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『運命の供犠姫』私のVRMMO生活は、運命値極振りから始まる百合ライフ。呪いの装備は絆の証?  作者: malka
第1部 - 第3章

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82.3章-第26話 ”策謀の中心へ”

 モンスターラッシュイベントが終わった2日後。

 皆で盛大にまたパーティーを催し、ようやく得られた素材で一通りの強化を施した1日目。

 強化は+1までギリギリできるかどうかという素材量でした。先はまだまだ長いですね……。


 そして、ついに辺境伯からのお声がけを受けました。

 生産イベントの結果を覗くくらいしか予定もなかった私たちは急ぎ、呼ばれた応接室へ。


「急な声掛け、申し訳ない」

「とんでもございません。戦況は気にしてみておりましたが、特に問題はないと」

「ああ、むしろこの数日で敵の攻勢が若干ではあるが、弱まっている」


 やはりイベントで”悪いマナ”が消費され、敵側の黒い兵士の生成力がそがれたのでしょうかね?


「それにより、防衛にも余力が生まれ、”彷徨いの樹海”への反攻も勢いが増した。今日、呼び立ててしまったのはそれに合わせた作戦行動への協力打診のためだ」

「なるほど。ここで一気に元凶を断ってしまおうと」

「そこまで行ければよいのだが……。先に言っておく。この依頼は強制ではない。冒険者ギルドへの依頼もまだ提示しておらん。ナオどの達の返答をもって、いづれのクエストを依頼するかは相談のうえで決めたいと考えておる。この方針は皇帝陛下も承諾なされている」


 また、この方は随分とこちらに配慮してくれますね……とはいえここまで言われる依頼、果たしてどのような内容なのか。


「まず、一つ目の選択肢。これは本来の願いである2つ目を断られる場合にお願いしたい事だ。黒い兵士どもを生み出している宝珠、あれはさらにその大元とも呼べる物から、原動力となるエネルギーを供給されていることが判明した。このうち複数が、”彷徨いの樹海”中層域の外縁部、最も浅い領域に多数、設置されていることを突き止めた。この破壊への協力依頼となる。こちらは多数の来訪者達、そのクランが参加する。同様の依頼は連邦側でも出されており、そちらで参加する者達もいるようだ」


「なるほど」


 プレイヤーもこの騒動でこちらへかなり流れてきた、というか、そのように依頼されたようですからね。北部マリリーニ州との紛争、そしてこちら、後は連邦側も同様に南北。主にその4か所に分散しているようです。完全に戦争系グランドクエストとして連続クエストが何種類も、発行されているらしいですね。中には当然のように私たち同様、ユニークなクエストもあるとか。

 紗雪から聞きましたが、ダンジョンの氾濫も相当あったようで、そちらの対処もプレイヤー、特にトップ層が主導し鎮圧してくれたみたいです。


「そして2つ目、こちらが本題ではあるが、極めて危険も大きいと認識している。最悪は1つ目の、”彷徨いの樹海”内部の掃討が完遂できれば、湧き出す黒い兵士の数は水際での防衛が叶う程度に抑えられるとの試算も出ている。それを理解の上で、検討してほしい」

「そこまでおっしゃられるご依頼とは……?」


 ルナリス、紗雪とも、ちらと目線を交わしますが、さすがに2人も要領を得ない様子。


「アレイスター王国。潜入していた密偵が複数、最後の魔導通信を送ってきた」

「最後……?」


「複数の都市、そして、王都王城地下。それぞれのダンジョン内部に、黒い兵士、あるいはそれ以上の存在を生み出す元凶となる何かが秘匿されている。あの宝珠やその大元の生産拠点。より凶悪な何かを生み出す魔導具。全く別の、しかし確実により悍ましい何か。これら複数の拠点の内部情報、今申した情報の断片と引き換えに、彼らは命を散らせた」


「それは……。まずはご冥福を……」


「うむ。その最後の通信は……断末魔と、何かを恐れ、おののく、恐怖に満ちたものであった。その通信を受け取り記録したものが、辛うじて正確な情報を記録したのち、狂死したほどに。さらに、それより以前から、来訪者の中で我々住民が得ている情報と実情が異なっている。という情報を上げてきていた者達がいる事を確認した。可能性として、我らは欺瞞情報をつかまされており。アレイスター王国内部の状況は、予想よりもはるかに悪い可能性がある」


 あの国と、ルナリス絡みのクエストの邪霊たち、いやもう邪神群って言っていいですよね……? を考えれば、発狂という言葉もしっくりきますね。正気を失わされたともいう……。精神汚染とかそういうたぐいの何かでしょう。


