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シェールのシュヴァリエ  作者: 岩戸 勇太
シェールの決心
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信念とは何か?

「あれからどうなった?」

 居間のソファーに座る当一。

「また、薬の増産を指示されたわ」

 沈んだ顔をして言うリーシア。

「俺に言わせればいい気味だな」

 当一にそう言われ、ふさぎ込んだリーシアは、当一の隣に座った。

「シェールの事は、任せたわよ」

 いきなり言い出すリーシアに、当一はリーシアの事を見た。

「俺はエスカッションとして、シェールを守れって意味か?」

「それもあるけど……」

 リーシアは「うーん」と唸った。

「言っていいものか? それとも、気づくまで黙っておくべきか?」

 そう唸ってから、リーシアは答えを出したようにして手を叩いた。

「黙っておくわ……」

 そう言うと、リーシアは席を立つ。

「おい……お前の方から言い出した事だぞ」

 当一は言うがリーシアはそれを気にしていないようにして答える。

「その方が面白いからよ」

 忍び笑いをしながら二階に上がるリーシアを、当一は見送っていった。


 シェールは考えがまとまらずに、当一の家の庭をグルグルと歩いていた。

「私の信念ねぇ……」

 当一から聞かされたおとぎ話はシェールに感銘を与えるほどのものではなかったのだ。

「何を考えているんだ? さっきからずっと……」

 家の窓から声を出してきた当一。

「そうよ、家の中に入ったら?」

 そして、リーシアも当一の隣にいた。二人が並んで立っているのを見たシェールは、いつもの嫌味を言う。

「二人して仲がよろしいことでいいわね」

 当一もその嫌味には慣れたもので、それに答えて言う。

「今でも、仲良く二人でお前の心配をしていた所だよ」

 それを聞くと、庭を歩き回る足を、ピタリと止めたシェール。

「私の心配?」

 目を尖らせたシェールは当一の事を見つめた。

 それを気にするでもなく、当一は続ける。

「そんなに考え込むような事か?」

「簡単には決められないでしょう? 私の未来の事なんだから……」

 シェールは、当一の方を向いて言った。

「簡単に決めてみろよ」

 当一が言った言葉は無責任にも感じたシェール。だが当一は続けていった。

「信念なんてもんは生きていくうえでそんなに大切なもんじゃない。コロコロ変えていってもいいんだ」

 シェールにはとんでもない話に聞こえた。

「そんなに簡単に変えれないし、覆せないからこその信念でしょう?」

 信念を抱えるという事は、そこまで簡単なものじゃない。ずっと抱えて生きていくもののはずだ。そう思っているシェールには当一の言葉が、無責任なものに聞こえていた。

「みんな強かれ弱かれ、信念なんてものは持っているさ。人はそんなものは簡単に捨てたり拾ったりしているもんだ。ダメで元々だ。とりあえずでいいんだよ。それで決めたものが後になって気に入らなくなったら変えればいいんだ」

「あんたの言いたいことは分かったわ……」

 そう言い、シェールは当一とリーシアの間を通り、家の中に入っていった。

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