第61話 観覧車ができた
「いいか、引っ張るぞぉー」
「おーーー」
今日は朝から浮島に元気な声が響き渡っている。
総勢20人。
頑強な男が集まってきている。
観覧車が完成して、最終的に台に取り付ける段階に来ているの。
直径30mの大きな車輪に観覧籠が12個。
ところどころ金属で補強はされているけど、本体は木造。
大量な木材を使って完成した観覧車。
最初、金貨100枚だった予算は、あっという間に食いつぶしてしまい、追加追加で金貨500枚にまで増えてしまった。
足りなかった分は、アンソニーさんにもらった紅蓮の剣の代金を使ったの。
「そっち、少し力が弱いぞ、カイム、左側に移ってくれ」
「はーい」
バランスよく引っ張って立てないといけない。
中央部分が受け軸のところにぴったりと合うはずだ。
中央部分には、スライム核で作った真球の魔導ベアリングが組み込んである。
全部で64個あり、魔力を流し込むことで観覧車をゆっくりと右回りに廻す。
「よーし、あと30センチ。焦るなよ。ゆーっくりいこう」
ゆっくりだけど確実に観覧車の中央部のスライム核ベアリングで囲まれた穴で受け軸が刺さっていく。
こんなに大きな物なのに1ミリとしてずれない。
マリオ親方の精密設計は大したものね。
「よーし、入った。そのまま、待て」
マリオ親方は、するすると観覧車のスポーク部分を伝って、中央の部分に向かう。
最後に止め木を軸の先っちょに刺して固定するためだ。
「よーし。できた。大丈夫だ。ロープから手を離せ」
できた。大きな観覧車。
もちろん、転生前にあった観覧車に比べたら大した大きさじゃない。
でも、ほとんど大きな人工物がないこの世界においては、とっても大きく感じる。
「では、支え台を外せ」
観覧車の下にあって、50センチほど浮かすために用意していた支え台がはずされる。
これで観覧車は受け軸だけで支えられるようになった。
「それでは、アリサさん。よろしくお願いします」
「わかりました」
無人だけど、試運転をしてみる。
魔石からエネルギーをスライムコアに流し込む。
ゆっくりだけど、観覧車が廻りだす。
「わー、すごい」
「廻ったぞ」
あちこちで完成が上がる。
「やったぁ」
まずは、私が観覧車を体験してみよう。
観覧籠に乗り込んでみる。
大きさはそれほどなくて、ふたりが横に並んで乗るタイプ。
今は、ひとりで乗ってみる。
ゆっくりと回って、1分半くらいで一番上にいく。
「わー、見晴らしがいい」
街が見える。
闘技場が見える。
魔物の森が見える。
遮るものがないほど高いところに上がったので、全部見通せる。
「やっほー」
やっぱり言いたくなるなぁ、これ。
山じゃないけど、高いとこだと言いたくなる。
観覧車はさらに廻って籠は下まで降りてくる。
私が降りたら、順番にみんなに乗ってみてもらう。
「すごーい」
「高いなぁ」
「うん、乗り心地もいいな」
「動きがスムーズなのは、さすがマリオ親方だ」
それぞれの感想を言いながら観覧車は廻る。
浮島遊園地化計画、第一陣の観覧車は完成した。
次は、ジェットコースターだ。




