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34.2章-第7話 ”ダンジョン-試練の間-後半 #2/4”

 そうしていつものベッドの上……ではありませんよ?

 まじめな確認ですからね、最上階スイートのリビングルームスペース、ふかふかソファーに並び、クッションに沈み込みます。


「よろしければ、わたくしの……ステータス画面を」


 許可を受け、可視モードで、二人の前に開きます。


 すごく、いろいろと上がっていますね。

 ☆5 武術:舞刀術、☆2歌唱、 ☆2舞踊  が全てSLv10に

 他も軒並み2~3、SLvが上がっています。


「本当に、がんばりましたね。さすがです」


 寄せ合った肩越しに銀の髪の上から頭にそっと口づけを。

 ほにゃっと、嬉しそうにしてくれるのが本当にかわいいです。


「職業が……新規に、月ノ姫巫女、月巫女、舞姫、刀巫女。あとは以前冒険者ギルド登録時と同じですね」


 プレイヤーは冒険者等ギルド登録後、職業設定が可能となるのですが、なぜか私はいまだに選択可能職業が1個もないのですよね……。職業スキルとか、補正がかかるという事なので欲しいのですが。


「巫女と姫推しがすごいですね」

「はい……もう姫ではないの……ですが」

「月ノ姫巫女がいわゆる上位職業に当たるようには見えますが」

「いい……です、か?」

「もちろん。ルナリスの自由で選んでほしいのですよ。ですが、私としてもこれがよさそうと感じます。名前も正直心惹かれるものがありますしね?」


 ちなみに、供犠だとか、生贄関連の職業もさらに候補に増えていましたが無視です、無視。


「ところで、巫女系統の職業に就いた場合の、祀る神はどうなるのでしょう?」

「特定の、神様を信奉……選ばない……限り、創世神様を中心とし、広く、とされます」

「不敬になったりとかはないのですよね」

「はい。習わしとして……この世界において……問題ありません」


 そのあたりはゲーム的な都合ありきなのでしょうかね? まあ、寛容であられる神々に感謝ですかね。


「月ノ姫巫女……になり、スキル進化、統合先……が、増えました」


 なるほど……?


 ステータス末尾の表示を見ると

 ☆2歌唱 ⇒ ☆3 歌唱術

 ☆2舞踊 ⇒ ☆3 舞踊術

 ☆5 武術:舞刀術+☆3歌唱術+☆3舞踊術 ⇒ ☆6 武術:上級舞刀術


 職業選択後、追加が、

 ☆3歌唱術+☆3舞踊術 ⇒ ☆4神楽舞い

 ☆7 属性:月+☆3歌唱術+☆3舞踊術 ⇒ ☆7月神楽

 ☆5 武術:舞刀術+☆7 属性:月+☆3歌唱術+☆3舞踊術+☆2属性:付与 ⇒ ☆7月影刀舞

 ※☆2 属性:付与 は、別途、保有スキル結晶が消費されます


「月魔術単独なら……無詠唱と組み合わせる事も……できます。でも、月神楽も、月影刀舞……も、舞いや歌と合わせないと、月魔術が使えなく……なります」


 と、取り出して見せた、☆5 無詠唱 SLv3 のスキル結晶。

 もともと彼女が自力で習得し、” 不朽の束縛”を装備したことで、スキル枠がロックされてはじき出されていたものですね。


「属性:月は、特殊……で、わたくしは生来保有、していました……が、新規の入手は困難、です」

「なるほど。つまり、ここで統合してしまえば、完全に舞いや歌に組み込んでの活用しかできなくなるわけですね」


 ☆7属性:月の魔術は幻影や幻覚、育てば他にも応用範囲が増える、極めて上位の魔術属性です。

 例えば、潜入、あるいは囚われて脱出するなどという時に、無詠唱で幻影を作れる。といった活用方法を捨てることになるわけですね……。


 じっと、取り出した結晶を見つめる彼女。

 ぽっと現れて、売買取引や、キャラクタークリエイトのスキル選択をした私達プレイヤーと違い、住民である彼女が生来努力でもって育て上げたスキルに込めた思い入れは、次元が異なるものでしょう。

 もちろん住民とて、売買でスキル入手はするのですが。このスキル結晶は明確に違います。


「それでも……選び取りたいと……わたくしは思い……ます」

「ルナリスの選択を、支持しますよ」


 こくり


 と、頷き、彼女が手を伸ばすのは、”☆7月影刀舞”

