62.3章-第6話 ”4人の少女人形達”
ログインし、まず体に感じたのは、暖かくやわらかな幸せな重みと、甘い嗅ぎなれた銀の姫の香りでした。
「おはようございます、ルナリス」
「ナオ……様……お帰りなさい、ませ」
ん。首筋に、ふにっと柔らかく少し湿った感触が。ルナリスが可愛いらしいお口で、いたずらをしていますね。
いけない子には……、
「ひゃぅ……!」
実に心地よい触り心地ですね。すべすべの太ももからお尻にかけてのライン。うん、至高。
「お休み……の間、反応がなくて……不安、になって」
なるほど、ログアウト中は、安静な状態の理想を体現したような様子になるのでしたね。
「ごめんなさい、心配させてしまいましたね」
ふりふりと、首を横に振るのに合わせ、さらさらと、銀の髪が揺れます。
しばし、互いの体温を交換し合っていると
「ナオさん、お帰りなさい。お二人とも落ち着いたら、いらしてくださいな~」
紗雪に案内されたのは、天上の宝石城、その煌びやかなダンスホールでした。
そこに並び、待っていたのは皆、身長は60㎝程の古代魔導人形の子達。
ただ、どの子も途轍もない美人で、長い髪をなびかせている、という事が共通しています。
「主戦部隊となる第1部隊を担います、副統括、アクロイトでございます。空戦、陸戦、射撃戦、全てに対応して御覧に入れます。どうぞよろしくお願いいたします」
戦乙女風ドレスアーマーをまとった、白銀色の髪、白い翼、アクロアイト(ホワイトトルマリン)を宿した瞳。高貴なご令嬢のごとく凛とした美しさをまとった、少女人形。
「魔術部隊の第2部隊を担当させていただくわぁ~。ルビーノよ。よろしくね♡」
黒に紫の刺し色のロングドレス、黒髪、黒い翼、ルビーを宿した瞳。少し妖艶な雰囲気をまとった、少女人形。
「ナオ様と奥様方のお世話をするメイド、兼、隠密/斥候部隊。サフィーロなの。よろしく、なの」
ゴシックドレス風メイド服、淡い金髪、黒い翼、サファイアを宿した瞳。他の3人と比べると幼さの残る、あどけなさを秘めた少女人形。
「生産部隊を統括させていただきますわ。アメティスタですの。紗雪嬢含め、皆のドレスや今後の装備も担当させていただきます。よろしくお願いしますね」
落ち着いた雰囲気のマーメイドラインのドレス、薄紫色の髪、白い翼、アメジストを宿した瞳。優しく、落ち着いたお姉さんといった雰囲気の少女人形。
「この4人が私直下で、この”悠久の楽園”を守護するべく。それぞれの部隊を率いてもらう、副統括の子達になるわ」
4人の後ろでここ最近で見慣れるようになった、ゴシック調のドレスを身に纏い、手を広げ自慢気に、彼女たちを示す紗雪。
「うふふ、どうかしら? みんなすっごく好みでしょ?」
「ええ、皆さん本当に美しく、そして可愛らしい。素晴らしいです。それに、ドレス姿がみんな、それぞれの印象ともあっている。無事生まれたよと、聞いてはいたものの、なかなか会えず心配していましたが。ええ、最高に素敵なお披露目です」
「あ、主殿……」「あらあら、まあまあ♡」「むふー、なの」「うふふ」
それぞれの反応を示してくれる人形少女たち。
「彼女たちは皆、上級古代魔導人形級の資質を持っています。現代の魔導人形技術の水準に照らせば、現代最上級が下級古代と同程度。何段階も上の基本性能ですね」
こくり、と4人がうなずきます。
「この領域の外で一緒に活動することも可能です。ただ、しばらくはまず、この子たちの配下。各部隊に所属する子達の生産にかかりっきりになります。こちらは、下級古代魔導人形級を予定していますが、今お話しした通り、現代基準では、最上級に当たるので安心してくださいね」
「ちなみにぃ、私達も普通にお風呂やお食事もできるから……ナオ様、ルナリス様、紗雪嬢の身の回りのお世話。お風呂とかも含めて、大丈夫よぉ♡」
と、軽く流し目をしながら言ってくれるのは、第2/魔術部隊のルビーノ。
「身の回りのお世話は、私たちのお仕事、なの!」
張り合うように、両手をわたわたと振るのは、第3/サフィーロ。
「はぁい、喧嘩しないの。手が空いた時や、お望み戴いたときは、それぞれに、ね」
優しくなだめる第4/アメティスタ。
「戦以外も、もちろん……!」
ほんのり顔を赤らめて、半歩前に出るのは、第1/アクロイト。
「ありがとう、その時はぜひ、お願いね」
「よろしく……お願い……しますね」
ルナリスも、穏やかな表情で彼女たちを見つめていますね。受け入れてくれたよう。
「ナオさん、できれば、この子達にも領域内外に自由に行き来できるよう権限を振ってもらいたいのですが」
「当然」
“悠久の楽園”への扉を開く権限をすぐに設定します。
「生産でレベルの上がるアメティスタを除いて、彼女たちはまだLv10、スキルも発展途上です。いづれは、試練ダンジョンなど活用してレベリングもさせたいと思っています」
「んと、彼女たちの……その……扱いは?」
「来訪者や私あるいはテイムモンスターと同じく、リスポーン可能ですのでご安心を。ペナルティーも同じです。リスポーン地点はこの”悠久の楽園”に設定されています」
「よかった。さすがに、それがないなら行動は一緒にとか、考えないといけなかったですからね」
「情報共有や管理上の理由から、私の直下での眷属扱いになりますが、実際の命令権の順位は、ナオさん、ルナリスちゃん、私、の順番になっています。それと、アメティスタ」
すっと、ドレスの裾もほとんど揺らさず、前に歩み出る、アメティスタ。
「こちらをどうぞ」
差し出されたのは4つの宝石があしらわれた小さな片耳用のイヤリング。
私には2つ。ルナリスと紗雪にひとつづつ。
「私たちと念話が可能なイヤリングになります。御用の際はこちらでお呼びいただければと」
なるほど、あしらわれた宝石が、それぞれの瞳と同じものになっているのですね。
ちなみに彼女たちの瞳は、虹彩の部分が違和感の無いよう気を配られた、綺麗に加工された宝石で作られています。
「ルナリスちゃん、ナオさん、私でつけておく感じですね。念話のスキルを付与しつつ、その宝石を起点とした魔力共鳴を活用した魔導具です。スキル結晶を使っているとはいえ、なかなか高度な技術なのですよ。装備スロットは消費しない、一般の通信アイテム扱いなので安心してくださいね」
「アメティスタ、早速ありがとう。これからもお願いね」
「はい、もちろんですわ」
「せっかくですから、今日のお夕飯はここでみんなで食べましょう」
「いいね。リアル側のコース料理とか、とってみる?」
「「「「「ぜひ」」」」」
ん?4人だけじゃなく、ルナリスも食いつきましたね?
ふふふ、いいでしょう、現実ではなかなか予約が取れない、有名フレンチのフルコースにしましょうかね。
部下となる魔導人形達の生産は明日からという事にし、たっぷりと美味しい料理に舌鼓をうち。
デザートは別腹と、思い思いのスイーツを食べ放題。
ワイワイみんなで姦しくお風呂に入り、その夜は更けていくのでした。
ちなみに、それぞれの子用の個室を各お城と、魔導工房に用意しました。
私、ルナリス、紗雪も、両方のお城に複数のお部屋を持っていますからね。




