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『運命の供犠姫』私のVRMMO生活は、運命値極振りから始まる百合ライフ。呪いの装備は絆の証?  作者: malka
第2部 - 第6章

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158.6章 - 第27話 ”麗しき虹華の舞姫”

 しめやかに時が過ぎ。

 ぽつぽつと、コメント欄が動き始める中。

 紗雪がテキストベース(文字入力)で、コメントに応対してくれるのに、心の底から感謝しつつ。

 未だ天を仰ぎ、立ち尽くすルナリスの元へと、二つの身体で歩み寄る私。


「罪深き国……でした」

 ぽつり、ぽつり。言葉がこぼれ始める。


「長き年月の中、幾代も……の、供犠の姫達は……魂を捧げ、肉体を……永遠に弄ばれ」

 銀の髪が月光に揺れる。儚い微笑みと共に、彼女の視線は地上へと戻る。


「ナオ……様……わたくし、一人だけ……幸せになって……」

 左右から、そっと抱きしめる、2人の私。


「いいんです。皆がそう望んだのです」 「私達が、ルナリスが、終わらせたんです」

 労わるように、慈しむように。そっと撫でさする柔らかな銀の姫の、温もりを宿す背中。


「民が、土地が、絶え……ました。歴史が、穢れ……が、消え果てた、その……はずでした。それでも……なお。ここには国の罪が残って……います」

「彷徨いの樹海、この地の意味」 「彼らが伝えてくれたのですね?」

 それは、ある程度の予想はできた事。


「アレイスター王国。その原初の……知識、知恵。そして、武力。特に……邪神ヨグ=ソトースの下へと……至る、供犠の儀。ミ=ゴ、異星……からの来訪者。探求者にして邪神……達の信徒。彼らとの協力関係に……よって、王国は成った」

 訥々と語られる、あの技術の継承の最中、心を通わせ、伝えられた知識、記憶。


 大陸を3分割する1大勢力であった、アレイスター王国。邪教の知識、魔術、魔薬。その力の源はミ=ゴとの取引によって、もたらされたものであった。

 見返りに、王国は実験材料となる人を。あらゆる種族の人を、大陸全土から仕入れ、差し出していた。奴隷制度の禁止を連邦と帝国が推進する中、頑なに改革に応じなかったのも、この裏の密約を守るため。

 ミ=ゴの研究の中で生み出された改造兵士、黒い兵士達。その多くは実証実験も兼ね、アレイスター王国へと提供されていた。時代が進み、王族の中でも、限られた者のみが、この密約を知るようになったのであろう。少なくとも供犠姫の立場へ身をやつし、隔離されていたルナリスは、一切知る由もなかった。

 この他にも、多くの物、人、情報の交流……否、王国からの貢物と、見返りとして与えられる恩寵がミ=ゴとの密約の元、取り交わされていたことは想像に難くない。

 ただ、守護者達はあくまで代々の供犠姫達の護り手。その多くは未だ謎に包まれていた。


 全てを語り終えたルナリスが、不安げなまなざしで、2人の私を交互に見上げる。


「わたくし……は、王国と共に……果てるべきでは……ない、でしょう……か」

「それだけは断じて否です」「彼らも、そんなことは望んでいなかったでしょう?」

「……」


 再び泣きそうに、俯く銀の姫。全く、責任感が強いと言いますか、こういうところも大好きですが。


「第一、最後の王を僭称していたのはクロウリードですよ?」 「邪神の世界だかに引きこもって、邪神の神官になる夢だか何だかを叶えた自分勝手な王様」

「そういえば……いました」

 あはは、ルナリスもなかなか言いますね。まあ、私も忘れたかったですし、日々が幸せすぎて、もう、忘れかけていましたが。

 それに、あれは邪神の世界? 封印されている場所? に行ったのでしょうから、今後関わる事があるのかもよくわかりません。ルゥちゃんの方は……頭が痛いですが。


「責任なんてものがあるとすれば、邪神と通じることを望んで」 「歴代の悪行にどう考えてももっとも傾倒していたあいつでしょう? ルナリスは被害者です」

「……はい」

 まあ、納得はしてくれないでしょうね。それでこそ、私の銀の姫ですし。

 だから、もう納得を得るのは諦めましょう。強引でもいいんですよ、だって、事実私の我が侭なんですから。


「ルナリス。私の銀の姫。私は貴女を離しません。仮に貴女が離れたいと泣き喚いたとしても」 「そもそももう、”不朽の束縛”で、私達は魂までひとつに縛られているんですよ? 忘れちゃいました?」

「それは……」


 言葉なんて挟ませてあげませんよ?


 堕天使でそっと唇を塞ぎ、天使が甘く囁く。

「貴女は、私という呪いを受け入れたんです。貴女の生涯はこの悪い天使が縛り、奪ってしまいました」


 今度は、天使がそっと唇を塞ぐ。堕天使が優しく囁く。

「死すら私達を分かつ事はできない。不死の呪い。その祝福を受け入れ、共に永遠を歩むんです。しかも、このSEOの世界と、現実の世界、両方で」


 両耳の耳元に吐息がかかる程顔を寄せ。

「「私の愛しの銀の姫、ルナリス。貴女は、生涯、私のッモノ。私は生涯、貴女のモノ。永遠に愛し合いましょうね」」


 あは、呼吸が荒くて、お顔がほんのり赤いですよ? さあ、答えは? まあ、否定なんてさせないんですけどね?

