第62話 錬金術士が浮島にやってきた
「ここがアリサブランドのポーション畑です」
「な、なんじゃこりゃ」
ちょっと、マチルダさん。あご外れてないですか?
「えっと。説明がいりますよね」
「そりゃ、そうよ。なんでポーションが畑で出来るのよ」
錬金術士ギルド長のマチルダさんが浮島に来てくれたから、まずしポーション畑に案内したの。
そしたら、案の定、びっくりしてる。
「この畑は錬金畑って言って、失われたと思われる太古の技術でアイテム錬金するところなんです」
「はぁ」
「ほら、このポーションラディッシュ。もう収穫できるから、マチルダさん、収穫してみます?」
「えっと、どうすればいいのかな?」
「引っこ抜いてください」
マチルダさんが畑から1本のラディッシュをひっこ抜いてみた。
「なんじゃこりゃあ」
またですか。もしかして、ぴっくりしたときは、その反応しかないのかな。
「ほら、初級ポーションができているでしょう」
「ほ、ほんとだ」
「出来もいいみたい。高品質くらいですよね」
「まぁ、その様ね」
地上に出ていた葉っぱの下には、初級ポーションが入ったガラス瓶がつながっている。
葉っぱがあるのと、根っこがあるのを除けば、見慣れた低級ポーションだ。
「どうなっているの。これ?」
「えっと、私にとっては錬金っていうのは、畑でする物なんです」
「誰に教わったの、それ?」
「それは・・・」
まぁ、いいかなと思って『錬金農法の勧め』を見せてみた。
たぶん、見たことないんだろうなぁ、と思いつつ。
「これに書いてありまして」
「うわ、本当だ。何これ。エリクサーの作り方って、なんでそんなものまで載っているのよ」
「まぁ、そんな後ろのページのアイテムは素材もスキルも足りないから無理なんですけどね」
「そもそも、この本、どうしたのよ」
そうなりますよね。普通。
錬金術に詳しいマチルダさんも見たことも聞いたこともない本だからね。
「おじいちゃんの形見なんです」
「おじいちゃんが錬金術士だったの?」
「おじいちゃんは、世界を旅する学者だったんです」
「すると、どこかでこれをみつけたとか?」
良く分からないって答えておきました。
本当は、蛇神さんに転生の時にもらったんだけどね。
それは、とりあえず内緒ってことで。
「それで、現状の話していいですか?」
「あ、ごめんなさい。知らないことばかりだったのでいろいろと聞いちゃって」
「あんまり、ここに人を連れてこないのは説明が大変だからなんです」
「でしょうね」
まずは中級ポーションの作り方を説明してみた。
最近は、毎日、上の畝から順番に種まきしているから、下にいくに従い成長している。
「この畝が今度、種を撒くところ。種は基本的にはセブンデイズ・ラディッシュの種です」
その畝は、何もないけど、マチルダさん、じっと見ている。
「次の畝が昨日、種まきした所。小さい芽が出ているでしょ?」
「出ているわね」
「まずは、この段階で錬成をするんです。植木鉢を芽の上にかぶせて」
セブンデイズ・ラディッシュをポーションラディッシュに錬成する。
茎と根の境目にガラス質の物質を集めて、ポーション瓶が形成するようになる。
「この作業は、錬金術士でないとできない作業なんです」
「私にも、できます?」
「もちろん、です。マチルダさんなら簡単です」
錬成するときのイメージの作り方やそれを植木鉢に満たす方法。
錬金術士なら、基礎的なスキルを使うだけでポーションなラディッシュの錬成はできる。
「錬金畑の作業は、錬金術が必要なところと、誰でもできるところと両方あるんです。マチルダさん達には錬成のところを手伝ってほしいんです」
「私やキムさんでも、できるところはありそうね。手が足りなかったら他の錬金術士にも手伝ってもらいましょう」
「そうしてくれると助かります」
観覧車が出来上がったから、マリオ親方達は今、仕事はないみたいだから、農作業の部分は手伝ってくれる人はいるんだ。
錬成のところが私だけだと、そこがボトルネックになってしまうの。
「それは、そうと。あれは何?」
「あ、気になりますか、あれ?」
「なるでしょ普通。風車じゃなさそうだし」
「観覧車です。乗ってみますか?」
「いいの?」
女ふたりで観覧車。
まぁ、いいわよね。
できたとき、マリオ親方達が男同士で乗っている姿は、ちょっと・・・だったけど。
「わー、高いっ。ほら街が見えるわ。あそこがギルドね」
30m上がると色々な物が見えてくる。
初めて高い所から見る風景は特別みたい。
マチルダさんが子供みたいに、はしゃいでいる。
観覧車はやっぱり女子ウケ最高よね。




