第27話 アリサと悪役令嬢、それぞれの朝
「ん~、くすぐったい」
まだ、陽が昇る前。
ずっとひとりで暮らしていたから、横に誰かいるっていう感覚がちょっと新鮮。
「だめだって。もう少し寝させて」
そう言っても許してくれない。
私の上に乗って、キスをしてくる。
「あーもう。ミア。駄目だって言ってるでしょ」
あーあ、起きちゃった。
ミアと一緒に暮らし始めてから、朝が早くなった。
この子は、ミア。
朝日に輝く真っ白な毛を持つ子猫。
たぶん、生まれて3か月くらいかな。
『白猫亭』に3人で行った夜に出会った子。
お腹空かせていたから、連れてきた。
自然とうちに居着いて、うちの子になった。
ペットって感じじゃないわね。
家と庭、出入り自由だし。
家族ってほど濃厚な関係でもないし。
そうね。同居人。
一緒に暮らしていて、一緒に食事したり、一緒に寝たり。
「女はね。猫を飼い始めたら、終わりよ」
前世の友達は言っていた。
アラサー女子が結婚を意識しなくなる時。
一人用のマンションを買う。
猫を飼い始める。
だから、猫を飼ったことはなかった。
でも。21歳なら大丈夫よね。
それも同居人だし。
「みゃあ。みゃあ」
そうやって、すり寄ってくる時はご飯の時ね。
わかったわ、朝ご飯にしましょう。
昨日、女3人で飲んで食べてしまくってしまった。
それに最近、外食が多くてカロリーオーバー。
今朝は、サラダ朝ご飯ね。
「ミア、いくよ」
朝ご飯を収穫に軽食畑に行く。
食洗樹に入った、ガラス製の大き目のお皿をひとつ。
中くらいのボウルをひとつ。
カップをふたつ。
私の朝ご飯は、新しく植えたサラダバーの花壇で。
色どり良く、トマト、きゅうり、レタス、コーン。
大きなお皿にたっぷりと。
最後にドレッシングの蔦から、フレンチドレッシングをかけて出来上がり。
次は、ミアの分。
「ミアはシーチキンとたまごとミルクでいいわね」
サラダバーの花壇のシーチキンとゆでたまごフレークを少し取って、あとはドリンクパー。
ミルクと私のカフェオレ。
「さぁ、たぺましょう」
ふたり掛けのガーデンテーブルに、私とミア。
朝食をそれぞれ並べて。
「いただきます」
「みぃーあ」
朝日が気持ちいいわね。
鳥さんも遊びにきていて、ちゅんちゅんないてる。
カップに頭つっこんでミルクを飲んでる。
ミアって器用なのよね。
私はサラダにぱくついていた。
「これでパンがあれば・・・だけど、今日は我慢ね」
あと、足りないのは一緒に朝ご飯してくれる男性ね。
もちろん、一緒に寝て・・・きゃっ♪
朝から妄想しているアリサでした。
その頃、公爵令嬢はひとりの女性と会っていた。
「御用はどのようなことでしょうか?」
そばかすが目立つ赤毛の女の子。
年齢は公爵令嬢と同じで16歳。
「まだお金は返せないの?」
「すみません。もうすこし待ってください」
「ダメよ。約束したじゃない」
整った顔で真剣にみつめられると、すごく怖い。
「ごめんなさい。かあさんの病気がまた悪くなって」
「それは大変ね。もしかして返せそうもないとか?」
「そんなことは・・・」
「あのね。今日呼んだのは、私のいう事聞いてくれたら、お金返さないでいいって話なの」
「本当ですか。もちろん、なんでもやります。なんでも言いつけてください」
見下ろすように、にやりと笑う。
これでビル&ボム商会も終わりね。
「私にたて着く女はどうなるか、思い知るといいわ」
「えっ、なんでしょう?」
「あ、いいのよ。それでやってほしいのはね」
今日は3話目の配信です。悪役令嬢さんが参加した記念として。笑




