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第74話 浮島の特別能力

「まずいな。あの雲。どう思う?」

「そうですね。嵐になりますね」


今、錬金畑の浮島で紅炎の騎士団長のアンソニーと斥候のオーキッドが話している。

テーマは天候だ。


浮島が進んでいく方向に巨大な雨雲がある。

ただの雨ではなく、局地的に大雨を降らせ、強い風を吹かせる雨雲だ。

馬を駆って進んでいるときでも、その様な雨雲を見かけると、退避するために岩影とかに入る。


まして、ここは海の上だ。

暴風雨が起きたら、沈没とかが起きないとは限らない。

もちろん、船ではなく浮島だから対応策が違うかもしれないが。


「アリサさん。嵐になりますよ。浮島は大丈夫ですか。岸につけた方が良いのでは?」

「団長さん、心配しなくても大丈夫ですよ。ここは浮島ですから」


そう言って保証をしてくれた。

だけど、安心しきることはできない。


もしかしたら、揺れで海に落ちたりしないのか。

どのくらいの嵐に耐えられるのか。


浮島のことが分からない以上、嵐で何が起きるか知りはしない。


「心配しなくても大丈夫」


何度聞いても帰ってくるのは、この言葉。

いよい、雨雲が近くなり、雨が降り出す。


浮島にぽつりぽつりと雨が降り出す。

いままで乾燥していたから、恵の雨だ。


このくらいならもちろん大丈夫だが、もう少しすると大雨になる。


「そろそろね」

「何がです?」

「蛇神さんがね。雨雲を吹き飛ばしてくれるの?」

「えっ、どういうことですか」


それ以上アリサさんは答えてくれない。

だけど、しばらくしたら、状況が変わっていた。


錬金畑の近くの雨雲だけ消えていくのだ。

大きな雨雲がふたつに割れて、その割れたところに、浮島が通る。


「なんということでしょう」


雨雲を吹き飛ばした様に見える。

それも蛇神様?


とにかく浮島は順調に進んでいっている。

目指す軍団基地は、もう少しだ。




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