「手の者を複数、連邦経由で送り込んだが国境沿いには、黒い結界。そうとしか呼べぬものが、あり得ぬことだが全長にわたり敷設されていることが確認された。一方で、内部からは今も市民の生活は平常に営まれているとの報告が届いている。こちらについても欺瞞の可能性を疑ったが、商人たちは何ら問題なくその黒い結界、そもそもその存在を認識する事すら無く、行き来をし、アレイスター王国内部は平和そのものであると語っている」


「何とも不可思議な状況ですね。何が正しいのか……」


「ああ。そちらに関しては、正直かなりお手上げの状況だ。黒い結界に関しては、帝国、連邦、双方の有識者で分析、協議を重ねた末、敵意、害意、そうした感情をアレイスター王国に対し持つ、他国の者にのみ効果を発揮する結界であると。自国民、これをどのように判別しているのかも不明だ。が、連邦へと亡命していた、かの国に強い恨みを持つ者には結界が見えなかったことから、このように判断している。もはや、神器の使用を疑う他ない規模と言える」


 王城の宝物庫にそんなものがあったのでしょうか?


「王権……の証が一つに。かの国に奉ぜられた……神の……邪神の力を……借りた神器が。詳しい……ことまでは……わたくしは、教えられておりませんが。識別は……かの国で、洗礼を……受けたものか否か。です。創世聖教の儀式とは……別に、かの……国では洗礼式……が行われている事……はご存じかと」


 ふと、ルナリスが。


「……かたじけない」


 そんな反応に対して、こくり。と、うなづく銀の姫。

 意思伝達からは特に感情の揺らぎは伝わってきませんでした。


「特定……された場所を……お教えいただくことは可能ですか?」


 辺境伯は一瞬の逡巡の後


「こちらになります」


 依頼を受けたら初めて開示する予定だったか……。が、ルナリスの情報提供の事実を踏まえて。むしろ彼女はこれを……? でも何を知りたくて。

 じっと、その名前、所在地の地名でしょうか、を見つめると。

 虹色の輝きを宿した美しい蒼銀の瞳が、私を映し出します。


「ナオ……様……お受けする事を、考慮願えればと」


 まさか彼女の方から言われるとは。危険があまりに大きく、断るつもりだったのですが。

 いえ、ルナリスのクエストを進めるという使命を考えれば、受けるべきだとはわかっているのですが。それと天秤にかけてでも、ちょっとキナ臭すぎます。情報の錯綜、援軍が一切期待できない事……。


「ルナリス。まず先にいくつか。そもそも私たちは入れるのですか?」

「制限が変わって……いなければ、問題……ありません」

「あなたの身の安全を考えれば、私は断るつもりでした」

「はい……」

「ルナリスちゃん。その結界は、内部にも作用しますか? つまり、アレイスター王国内部で、別の領域へ移動する事を制限していそうですか?」


 ハウジングエリア、悠久の楽園への逃亡の可否ですね。


「前例が……ないので。確実とは……いえませんが……あれは、外部から王国への……侵入を阻むもの……です」


 紗雪は一つ頷くと私に視線を移します。判断は委ねる……と。


「ルナリス。なぜ、そう決めたのでしょう? 貴女自身のためではないですよね」

「かの国に……未練はもはや……何一つとてありません。しかし、記載された……地名……その中のいくつか……そこにある試練ダンジョンが」


 そこまで言われてやっとピンときました。なるほど……私のため……ですか。

 ええ、クエストスクロール。その目的地候補のダンジョン。そこが合致しているわけですか。


「何を、その地でしているか……はわかりま……せん。が、創造神様の……ご意思に反するならば……試練の消滅。あるいは……試練が歪められる……可能性もあります」


 つまり、クエスト進行不可になるという事でしょうね。


「横から口をはさんですまぬが、帝国、連邦、それぞれの内部に在る試練ダンジョンを汚染、あるいは暴走され、氾濫が多数起きた。それらは来訪者の協力もあり、何とか鎮圧したが、いくつかの試練ダンジョンは、その後、消滅したとの報告もある」


