に乗せてもらえないかなぁ・・」
クリスが、そうぼやいたがエドガーが叱責する。
「クリス。こんなことで根を上げるんじゃない。
それに商隊には、あまり収納魔法は見せない方がいい。いいか。商人は信頼してもいいが信用するな。」
言われた意味を完全に理解は出来なかったが、なんとなくニュアンスはわかった。
人は弱い者だ。例え昨日まで信用できる相手であろうと、今日は裏切られるかもしれない。
信頼第一と頭でわかっていても、目先の利益を見せられると誰しも誘惑されやすい。特に、商売人の場合、その傾向はどうしても強くなってしまう。
フェルがいれば、このような荷馬車を引いて苦労せずとも交易が出来てしまう。
そして、商人達はフェルよりも経験豊かで、そしてしたたかなのだ。
クリスは、軽々しく口にしてしまったことを大変悔いていた。
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また、恥作ですが、ダンジョンブレーカーズの方もよろしければ見てやってください。




