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実録!幽霊譚  作者: はまゆう


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第2話 センサー

数ヶ月前に今の家へ引っ越してきた。

新築だ。建つ前の土地の持ち主のことなどはまるで知らない。大島てるには出ていない。


引っ越してしばらくは、寝入りばなになると誰かが耳元に息を吹きかけるようなことが毎晩続いた。目を開けても誰もいない。金縛りではないし、夢とも少し違う感覚だった。


以前、そのことを書いたことがある。


その後、神社へ参拝した際に、拝殿で鳴らす鈴を小さくしたような、鈴がいくつも連なった魔除けを百均グッズで見つけて買って帰り、部屋に盛り塩も置いた。


不思議なことに、それ以来、寝入りばなの息を吹きかけられることはなくなった。


もっとも、気配まで消えたわけではない。


廊下を横切る姿や、階段をすっと上がっていく人影は、ときどき見かける。


見えるのは決まって二十代くらいの黒髪の若い男性で、毎回同じ人物のように思える。


誰なのか、心当たりはまったくない。


私は昔からこういうことは珍しくなく、霊感が強いと言われてきたので、特に騒いだり、誰かに話したりすることもない。


さて、最近は闇バイトによる強盗事件など物騒なニュースが続いていたこともあり、先日、家族が警備会社と契約した。


玄関や窓に手をかけられた時、火災の危険がある時、あるいは営業マンや配送、工事業者など一時的に家へ入れた人間が、登録者と一緒ではなく単独で屋内のセンサー前を通った時などに警報が鳴り、必要に応じてガードマンが出動する仕組みだ。


契約した夜のことだった。


深夜三時。


突然、家中に警報音が響き、


「スマートフォン登録をしていない人物がセンサーの前を通りました」


という大きな機械音声が流れた。


家族は飛び起きて、「夜中に何をしているんだ。目が覚めたじゃないか」と私に言った。


しかし、その時私はニ階で猫の相手をしながら書き物をしていた。


私のスマートフォンは登録済みなので、私がセンサーの前を通っても、その警報は鳴らない。


結局、家の中には家族以外、誰もいなかった。


警備会社にも確認したが、機器の異常は見つからなかったという。


もちろん、誤作動だったのかもしれない。


ただ、その警報音を聞いた時、私は真っ先に、いつも階段を上がったり、降りたりしていく黒髪の若い男性の姿を思い出した。


その後、同じ警報は一度も鳴っていない。


相変わらず、ときどき階段をすっと上がっていく人影や、廊下を横切る黒髪の若い男性の姿を見ることはある。


ただ、不思議と恐怖は感じない。


何かをされたこともないし、息を吹きかけられることも、神社で買った鈴と盛り塩を置いて以来、ぱったりなくなった。


だから今では、「ああ、またいるな」と思うだけで、そのまま普段どおり生活している。


あの深夜三時の警報が、本当に機械の誤作動だったのか、それとも別の何かを感知したのかは分からない。


ただ一つ事実なのは、あの警報が告げたのは、


「スマートフォン登録をしていない人物がセンサーの前を通りました」


という、それだけだった。


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