第41話 蛇神さんの池
「こんにちは、蛇神さん。いつもの奉納しますね」
ここは浮島の中心にある『蛇神さんの池』。
浮島は海の上に浮いている島。だから、普通考えたら池があっても、雨水が溜まった溜池みたいな物。
だけど蛇神さんの池は、綺麗な湧き水がこんこんと湧き出る泉がある不思議な池。
たぶん、蛇神さんがいるから泉があるんじゃないかな。
蛇神さんの池の前には、4人掛けテーブルサイズの四角い岩がある。
自然に作られた岩で色は青緑って感じ。
岩の四隅には竹で作った棒が立てられ、その4本の棒の上には4本の縄が張ってあり結界になっている。
その結界の中に靴を脱いで入り、正座で座る。
アリサは満月の日の朝、蛇神さんに供物を奉納している。
実はアリサをこっちの世界に転生させたのが蛇神さん。
お神酒とスダチと卵の3点セットが供物の定番。
「蛇神様、我が身に降臨、願います」
蛇神さんのエネルギーが私の中に流れ込んでくるのを感じる。
そして私の中の蛇神さんと会話をする。
「アリサ、元気にしていたか?」
「はい。おかげ様で。蛇神さんの与えてくれた錬金畑で色んな物を作ったんですよ」
「それはよかった。お、これが供物か。さっそく頂くとしよう」
「はい」
身体の中の蛇神さんのエネルギーが強くなるのを感じる。
今回のお神酒、がんばって作ったからね。
「良い物を供してくれたな。アリサ」
「はい。喜んでもらって、私もうれしいです」
「はて。何か望みがあるようだな」
「あ、分かってしまいますね。はい、あります」
エリオットのために、声の質を変えるアイテムが欲しいこと。
できれば、継続的に得られるように錬金畑で作れるようになりたいこと。
「そうか。なら咆哮ドロップはどうか」
「それはどんな効果があるんですか?」
「ドロップを舐めて叫びをあげるだけで聞いている生物、魔物を恐れで動けなくさせることができる」
「ええー。戦闘に使うんじゃなくて、演劇で使いたいんです」
「そうか。それは質の調整でどうにでもなるはずだ。昔、戦いの前に味方兵士を鼓舞するのに使った男がいたな」
「それなら、調整すればいいんですね。基本レシピを教えてくださいな」
「元になるのは南天の木だ。それを錬金して特殊効果のドロップが成るようにする」
「はい。そのあたりは別の木でもやっているので大丈夫です」
「そこに与える栄養剤で咆哮効果あるドロップは作れる」
「どんな栄養剤がいいんですか?」
「狼や狼魔物のキモを煎じて溶かした栄養剤がいい。どの程度の効果になるかは狼の種類によるな」
「そこまで分かれば大丈夫です」
これでエリオットのために声質を変えるアイテムが作れそう。
蛇神さんってとっても役に立って心強い存在。
「蛇神さん、ありがとう」
「ん?ところでアリサ。おかしな気の流れがまとわりついておるぞ」
「えっ、気ですか?」
「たぶんに人間だ。恨みを買ったりしているのではないか?」
「あまり心当たりはありませんが・・・」
「とにかく、気をつけることだ」
「はい。わかりました」
ふっと、身体からエネルギーが去っていく感じがする。
蛇神さんが池の中に戻っていったみたい。
「ふぅ。疲れた。やっぱり蛇神さんを降ろすとエネルギー使うわね」
「ミャア♪」
「あ、ミア、久しぶり。どこ行ってたの?」
この子は、白猫のミア。私の同居人。なのに、最近は全然現れなくて。
浮島のとこかにいるのは分かっていたけど、浮島が広いから会わなかった。
食べるものがいろいろとある浮島だから、好きにしていたみたい。
「さ、ミア。一緒にお昼、食べよ」




