第46話 紅蓮の剣を錬成してみよう
エリオットさんとアンソニーさん。
ふたりの出会いの次の日。
アリサは武器畑にいた。
大工のマリオ親方は仲間と一緒に観覧車づくりをしている。
まだまだ、パーツづくりが続くらしく、全体的な形は見えない。
私はというと、三本のロングソードを持って武器畑に来ていた。
この三本のロングソードは、ミスリル製。
一本が金貨200枚もする。
3本で金貨600枚。
紅炎の騎士団長のアンソニーさんの持ち物だったもの。
今は、私の錬金素材になってしまっている。
「紅蓮の剣を作ってほしい」
アンソニーさんの依頼はそれだった。
これから、紅炎の騎士団は大きな任務を受けて旅立とうとしている。
任務にあたり、新しい装備をしたいと思っている。
それが紅蓮の剣。
大きな炎をまとうことができる剣。
錬金術の世界では、ミスリルの剣に炎属性の上級素材、サラマンダーのしっぽを使って錬成する。
バイブル『錬金農法の勧め』にも、参考例としてだけどレシピがちゃんと載っている。
剣を作る錬金術師にとって、達人レベルになる入口アイテムとして有名だ。
ただし、最近は戦争もないし、魔物も安定しているのでそんなに需要がないため、紅蓮の剣を作ったことがある錬金術士は数えるくらいしかいない。
だから、作ったこともないアリサに依頼が来た。
アリサだってそんな剣作れる自信はない。だって、まだ鋼鉄の剣だって安定的に作れていないのだ。
「錬金術で剣を錬成すると失敗することも良くあるんです」
そう言って断ろうとしたんだけど、じゃあと言って、錬金のベースになるアイテムを3本分手渡されてしまった。
「全部失敗するかも、ですよ」
失敗してもいいからチャレンジしてほしいと、正式に依頼されてしまった。期限は1週間でその日までにできないと騎士団は旅立ってしまう。
「とにかくやってみることね。まずは強剣草にパワーを注入することから」
強剣草を手で包み、活性化したイメージを送り込む。強剣草が光りだし、大きく育つ。
武器畑の空いてする畝に深い穴をあけてミスリルの剣を埋めていく。
それぞれの剣の間は2m開けた。影響をしあわないように。
パワーを送り込んだ強剣草を丁寧に抜いて、ミスリル剣の上に移植する。
丁寧に、丁寧に。
「にゃあ」
白猫ミアがじっと私を見ている。
たぶん、錬成エネルギーを感じているのかな。
猫ってミステリアスな所あるっていうし。
「さぁ、できた。あとは、夏日薬をふりかけて」
強剣草が一番パワーがあがるのが真夏。
今はまだ春なので、季節が合わない。
それをカバーするのが夏日薬。この水薬を撒くことで、その近辺だけ夏と同じ環境になる。
これなら1週間より前に花が咲いて剣の収穫ができる予定。
「がんばって。素晴らしい紅蓮り剣、作ってちょうだいね」
「みゃう」
白猫ミアも応援してくれているし。
きっと、うまくいくわね。
春にしては、暑い日。
ギラギラと輝く太陽を見上げて、新しい錬金の世界に入る覚悟をした。