  既知の選択の幅は狭まれども、内包する潜在能力が最も高く、そして限られたスキル枠を3個も開放することで、さらなる未来の幅を広げる選択。


「わたくしの、舞は……ナオ様と……ともに、あります。……ともにあるため……に、この選択……で、間違いは……ありま……せん」


 胸がきゅっと締め付けられる。ああ、なんていじらしいのでしょう。




 続いて取り出したのは、本日初めて到達した75階層の”剣のゴーレム”の討伐報酬? というよりは託されたとか、そういう雰囲気に感じる、ブローチです。


「鑑定結果……です」


 さらさらりと、流麗な文字で書き記されたそれ。


 ============

 ☆6  剣に宿る遺志

 形状:2本の銀の剣が交差した意匠の、小さなブローチ。

 主材質:■■<秘匿されている>■■騎士の遺志を宿した魂

 基本性能:STR/AGI/DEX+☆4

 強化値:0

 特性:剣顕現、剣の舞、再生、■■<未開放>■■、■■<未開放>■■

 ※剣顕現:魔力を用い、2本の銀の剣を顕現する。

 ※剣の舞:装備者の魔力を用い、顕現した剣が空を舞い、自律戦闘を行う

 ============


「おぉ」

「試して……みます」


 室内ゆえ軽く浮かび上がるにとどめた彼女の背後、ちょうど私の翼があるような位置、肩甲骨の後ろ当たりに2本の剣が現れました。

 75階層で見たように、かなりの高速で宙を舞って見せる2本の剣。


「それほど遠くまでは……離れられないみたい……ですが……10mくらい? は行けそう、です」

「十分すぎるのでは……?」


 ゲーム的な近接DPS(火力役)と考えると、手が自由になって、槍より長いか同等程度の射程が2本確保できるわけですよね……? どちらかというとルナリスは誘引してのタンクに近いですから、身を守る手段が増えたと。

 素晴らしい。


「あとは空いたスキルスロットをどうするかですね。想定よりも自由度が増しましたし、一応冒険者ギルドでオークションも覗きに行きますか?」

「はい……是非に」


 プレイヤーズオークションに何か良いスキル結晶が流れているといいのですが。




 またもお貸しいただいている、冒険者ギルドの個室。

 プレイヤーズオークションの画面を、可視モードにして、2人仲良く、あれでもないこれでもないと相談中。

 ゲーム内時間で3か月半近くたち、出品されるスキル結晶の幅も増えてきていましたが、やはり☆5以上のスキルというのはほとんど無いですね。


「幸いそこまでかけ離れていない即決価格が付いていますし、もう、買っちゃいましょう」


 結局このようなお買い物となりました。


 ☆4 属性:雷、 ☆4 魔術:二重詠唱、☆3 状態異常抵抗


 私が堕天使モードで使っている”☆5背水”もないかなと思っていたのですが、そもそもルナリスの場合、超速再生でHP自体が回復してしまうので、相性最悪なことが分かりました。

 上位魔術属性の”轟雷”等は売りがなく、基本属性の雷を購入。

 二重詠唱は、基本的に魔術の同時発動は1個なところ、その枠を拡張するため。彼女の使う月魔術の場合、常時1枠使っている状態ですからね。効果自体は細かく歌や舞の切り替え表現で、変えているそうですが。


 状態異常抵抗はPVP大会を見据えて。

 私は装備効果で多少補えていますが、ルナリスは回復力任せというかなり強引な方法しかなく。

 MMOのPVPと考えると私含め、非常に不安、というかいっそスキルセットをそうとっかえしたいレベルですが。

 スロットが限られているこの世界では積み込める対抗手段も限られ……。序盤もいいところの今では装備で対抗手段を盛るという手も取れず。

 一応、光輝魔術がまさに、そうした異常解除効果の上位魔術属性ですので、そのあたりでどう立ち回るかですね。



 かくて無事目標だったルナリスの強化プランは、想定を大きく上回る成果を収め。

 明日からは、本気の踏破チャレンジ開始です。


「ナオ様…………」


 ルナリスが、私の胸に顔をうずめる。


「どうしたの?」

「いえ……。ただ、ナオ様と……二人で、こうして……将来の事を話すのが……幸せ、で……」


 その言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなる。

 彼女の笑顔のためなら、どんな困難も乗り越えられる。そう、改めて心に誓うのでした。


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