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『運命の供犠姫』私のVRMMO生活は、運命値極振りから始まる百合ライフ。呪いの装備は絆の証?  作者: malka
第1部 - 第5章

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130.5章 - 第24話 ”テイマーの戦い方? #3/3”

本日から1日3話投稿(7:10, 18:10, 22:10の3回)に変更させていただきます。

こちら本日2回目の投稿になります。

 神代魔法は魔法ではあるものの、スキルと祝詞に導かれて発動していた。

 魔術は言わずもがな、ゲーム内の仕組み、スキルに依存した技術。


 紗雪が共有してくれた、ナコト写本の知識。

 神代魔法を行使した時の流れ、実感。

 そして……クロウリード王が教導するように語った言葉を思い出す。



 『まずは、魔力を感じ、可視化する』

 3人でそろって工程を丁寧になぞっていきます。

 世界に存在するあらゆるものに満ちる、魔力。それは現実すらも……。

 魔術を行使していなくとも、今は石碑に生命力と共に吸引され、確かな流れを感じる。仄かな輝きの流れ。焦点を合わせようとすると霧散するように見えなくなる。温かなそれを茫と、視るとはなしに視る。何ともあやふやな感覚。


 『つながり……』

 ルナリスの心の声が念話越しに響く。今やそれぞれの首元に輝く”不朽の束縛”に、そっと触れる。


 `あれ、何気なさすぎて見落としていたけれど、ルナリス姫だけがしていたチョーカー、お揃いでつけてる?`

 `宝石も3つに増えてる`

 `多分集中しすぎててコメント見れてないけれど、エンゲージメントアクセサリーかな? 紗雪嬢もエンゲージメントスキル発現したって、動画で喜んでたよね`

 `多分そうかも?`



 『魔力とは魂から生ずるもの。それなら。うん、ルナリスちゃん、私達にはそれが近道かもしれませんね』

 『今まで、自分の中から生まれた魔力を変質させることに固執していましたが……紗雪、ルナリス』

 『『はい』』


「「依依恋恋たる抱擁-昼想夜夢」」


 実質3人をつなぐ、紗雪とのエンゲージメントスキルが内包する、全てを共有する、日に1回のそのスキルを発動する。

 ぼんやりと見えていた周囲の魔力の流れ。それとはけた違いに濃密な、3人をつなぐ魔力の流れ。魂の繋がり、絆の糸が強い輝きを放ち、視える。


 私達の魂核。本体は悠久の楽園に秘したそれの、あくまでイミテーションではあっても。

 私のピンクダイヤモンド。ルナリスのブルーダイヤモンド。紗雪のグリーンダイヤモンド。

 三つの魂核をつなぐ確かな輝きが目に視える。互いの共有された視覚が重なり合い、その魔力と絆の徴(しるし)ははっきりと可視化されている。

 3人の4つの身体をつなぐ、混ざり合った魔力から、一滴をそれぞれが指先に掬い上げる。


『『『魔力……変質』』』

 それぞれの保有する属性に変質を試みる端から、魔術が発動してしまい、石碑に吸収されるのを繰り返す。

 が、今回は自分だけではない、3人それぞれの視点や感覚からの感知情報がフィードバックされてくる。

 どのタイミングで、どのように魔術の術式が発動しているか。


 『変質……属性への転換……の余剰魔力……が、魔術の術式に取り込まれて……います』

 ルナリスの虹色の輝きを宿す蒼銀色の瞳が、その宿る魔眼”月姫の時空眼”で魔力の流れを、時の流れを、分析する。その情報が、高度な演算能力を持つ紗雪に共有され、解析される。さらにナコト写本の知識に照らし。

 『そうですね。私達が未熟で変換効率が低いので、魔法効果に必要な属性変換済み魔力が十分に生成される前に、未変換の魔力があふれる。あふれた未変換の魔力で術式起動の必要魔力が充足されてしまって、SEOシステムの魔術式が起動してしまう。ひとたび魔術式が起動してしまうと、転換途中だった魔力までも、術式に吸い上げられている。それが失敗の原因だったみたいですね』

 『つまり、変換効率を上げて、ロスをなくす。そうすれば、魔術の術式が励起されない。という事ですね? ルナリス、紗雪、私。この魔力……3人の魂が混ざり合って生み出している魔力……それを、もっとうまく変換できれば……』


