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グラビティデイズ  作者: 明立 明
3/3

始動

反重力発見から14年の月日が経った。


2044年 春


大学:卒業


- 隼人ー!

・拓也か。どうした

- お前が結局大学院に行くのか気になってな。

・あぁ、行くよ。まだまだ研究したりないからな

- 教授も認めるほど反重力について知っているのにまだしたりないと来たか、お前が怖いよ(笑)たくさんの企業からもオファーが来てただろうに普通蹴るか?

・どんだけ研究しても未だに解明できない部分が多く残ってるからな、これほど飽きないテーマは他にはないから俺はこの時代に生まれてよかったよ

- けど大事な部分がわかってないからさすがに限度があるじゃないか?

・そうだな、俺が反重力について理解できるのは技術として使える機器をどう応用し使えるか。もしくは空間指定内での現象の観測ぐらいだからな。未だに政府とエルリック財団が全容を公開しないから本質がまったくつかめないんだよな。

- しかし、なんでここまで隠すかね。確かに危険性はまだあるかも知れないけどもう14年もたって制御技術も格段に上がってる。心配することないと思うけどな。

・たぶん俺たちが気付いてない危険性がまだ潜んでるんだと思う。それが分かるまで安易に公開することができないんだと俺は思ってる

- 気付いてない危険性って?

・そうだな、例えば俺らが知る反重力は絶対に制御盤が搭載されているものだけだろ。

- だな

・仮に制御盤がない状態での反重力に何らかの害があった場合、みんなが好きにその空間を展開したら最悪な悲劇が生まれるってことだろ。

- なんだよ、害って。

・それが分かってたら俺は今頃エルリック財団に誘われてるよ。


世界はこの7年、あまりこれといった変化はしなかった。

反重力の導入は最初の7年である程度が終わっていたため、後半はそれをどう扱っていくかの応用が主な理由だったのだが、そもそも制御盤での規制がかかっているのでその使い方の工夫を考えるのが大変なのだ。

大きい話題だと重力操作の向上と宇宙旅行が安価に行けるぐらいだろうか。重力の壁がなくなったことによって飛行機で海外に行くぐらいの感覚で行けるようになった。これは同時に宇宙開発の分野にも大きく貢献し、今では毎月のように宇宙への調査団が飛ぶようになっている。そのコストも抑えるために軌道エレベーター建設の話が持ち上がってるのも最近のビッグニュースだ。


- しかし、もう手詰まり感があるのに大学院で何を研究しようと思ってるんだ?

・とりあえず新しい反重力の使い方の研究かな。ここ1,2年の間に実績を作ってエルリックの研究所に応募するのが俺の目的だ。

- お前、マジで言ってんのか

・冗談でこんなことは言わないよ

- いや、だって。。。あそこに入るなんて宝くじを当てるようなもんだぞ。毎年数えられる人数しか入れないし、反重力についてなんらかの功績が大前提だ。

・だから院で頑張るんだろ。そのために企業で協力してくれるところも見つけたしな

- え、そうなのか。どこの企業だよ。

・ウォーディトランスポート社だ

- あ、いち早く反重力を利用した運送技術を導入して最近大手の企業に仲間入りしたとこじゃねーか。

・ああ、中々いいとこと提携できてラッキーだったよ

- お前なら本当に受かるんじゃないかと思ってきたよ、どうやっておとしたんだ

・水の重力操作の実現を目指してるって言った

- 。。。水とは正気かよ


14年が経ち、ある程度の反重力での物体操作は可能となっている。昔は自動車など、ブレーキという役目でしか重力と反重力での特殊な反発効果が使えなかったが、今では人の手を介すことなく物体を重力操作のみで空間指定内での自由な移動が可能となっている。移動が可能となったのはほんの3年前のことで、ここまで時間がかかったのが重力は基本として下の方向に働いているため反重力は上への操作しかできなかったからだ。なので、どうしても人力もしくはブースターといった推進力が移動の際は必要だったのだが、3年前にエルリック財団が左右への重力操作が可能となった制御盤が搭載されたものを完成したと公表したのをキッカケに移動という面において技術の向上が期待されたのだ。だが、今でも四方向の制御は難しいため精密な操作は不可能なので広い空間でのみとなっている。

そして、問題は水である。水は空間指定で浮かせることはできるのだが、横操作で動かそうとしても多少水が弾けるだけで移動が叶わないのだ。反発、つまりは何かしらの押す力が働いてるわけなのだが水は流動的であるためこれがうまく適用されないのだ。なので、現代において水の移動というのは一つの大きなテーマとなっている。


- 確かに水の操作が可能になればお前の名は一気に売れるだろうな。たぶん反重力での功績は十分すぎるといってもいい。でもどうして運送会社が水をテーマで協力してくれたんだ?

・それは将来的に空中に水路を形成した新しい移動方法を提案したんだ。

- そんなことが可能なのか!?

・不可能じゃないさ、水を空中で固定して水での移動が可能になればそれは同時に流れも操作ができると同義だろ?

- ハハ、相変わらずすごい発想だ。お前と話してると将来がどんどん楽しみになってくるよ。

・まぁまだ実現できるとは限らないけどな。

- いや、きっとお前ならできるさ。そう思わされる何かを感じるよ。

・それはさすがに言い過ぎだけど、その期待に応えられるよう頑張るさ

- 俺は就職するけど、一応分野は反重力分野で少し重力操作もすると思う。何か詰まったりしたら相談してくれ、まぁ俺程度の助言はすでに気付いてることばかりかもしれないけどな(笑)

・いや、実際に自分で使っていないとわからないこともあると思うからお前の意見は助かるよ

- そんじゃ、また近いうちに会おうぜ

・ああ、反重力の話はお前とぐらいしかできないからな。よろしく頼むよ

- もっと友人の輪広めろよ(笑)じゃな


水谷拓也[みずたにたくや]と桐埼隼人。

大学時代、一緒に反重力をテーマに勉強しお互いを励みあった仲の二人。

二人はこの日より別々の道を歩き始めたわけだが、再会の時は言葉通りそう遠くないのかもしれない。。。

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