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僕は、魔法が使えない。  作者: アーシェス
102/106

102 合同討伐

「お、来たか。」

2日ほどの休息を取った後、フェル達はギルドに顔を出す。


休息も立派な仕事である。

疲れた体や精神では、十分なパフォーマンスを出すことは出来ない。

しかし、必要以上の休息は、筋力はもちろん勘を鈍らす。

休息の上手な取り方というのは、一流の冒険者には欠かせないスキルだ。


「一通り依頼を見たら、ちょっと顔を出せ。」

ネールがウェンツに声をかける。


「何かありましたか?」

まだ依頼を見る前であるがウェンツは何事かと確認する。


「掲示板を見ればわかるが、1週間後にエリー湖のリザードマンの合同討伐依頼がでている。

Eランク以上での依頼なんだが、お前たちに出てもらえんかと思ってな」

「しかし、フェルとクリスはFランクですよ。」

「ああ、わかってる。だが、その二人なら実力的にはEランクでもおかしくないし、なによりフェルが参加してもらわんと、ちょっとな・・・。」

ネールは、フェルの方をチラッと見ると話しを続ける。


「今回の依頼は、別に領主からってわけでもないし、ギルドにとっても緊急で困るってわけではないからな。報酬は一人銀貨5枚と最低限しかでない。報酬のメインは素材買取の分配になる。

リザードマンの皮はそこそこいい値段で売れるし、肉も実は結構いい味がするんで売れるからな。

だが、収納がなければ精々1体か2体持ち帰れればいいところだ。」

「なるほど・・・。フェルがいれば少なくとも8体は持って帰れる・・。」

「そうだな。他に収納魔法が使える者もいるかもしれないが、フェルの容量を持つ奴はこの辺ではいない。」


Eランクといえば、ハンターになって3年は経過している。

実力はピンキリだが、銀貨5枚だけはボランティアでしかない。

それでも、ギルドに協力してくれるものもいるが、数は集まらない。


「それは、わかりましたが、クリスもいいんですね?」

「ああ、それはフェスカからも推薦をもらっているから問題ないし、お前らはこないだ8体もリザードマンを狩ってるからな。まったく問題ない。」

「あとは、参加メンバー次第ですね・・・・。最近慣れてしまっていますが、フェルの収納の事を知ってよからぬことを考えるやつがいると厄介です。」


最近は、ネールもウェンツ達も当たり前になってきているし、隠さなくなってきているがフェルの収納はハンターからも商人などからも喉から手が出るほど欲しい人材だ。

良識ある者達ばかりであればいいが、必ずしもそういう者ばかりではない。

ウェンツ達も弱いわけではないが、フェルを守るには力不足といわざるを得ない。

ウェンツ達が心配するのも当然であった。


「そこは、安心してくれ。

本件は、ギルドマスターにも承認をもらっているし、おまえらには緋毒の件でも借りがあると思ってる。

フェルに下手なことをしたら、ギルドが黙ってないさ。」


ハンターギルドを敵に回したら、例えAランクハンターだろうが大商人だろうが大貴族だろうが。

ハンターなら、依頼や報酬が受けれなくなったり最悪預けている資産が凍結される可能性があるし、商人なら護衛などの依頼が受けれなくなる。

それに、ギルドとの関係が極端に悪い貴族が様々な理由で廃嫡された例は結構ある。

ある者は民衆の蜂起によるクーデター、ある者は親族による簒奪。

表立ってギルドの手出しではない。ないが、いわば暗黙の了解となっている。

ギルドが舐められれば、ギルド員を守ることなどできない。

だから、ギルドを敵に回したら相手が誰だろうと、徹底した対応がとられるのだ。


「まぁ、そこまで言ってもらえるなら。」

逆に、そこまでいわれて断ることもなかなかできない。

「ああ、頼む。今回はおまえ達以外に、既に3パーティーが行くことが決まってる。

1つは、”銀の拍車”だ。お前達も知っての通り、Cランクメンバーで構成されるパーティーだな。

今回の指揮は、そのリーダーのギルバートに任せることになる。実力も経験もまず間違いないからな。

あと、万一に備えてフェスカも同行する。」


銀の拍車は、この辺りではトップクラスの実績を誇る5人組である。

大剣使いでリーダーのギルバート、槍使いのシルバーラント、氷結の魔術師のシルヴァと赤の治療師カーン、弓使いのエルファルド。年齢的にもエルファルドが20代半ばな以外は、皆30代半ばのベテランである。フェル達も面識はあるが、流石に話したことはない。


「銀の拍車の皆さんも一緒なんですか。それは心強い。」

「たまたま、こちらに帰ってきていたんでな。声をかけさせてもらった。

エルファルドも収納持ちで弓使いとフェルと同じタイプだ。収納容量はフェルの方が優れているが、弓の使い方やチームの中の立ち位置や判断力は、かなりのものだ。いい経験になるだろう。」

ネールがフェルに応える。


「あとは、”涼風”の4人と”龍の顎”の6人だな。フェスカは戦力的に涼風と同行することになると思う。

あと、募集としては1チーム可能としているが、多分戦力としては十分だろう。」


涼風の4人は顔見知りで、確かCランクとDランクの混成パーティーである。

メンバーのうち3人が女性で構成されている特殊なパーティだ。

唯一の男性は腕も確かな若い男性なのだが、3人の女性に頭が上がらずこき使われている。

3人の女性は、色気もある美しい女性達なのだが、彼女たちを知るものが積極的に声をかけることはない。”毒花”それが涼風の別名である。


龍の顎は面識はないが、比較的若いメンバーの集まりでランク的にはほぼEランクだという。

この時点で総勢22人。

これだけいれば、十分な戦力といっていいだろう。


「で・・・。最終目的は?」

「エリー湖周辺の安全確保。討伐するのは主にリザードマン。

少なくとも20匹は現存が確認されているんだろう?

どこかに巣があるはずだから、そこを探して壊滅させることが目的になる。

最悪、ゴルダの丘で野営をする可能性もあるから、最低限の用意もしておいてくれ。」


読んでいただき、ありがとうございます。

評価&ブックマーク、ありがとうございます。


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