 `なんか、3人とも指先に魔術が灯っては吸収されて消えてる`

 `やっぱりどれだけ早く起動しても、魔術吸収の方が早いんだろうね`

 `ボスもあんまり動きがないね`

 `紗雪嬢の鋼糸が鉄壁すぎて、相手になってない`

 `ただの、固定砲台的なボスなのかな? それなら、紗雪嬢みたいな鉄壁ガードができてしまえば、いつか削り倒せそう`

 `ダメージを入れてないから、ギミックの段階が進んでないだけじゃない? ほら、HPが一定を下回ると行動パターンが変わる系のやつ`

 `SEOの事だから、特殊ボスっぽいこういうのに、そんな単純なAI詰んでないと思うけれど。段階的に行動パターンが変わるボス自体は確かにいるよね`


 と、そんなコメントが流れたちょうどその時、フィールド中央のボスから、これまでひとつづつの岩に分離して射出していたところ、一つにいくつかまとまったままの大きなごつごつした塊が分離、射出してきます。


 さすがに、紗雪の鋼糸でも弾ききれないか? と懸念したとき、特に指示を受けるでもなく、セレスティアがアリアを転移。

 一つを受け流すと、大きく弾き飛ばされる灰色毛並みのクジラの身体を、再度転移。

 次々受け流し、弾かれ、転移しまた受け流しを繰り返し始めます。

 そのやり取りが楽しくなってきたのか、アリアが高い鳴き声を上げ、嬉しそうに体をゆする。痛くないならよいのですが、変な趣味に目覚めないでくださいね?


 さらに、鋼糸の結界外に迫る大きな塊に向けて、可愛い黒犬姿はそのままに、体毛を伸ばしたかのように見えるよう、体の一部を細い触手状に伸ばし。その先端から”混沌の侵食”による崩壊の力をリィナが放ち、撃ち落とす。配信映えを意識した。というわけではなく、ルナリスが好きな、もふもふわんこの姿を、極力崩さないように考えたのでしょうね。

 お利口でかわいいです。が、いつまでも任せっきりにするのはよくありませんね。


 『ルナリス、紗雪、もしかしたらですが……』

 考えを読み取った2人からの快諾に、試行錯誤を次の段階へ進めます。仮にうまくいったとしても、所詮は特殊な状況のみでの成功になります。が、まずは感覚をつかむことに意味はあるでしょう。今なら経験を3人で完全に分かち合えますしね。


 3人、4つの身体で寄り集まり、きゅっと手をつなぎ、小さな円陣を成して身を寄せ合います。

 視線の先、中央に3人の魔力の雫が宙に浮かぶ。

 そこに順番に、魔力の変質をかけていきます。

 天使の身体で火を。共有されたルナリスの視界と、紗雪の解析を元に余剰魔力を認識し、堕天使の身で氷を。

 さらにルナリスが風、紗雪が土。ちょうど4人で魔力変質を一巡したところで、混ざり合った3人の魔力の雫が属性を持った魔力に変質し尽くし。未変換の余剰魔力を消費し尽くすことに成功。

 4人の中央には4つの属性の小さな種火ともいうべき、魔力の核が出来上がっていました。

 石碑からの吸収の影響もうけていません。これまでの観察結果の、この吸収効果が生命力と、魔術術式に対してのみ作用している。というのは正解だったようですね。魔術として成立していない、けれど変質された魔力は吸収対象外であっていたようです。


 『やりました、魔術が発動しません』

 『安定……して……います』

 『じゃあ、これに……そうですね、今回は、放出でいいですよね』

 言った紗雪から、ナコト写本で得た、属性魔力へ方向性を与える方法の知識が共有されてきます。

 その術法に則って、属性を付与され変質した魔力核が膨張。収束をかけていないので、各属性の魔力でできた雲か霧のような状態でふわりと、中央に鎮座するボスへと向かい……。


