第29話 悪役令嬢の秘密アイテム
「イライザ様」
「影ね。頼んだことはどうなったりの?」
「これに」
「ずいぶん小さいわね」
「ええ。その代わり猛毒です」
小さな瓶に入れられた真っ黒な液体を日にかざしてみる。
まるで光を通さないほど暗黒の液体。
「これが引き起こす症状は知られていないわね」
「ずっと南の山の洞窟で暮らす吸血こうもりの毒ですから。この国でその存在を知っているのは、まずいません」
「そうね。これを使えば、きっといい感じに噂になるわね」
公爵令嬢のイライザは黒い液体の瓶をそっとポーチに入れた。
「みてみて。もうこんなにできちゃった♪」
9色に増えたチューリップ染料のボトルをたくさん並べるアリサ。
「わー、すごい。全部でどのくらいあるの?」
「前の時より4倍大きいボトル使っているから、ボトルは30本だけ」
「たしかに大きいわね。それと色も増えたのね」
「うん。赤、青、黄色、緑、紫、ピンク。これが前からあった色ね。そして、オレンジ、水色、黄緑が新色」
「これだけあったら、スカーフ沢山、作れるわね」
「どのくらいできそう?」
「2000枚くらいかしら」
「すごい」
ジャスミンは染料が入ったボトルを受け取る。
「どのくらいあったら、染めあがるの?」
「そうね。あと3日で全部できる予定。4日後には売り出せるわ」
「ひとりで大丈夫?」
「ちゃんと手伝ってくれる仲間も呼んだから大丈夫よ」
「それなら安心」
沢山のカラフルなスカーフをお見せに並べた時のイメージを思い浮かべる。
待ちに待ったお客さんがどどどーっと押し寄せてきて。
押し合いになっちゃいそう。
「そうそう。整理券、作らないとね」
「何それ?」
「きっと今度は開店前から行列できちゅうと思うから、並んでくれた方に整理券をまず渡すの。そして、最初は番号が1番から10番までの人をお店に入れてスカーフ選んでもらうの」
「あ、それなら、ゆっくりと色を選んでもらえるわね。アリサ、頭いい」
整理券を持って、自分の番を待つお客さん。店の中を眺めながらわくわくして待つ。
「私はやっぱりピンクがすかな。でも、新色の水色も捨てがたいっ。どっちにするか迷うぅ」
そんな感じで楽しく迷っているお客さん。
わくわくした気持ちがあふれだす。
「1日で何枚くらい売れるかしらね。ジャスミン」
「たぶん前回の10倍、600枚は売れるとおもうわ」
ふたりは、もう。2000枚のスカーフはすぐに売り切れると信じていた。
「イライザ様。売り出しは4日後。2000枚です」
「へぇ、ずいぶん作ったわね」
「あと、新色があります」
「なんということなの。また色が増えるの?」
「水色とオレンジと黄緑です。ぜんぶで9色です」
「生意気な奴ね。どんどんと色増やしてくるわね」
「はい」
「これはなんとしても、今の時点でつぶしておかないとね」
「御意」