「ひゃぁぁん」

「「しょれは (それは)、ひゃいと(はいと)、うひぇとめまひたから(うけとめましたから)」」

 弱い首筋を両側から、唇ではむはむ。ちゃんと永遠の愛の誓いをいただきました♪




 真っ赤になったルナリスを、天使の身体でお姫様抱っこし、入口へと戻る私。

「ナオさん、変なところで大胆ですよねー。いいんですけどー。まあ、今日はルナリスちゃんに譲ってあげます」

「ありがとう。そんな紗雪が、大好きですよ。でも、貴女も今晩は寝かせませんからね?」

 不意打ち気味に、拗ねた紗雪を手持無沙汰となった堕天使の身体で、同じくお姫様抱っこし、唇を奪うのでした。


『な、なな、ナオしゃん!? は、配信、はいしんーーー。また、わ~す~れて~る~~』

『ん、別に忘れていたわけではないのですけれどね。見たければ、見るが良い、どうだこれが私の伴侶達だ。最高に可愛かろう?』

 繋がり合った魂核同士で内緒の恋人同士の会話をし、そっと配信に向けてウィンクするのでした。





 ――「反省! 反省してくださいーー!」

 真っ赤になって、ニヨニヨしながら、ぷんすこ怒るという器用な真似をしている紗雪。

 正座する堕天使の私。


「ナオ……様……は、たまに……いえ、しょっちゅう、暴走……ししゅぎ、しすぎです!……わたくしの……身が、もちません」

 はい、ごめんなさい。

 先程よりもさらに真っ赤になって、身もだえながらお目目をぐるぐるさせて、両手を小さくぷんぷんするルナリス。


 いやぁ、暴走しました。テヘペロ。

 ちょっと本気で配信すらどうでもよくなって、そのまま、貪るように深いキスと、抱っこしたままのぎゅーをですね。

 あ、さすがに痴態を見せるような醜態は晒していませんよ? それは私だけが見て良い特権です。

 でもかなり暴走したのは認めましょう。


 `これで、BANにならない配信、ある意味すごい`

 `辞書の、『ぎりぎりを攻める』を、『ナオ』に置き換えよう`

 `マジでアカウント停止だけはやめてください、お願いします`

 `おい全員無事か、過激百合直撃で何人沈んだ?`

 `圧倒的、美麗な激戦を魅せつけられての沈黙。ようやく復帰し始めたコメント欄を、百合爆弾で爆破するナオ氏`

 `配信で人死にを出せる、百合テロ`


「ははは、皆さん何を言っているやら」


 `恋人……嫁2人の反応が全てなんだよなー`

 `禿同`


 なんてやっていましたら。


 【パーティーアナウンス:ルナリスのスキル ”☆7 月影刀舞 SLv10 <MAX>” が、進化しました。スキル”☆7 月虹刀舞 SLv1”を獲得しました】


「あーー、えーーー、創造神様。大変申し訳ございませんでした。そして空気を読みまくっていただき、ありがとうございます」

 はい。

 五体投地してお詫びしましたとも。


 まさかの、アナウンスを保留してくださっていましたね? なんと人間味あふれる、SEOのシステムもとい、創造神様。


 スキルレベル上限でずっと進化できずにいた、ルナリスの月影刀舞。

 スキルのレアリティーはさすがに上がらなかったようですが。長空を飛ぶ銀の剣に宿った、過去の騎士による期間の教導と、今の最終試練を経て、練度を高めた、舞刀術。その技の冴えはもはや少し前までとは別次元。

 SEOのシステム。創造神もまた、その成長を認め、祝福していますね。


 【パーティーアナウンス:ルナリスのクエスト”想いと技、託して”が達成されました。報酬を選択してください】


 おや?


「選択肢……が」

 交差する2本の剣の意匠が失われ、台座だけとなった、”☆6  剣に宿る遺志”。


 元の性能はこうでしたが

 ============

 主材質:■■<秘匿されている>■■騎士の遺志を宿した魂

 特性:剣顕現、剣の舞、再生、■■<未開放>■■、■■<未開放>■■

 ※剣顕現:魔力を用い、2本の銀の剣を顕現する。

 ※剣の舞:装備者の魔力を用い、顕現した剣が空を舞い、自律戦闘を行う

 ============


 秘匿されていた来歴が、見えるようになっていますね。

 ============

 主材質:アレイスター王国において、供犠姫を守護した騎士の遺志を宿した魂

 ============


  可視モードで共有される、ルナリスの前の選択肢。


 ============

 選択肢1:アイテム進化

 選択肢2:スキル獲得  ※注意:アクセサリー用アイテムスロットが、恒久的に1つ、失われます

 ============



「ルナリス、貴女の思うままに選んで大丈夫ですからね」 「とはいえこれはかなり悩ましいのも事実ですが」

 5個のアクセスロットが1個消滅って、滅茶苦茶重いデメリットですよね?