 辺境伯が補足情報をくださいます。


「危ない、あるいは進むこと自体無理がある、と感じたら、逃げます」

「はい」

「本来なら私一人で行く……と言いたいところですが」

「嫌……です。どこまでも、お傍に」

「私もさすがにそれは許容できませんよ~。ナオさんの事が大好きで大切な気持ちは、私だってルナリスちゃんに負けてはいませんからね?」

「二人とも……はい。ありがとうございます」


 さて……ルナリスの気持ちも考え、そしてやはり、成すべきこと。を考えると、結局選択肢はあってないようなものですか。


「長々と失礼いたしました」

「いや、全く問題ないな」

「ありがとうございます。このご依頼、お引き受けいたします。ただ、大変申し訳ないのですが、無理と判断した場合は撤退のご許可を」


「ああ、その点は問題ない。もとよりその条件は盛り込まれておる。お主らには期待しておる。ここで失われてもらっては大損害。むしろ貴君らの身の安全が第一だ。先ほども申したように、第1の依頼で守りに徹するには問題なくなると考えている。もちろん先々を考えれば、この第2の依頼の成功が望ましいがな。こちらを確認してくれ」


 あらかじめ用意されていた依頼書案の羊皮紙が渡されます。


 2人にも見せながら読んだ内容は



 ============

 ・作戦開始日:

 10日後 8月、2の巡りの終わり頃に領都を旅立つ

(サービス開始から171日目、リアル8月12日。お盆祭りイベント7日目からですね)


 ・アレイスター王国国境への侵入経路:

 彷徨いの樹海内部を通過する。騎士団長シャーリィが討伐するアレイスター王国に最も近い中層外縁部の小領域への道中に同行。途中で分かれる。これにより、帝国、連邦に潜伏している可能性があるアレイスター王国側密偵からの情報漏洩を可能な限り防ぎ、また最大限の護衛とする。


 ・作戦目標:以下を可能な限り完遂する。撤退の判断は受託者に一任する。続行又は完遂を強要する事はない。

 -リチェスタの町:

 開発、製造されている魔薬兵器の破壊または情報の奪取

 -採掘場の町アノク:

 採掘される特殊な石が、黒い兵士を生み出す宝珠をはじめ、アレイスター王国による侵攻の武具/魔導具の主素材になっている可能性が高い。採掘の阻止、又は、相応の対処

 -ノリス沼沢地:

 蜃気楼のように異なる土地の様子が重なるという噂がある。何が起きているか調査し、可能であれば対処

 -アレイスター大図書館都市:

 一般国民の入場が全面的に規制され、なんらかの調査、研究がなされている模様。内部の調査、必要があれば対処

 ―ライナー賭博都市:

 異常な資金や物資の流入出が確認されている。軍事費、軍事物資の流通拠点となっている可能性が高い。詳細の調査、必要があれば対処

 -王都、ならびに、王城地下ダンジョン:

 全般的な進行中の計画阻止。特に王城地下ダンジョンは何らかの儀式の、中心である可能性が示唆されている。


 ・作戦目標完遂の証明方法:

 来訪者間で確認が可能とされている手段を用いる

(これは、動画アップロードまたは配信で確認するという事ですね。特に信頼の厚い、綾さんを筆頭としたメンバーに確認を依頼するそうです。動画はこれまでも紗雪が適宜アップしてくれているので、問題ありません)


 ・補足:

 - 連絡手段として通信の魔導具を貸与。可能な範囲で進捗の連絡はされたし。

 - 来訪者間の通信手段を介した連絡経路を来訪者”綾”を代表として設ける

 (掲示板やフレンド間メールですね。先日フレンド登録はしました。なお、彼女は騎士団長シャーリィさんと行動を常に共にするそうです。アツアツですね)。

 - 現地潜入者の協力が必要となった場合のための、身分証明を貸与する。連絡は事前に魔道具を介して辺境伯と連絡を取る事。


 ・報酬:

 事前報酬として以下を支払う (準備のための前金ですね)

 - 用意可能な範囲のスキル結晶 :応相談

 - 魔核 :1,000万MC相当


 事後報酬……(今は割愛)

 ============


 事後の報酬についても記載されていましたが、いったんここは割愛。

 というか、いろいろ選択肢とかが、達成度合いに応じても、用意されているので今考えても……ですね。ただ、十分というか破格の報酬が提示されていたとだけ。

 さすが敵陣に単独潜入しろという普通に割と無茶な難易度なクエストです。


 ただ、失敗しても、ここで少しでも情報が得られる。あるいは破壊工作が成功していれば、次の作戦へつながる足掛かりができる。そういう前提の依頼のようです。


 ルナリスと紗雪が2人とも、肯定していることを確認し。


「問題ございません。お引き受けいたします」

「感謝する。用意にあたっての諸事項に関しては、いつも通り当家の家令が承る。相談してくれ」

「お任せくださいませ」


【個人アナウンス:☆8 禁忌級クエスト 「供犠姫#5-策謀阻止-策謀の中心へ」 が開始されました】


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