 ズドンッ

 おなかに響く音。想像以上の衝撃を伴い、岩の塊が熱で溶かされ、氷漬けになり、ぼろぼろに風化して砂と化し、果ては押し固められ、圧縮された一塊になってしまいました。

 レベルもといランクが低いというか、所詮はレアリティーは上がっていても、中級のボスだったという事でしょうか。

 係数もかなり低く、同ランク、レベル帯であれば160万MCはいる計算の所、32万MCしか入っていませんね。

 かなりあっけない討伐でしたが、コメント欄のざわつきは、そんなことそっちのけに盛り上がりを見せています。


 `え、魔術発動した?`

 `いや、画面越しだから確証はないけれど、魔術とは何か感じが違う`

 `そもそも威力がおかしくない?`

 `それより、ナオ氏が放出系攻撃魔術使ったよね?`

 `あ……天使なら接触しないとだめ、堕天使ならデバフ特化で攻撃魔術は使えないはず`

 `え、どゆこと`


「魔術。とは別に、魔法と呼ばれる現象がある事は、確かプレイヤーも住民から聞いている方がいらっしゃいますよね」


 `掲示板とかでも話題になってるね`

 `でも、実質的な差がほとんどないから、まじめに習得目指しているのは、魔術マニアみたいな人達だけ`

 `ゲームなのにリアルみたいな勉強と研究までしたくない人が大半だからね……リアルで役に立つわけでもないし`


 さすがに現実で使えるかもしれないとは、言うわけにはいきませんからね、そこは反応せずスルーして。

 最も、それ以前に斎賀さん曰く、何か処置をしないと現代人は魔法の技術をゲーム内で習得しても、現実ではまず使えないという事でしたが。


「まだまだ拙いですが、その”魔法”の初歩の初歩を実現できた。という感じですね」

「魔術吸収に引っかからなかったのも、魔法が魔術とは異なる体系だから。ナオさんの魔術特性の制約に引っかからなかったのもそれで、ですね」

 そうなのですよね。意外とそこは大きくて。ゲーム内のみで言えば、魔術は制約やスキルの重ね掛けで威力を簡単に向上可能。一方で、威力は劣る可能性があるものの、制限のかかっている魔術ではできない、不便な部分は魔法でカバー。というのが私の場合理想形になりますね。


 `え、まじ?`

 `住民の上級魔術師とか言われてる人たちでも無理で、賢者とか英雄クラスの人達がようやく会得できてるかどうかの技術だって`

 `もしかして、プレイヤーで魔法発現第1号じゃない? アナウンスとかないからわからないけれど`

 `神代魔法が使えるから、その下位互換みたいな魔法も使えるとか?`


「まだ、エンゲージメントスキルの補助付き。いわば、三輪車をさらに大人のサポート付きで乗り始められたかどうか。という感じですから、”使えた”とはまだまだ言えませんけれどね」

 ええ、実際これを各自単独でできるようにならなければならないですからね。

 それにしても威力がおかしいですね。ただの放出、しかも使用魔力もごくごくわずかだったのが驚きです。意外と乗算倍率重ね掛けの私でも遜色ない威力を、魔法は出せるのでしょうか?


 『それは……変換効率……が極めて高いから……ではないかと』

 『そうですね、魔術は高度にシステム化されていますが、どうしてもロスは大きかったみたいですね。そもそも魔術で使用するMPは本当の意味の魔力、MCの元となるマナとは別の、ゲーム内限定のシステムですから』

 『なるほど。魂のエネルギーその物を源とする魔法は、ゲームの魔術とはけた違いというわけですね』

 つなぎっぱなしの感覚の共有を通してこっそり会話します。私の場合は先ほどの制限関連での差別化も大きかったですが、紗雪とルナリスにしても、魔法は魔力効率が圧倒的に高い。というよりも、魔術がゲーム的なシステムとしてバランスをとるために魔力効率を落としてある。と、みるべきなのかもしれません。現実は逆に魔術はありませんから、魔法こそが本来の基準なのでしょうね。


 コメント欄はまだまだ盛り上がってくれていますね。

 と、そんな流れを断ち切るように


 `あ……あの、気になっていたのですが……皆さんのアクセサリー`


「あ、気が付いてくださったのですね」

「うふふ……」 「えへへ~」

 ルナリスと紗雪も、ご満悦の表情でドローンカメラにそれぞれの初お披露目になるアクセサリー。

 澄んだ青色のサファイアに、ミスリル銀の部分が虹色の輝きを秘めた、イヤリング。

 ツーサイドアップの根元に飾られた、深紅のルビーが際立つ蝶々の髪飾り。

 を、指で触れ、見せつけるように映し出します。

 私も、ルナリスと対になるような、天使体の白いハーフアップを飾る深い青のサファイアで彩られたバレッタ。そして、紗雪と対になるような、堕天使体の黒髪を彩る、黒と金色のベースに、深紅のルビーで飾られたバレッタを、見せつけちゃいます。


「今は亡きアレイスター王国で購入した、想い出のアクセサリーなんですよ~♪」

「わたくし……は、囚われている……時でした……が、辛い中でも……わたくしを想って、ご用意くださった……のです」

「私のも、どれがいいかなって、一生懸命選んでくれたんです♪」


 そうしてその日の初配信は、幸せな3人ののろけで、幕を閉じる事となったのでした。

 魔法の習得開始、3人の人前でも気にしない濃密な愛情表現、甘い蜜のようなのろけ。


 思った以上に反響は大きく、MC収益も上々であったとだけ。


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