信念の名乗り
次の日、レイグネンにやってきたシェール達は、それを待ち構えていたラタと向き合った。
リーシアはラタ達に杖の先を向ける。
「私は、騎士王になる!」
ラタに向けて、大声を張り上げたシェール。
「ただ目の前の人間を助けたい。自分を信じてくれる人達を助けたい。そのためには、私は騎士王という信念を持つ事に決めたわ!」
ラタは表情を変えず、眉根一つ動かさずに、シェールの言う言葉を聞いた。
「王とは、国民全員の命を預かる者の事。目に見えるだけの人を助けるために王になるなどと言うのは、あってはなりません」
シェールに対して、大声で返すラタ。
「王になるというのは、国民すべてが自分の事を信頼してくれるという事よ! 私は国民全員を助けてみせるわ!」
剣の切っ先を、ラタに向けるシェール。
「そんな事、可能なものですか! 大のために小を切り捨てる事も、王になれば必要な事です!」
「それでも、私は大も、小も、救う道を探すわ!」
そこで、二人の会話が止まった。二人はピリピリとした雰囲気を放ちながら、睨み合う。
「あなたの信念については分かりました。それはとても難しい道です。私には不可能な事に思えてなりません」
そう言うと、ラタは後ろを向いた。秋成の手の、セイフティリングが光り出す。
それに合わせて、当一の手にあるセイフティリングが光る。
「そんな不可能な道を歩むつもりなら、私のような小さな石につまづいている暇は無いでしょうね?」
秋成であった物は、巨大なゴーレムに姿を変えた。陽の光を浴びて、七色に輝く、両腕が野太く、一撃でペシャンコにされそうな大きさがある。
「小さな石とは思わないわ! どんな壁でも、全力で乗り越えて見せるつもりよ!」
そして、当一も巨大なドラゴンに姿を変える。
青みのかかった色に、トカゲのように腹ばいになって歩く姿。全身の鱗があるはずの場所には、剣のように、長く鋭いトゲがびっしりと生えている。
「勝負よ!」
シェールがそう言うと、ラタとシェールはお互いに向けて、走り寄っていった。




