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第63話 公爵令嬢の決断

「えっ、それどういうこと?」

「はい。日の巫女様が保護を求めています」

「日の巫女って、帝国の姫じゃないの?」

「はい。裏の情報では、帝国内の権力争いに巻き込まれて逃げてきたようです」


影がそう告げると、公爵令嬢イライザは深く考えてみた。


帝国に関わるのは、危険が大きい。

それも皇帝に連なる者を手助けすると、国同士の問題に発展しかねない。


今のこの国、ガリナ王国は周辺国家との微妙なバランスの上に成立している。

もし、隣国の帝国の怒りをうけたら、国家存亡の危機になりかねない。


いくら公爵令嬢と言えども、国家の問題になったら、命すら差し出さないといけないだろう。


君子危うきに近寄らず、と東方の格言があると言う。

頭がいいなら、危険があると分かってそこにいくことない、という意味らしい。


しかし、イライザは君子では、なかった。


決して頭が悪い訳ではないので、危険があることくらい理解していた。

でも、それ以上に好奇心が旺盛なのだ。


隣国の権力争いと聞いて、好奇心が刺激されてしまった。


皇帝の姫であり、聖魔法の使いての巫女。

どんな女なのだろう。


その力がどのくらいなのだろう。


それが知りたくて、つい、ヤバイ話に乗ってしまった。

日の巫女を匿う。


白い鎧に包まれた一団に囲まれて、ひとりの少女が現れる。


「私はアルテア。アルテア・ロヴェッタ。ロマニア帝国の皇帝の娘にして、太陽神アマテラの巫女」

「私はガリナ王国ラッセル公爵の娘イライザ」

 

ふたりの女性はお互いに自己紹介しあった。

そして、お互いを真正面から見つめあった。


相手がどこまで信頼できるのか。

それを見抜こうとして。


もし、見誤ることがあれば、身の破滅につながる。

真剣なまなざしで見合っていた。


「アルテア様、私の秘密の屋敷においでください」

「わかりました」


この先、ふたりは味方同士になるのか、それとも敵同士になるのか。

この時点では、未確定なことが多すぎた。


今は、立場が困難なところにいるアルテアを助ける。

そうイライザが決断したのだ。


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