「さすがに選択肢2は想像がつきませんね。アイテム進化はまあ、順当に未開放の特性2つの開放でしょうけれど」

 紗雪も興味津々に覗き込んでいます。


「ルナリス様。差し出口をどうかお許し願えますでしょうか」

 ずっと、静かに全てを見守ってくれていた、第4部隊の子達。アメティスタがそっと口を開きます。


「もちろん……です。意見を……ぜひ、聞かせて」

 マーメイドラインのドレスをそっと持ち上げ謝意を示す、人形少女。

「私共に、装備許容枠を複数使用し、装備をご用意する技術がある事は、既にご承知と存じます」


 そうですね、☆9にまで至ったルナリスの防具はアクセ枠を追加で1つ。紗雪のウェポンシステムと防具に至っては、アクセ枠を合計3つ追加で消費しています。ただしこれは装備条件、装備中に限っての消費ですが。


「その際にこの、装備許容枠というものに、いかに膨大な、創造神様のお力が込められているか。肌身で実感しております。暫定的に枠を使用する、それでも、皆様におつくりした装備程に性能の向上が叶います。これを恒久的に失わせるまでに消費し、生み出されるスキル。それは、神器にも劣らぬ、莫大な神威を込めたものであることは想像に難くありません。もしも装備でお困りが生じるようであれば、私共が威信にかけ、なんとかいたします。私共第4部隊、悠久の楽園の生産を司る一同、スキルのご発現をお勧め申し上げます」


 何とも頼もしく言い切ってくれたアメティスタ。そして後ろに控える、調査のため同行してくれていた、第4部隊の子達。

 そっと交わされる、私への目配せに、当然頷きを返し。


「アメティスタ……第4部隊の皆……ありがとう、ございます。わたくしは……迷いなく、創造神様のご啓示から選び取らせて……いただきます。それに、この選択こそ……彼らの遺志を、私の裡に……抱き続けられると、想うの……です」


 そっと嫋やかな指先が、選択肢2、スキルの獲得を選択する。



 光の糸へとほどけてゆくブローチの台座。それは、ルナリスの掌の上で、クリスタルを形作る。

 ルナリスの胸元から、眩く輝く光の球が飛び出し、光の糸で編まれるクリスタルの中へと飛び込む。

 さらに、ユヴェールとしての、宝石の属性を象徴する背中下側の、薄い宝石が形作る羽根から、七色の輝きが彼女とクリスタルを繭のように包み込む。


 わずかな間の後、全てが収まり。彼女の掌の上にはかつての神授の雫のように、神々しく煌めくクリスタルが。

 ドキドキしながら、ルナリスの鑑定結果を待つ。



「スキル結晶” ☆9 統合スキル – 麗しき虹華の舞姫“……と。わたくし、への……帰属も付されており、ます」


 `うぉ、☆9スキル!?`

 `ま、じか。え、どんな性能!?`

 `神々しい。そのまま飾って、拝みたくなるレベル`


 沸き立つコメント欄。可能性は頭の片隅にありましたが、これはまた。


「ナオ……様……」

 何とも哀しそうというか、情けなさそうな声で呼びかけるルナリス。


「どうしました?」

「わたくし……スキルの枠に、空きが……ございませんでした」


 おっと! そういえば、魔法の練習も兼ねて、属性魔術でスキルスロットを埋めてしまっていましたね?

 そもそも拡張したスキルスロットは、進化の時に、3人で共有される特殊なスキルスロットとして、”不朽の束縛”に移し替えられて、全員個人単位では、スキルスロット10個に戻ってもいました。


「これは~……オークションでスキルスロットエンハンサーを狙うにしても、教会で入れ替えてもらうにしても、一度、町に戻らないといけませんね」  「これはさすがに、仕方がないですね。視聴者のみなさん、ごめんなさい。スキル効果や詳細は、スロットの枠が空くか、スキル入れ替えまで少しお待ちを」


 うちのテイムモンスター宝石蝶”セレスティア”の分身で、ここまで転移で戻れるかとも期待しましたが、さすがに特殊なイベントエリアは長距離転移できないみたいです。

 とはいえ、彷徨いの樹海の中でも、転移ができる場所は何か所も存在する事を確認してあります。

 往復ともに、大幅に時間は短縮できるでしょう。大陸中に少しづつ、セレスティアの分身には進出してもらっていますしね。

 以前は徹底的に避けていましたが、神託とも絡んだ以上、教会ももう今更ですから、行ってもいいかもしれません。


「では、皆さん、今日の配信はいったんここまで!」 「また次回をお楽しみに♪」

「当面はゆっくりまったり? 彷徨いの樹海攻略になると思います。ナオさんが変な気を起こさなければ!」

「皆様……また、次回……ごきげんよう」


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