106.4章-第22話 ”焼滅”
「紗雪。見せてやりましょう? 私たちの絆を。だから、お願い」
「もう、覚悟を改めては問いません。受け止めてください、ナオさん。私は、愛おしいあなたを。貴女とルナリスと私、3人の絆を信じます」
2人の声が、重なる。
「「依依恋恋たる抱擁 -昼想夜夢」」
私と紗雪、今はただ2人だけが、対象に表示されたエンゲージメントスキル。
2人のリソースが共有される。
魔力がつながる、命がつながる、そして、感覚がつながる。
膨大な魔力を生成する、最上級古代魔導人形であった彼女のジェネレーター。
同時に、魂を有するに至り、禁忌魔導生命となった彼女に生まれた、生身の魔力生成機構。
双方が生み出す膨大な魔力に、酔いそうになる。
さらにそれ以上に、全ての五感が、共有される。あの偽物の夢の世界で、2つの身体を自在に操る体験をし、多重思考を習得していなければ、感覚の奔流に動きが止まっていたかもしれない。
初めての、全てがつながる体験。
圧倒的な全能感。
そして、同時に流れ込む記憶と感情。
互いの好きという気持ちが何一つ隠すこともできずに、赤裸々に伝わる。自分のこととして理解できてしまう。
ルナリスへの嫉妬。そんな自分への自己嫌悪。
揺らぐことのない、私へのあまりにも深い愛情。存在理由、存在の根幹にまで根差す私への思慕の情。
あまりに深いその愛に、紗雪への愛情もまた燃え上がる。
そして、ルナリスへの、私への心とは少し違う、しかし確かな愛情。
普通の恋人が、夫婦が、得られるどんなつながりよりも深く、深く、互いを知る感覚。
ともすれば畏れも湧き上がるその一体感。同時に、魂を満たす安心感。
アーリーアクセスの空間での記憶が、その時の感情が、視ないようにと思っても、自分の事のように思い出されてしまう。
あの質問の半数以上を占める、紗雪自身の、私への興味、関心、見極めたいという気持ち。
ナイアルラトテプに、アザトースの顕現のために、まだ仮初めであった魂を、現実の紗雪を構成する領域を、侵された時の恐怖。本当に、本当に、後1瞬遅ければ彼女は現実からも消えていた。それを理解する恐怖。間に合ったことへの絶大なる安堵。
互いの裡を満たす、あまりにも圧倒的なお互いの存在に。
翡翠の瞳と、金の瞳が、その両方を自分の視界として、互いを見つめ合う。
ああ。そして。
あの絶望のひと時が、流れ込む。閉ざしていた記憶の、心の、魂の扉がこじ開けられる。
今度こそ完全に、思い出される。
偽物の月の裏側での最後、
仲睦まじく寄り添い、抱きしめあう、1組の男女
最愛の銀の姫と、忌まわしい邪悪なる王。
耐える。それでも耐える。
また折れそうになる心を、紗雪がしっかりと包み込んでくれている。
その温もりに甘え、慰撫され。
無数のナイアルラトテプの眷属たち、忌まわしき化け物たちから私たちを守る、輝く五角形の結界。
安定と安寧をもたらす、神代魔法-護法抱擁の中で、私は全てを思い出し、全ての覚悟を定めた。
「復活ですね、ナオさん」
「うん、全部紗雪のおかげです。ありがとう」
恥じらいも、罪悪感も、言葉にせずとも全部彼女には伝わっている。だから。
紗雪と接吻を交わし、もう迷わない、と。
今はただ、敵を睨み据える。
サフィーロが遺してくれた、”護法抱擁”が無数の化け物の侵入をかたくなに拒んでくれていた。
その温かな輝きが、薄れ始める。
顕現体/裏 神翼種/闇
黒き翼に黒き髪。金の瞳で群れを見渡し。
「まずは、削りますよ。このままじゃ、憎いあいつに届かないですからね」
「援護は任せてください。なにせ出力も、以前とはけた違いですからね? 今度”悠久の楽園”に戻ったら、まだ起動できなかった武装群を、整備してもらっちゃいます」
「あはは、紗雪にまた火力を突き放されそうですね」
「瞬間火力なら間違いなくナオさんが圧倒的なのに、何を言っているんですか」
「いやぁ、私は、紗雪とルナリスにこうしてサポートしてもらわないと継戦能力がね」
ああ、こんな暢気な語り合いすら、私は捨ててしまいかけていたのですね。
敵は悍ましく強大。
麗しの銀の姫には捨てられ……た、かもしれない! かも! ね!?
でも、紗雪が、始まりの時から私を導き、支え続けてくれた最愛の片割れが、私の背中を守ってくれている。
全てが通じ合って、心をも支えてくれている。
結界が消えた。同時にけたたましいガラスを引き裂くような声があたりに満ちる。
「うっるっっさ!」
耳が割れそう。
そんな忌々しい絶叫を圧する、重低音の咆哮。群れの一角をまとめて貫通する、対物狙撃銃の魔力弾体。
さらに、鋼糸が無数のきらめきを宙に放つ。あたりを囲む糸の結界。
囚われた化け物達に浴びせられる、拳銃弾の嵐。
さらに結界に斬撃の特性の付与が重ねられ、無数の化け物が切り刻まれ、塵へと還る。
そんな殲滅劇を横目に、あえてあけられた半球形の結界の一角へと、突貫する私。
振りかざすハルバード(斧槍)の一振り一振りが、圧倒的な破壊をまき散らす。
属性-暗黒 縛れ、縛れ、縛れ!
あたるを幸いと振り回す暴虐の斧槍の旋風から、半ば恐慌をきたし始めた敵の群れを、暗黒の枷で縛りつける。
狂乱の中、突撃するも逃げるも封じられ、ただただ、血煙と黒い靄へと変えられるを待つばかりの獲物達。
「解放せよ」
そんな狂騒を横目に、いよいよ銀の鍵が開いた空間への、アレイスター王国全土から収奪された生命とマナのスープたる靄の流入が止まり。王国に存在した、行きとし生ける全ての者達の命と魂の結晶が、飲み干された。
生命絶えたアレイスター王国、その中心にあって、指示を下す、クロウリード王。
ひときわ邪悪な愉悦が、邪神ナイアルラトテプからあからさまに噴出する。
「お待ちかねでしたよ。さあ、矮小なるヒトと人形に、プレゼントです。歓喜しなさい。愛おしい愛おしいヒトとの再会ですよ?」
片っ端から奴の眷属を消し去り、むしろ経験値とMCという糧にしながら、祭壇へと、邪神どもへと届く道筋をつけようとする私の目の前で。
「……は?」
それは。
それは……ダメでしょう!?
それは、なんですか、それ……そんなのって
紗雪の鋼糸の結界が、動きの止まった私を包み込み、狂騒に駆られた化け物どもから隔離する。
邪神ナイアルラトテプが混沌たる己が領域から引きずり出した存在。
虹色にうっすらと輝く銀の髪は美しく、膝下までのばされ……それが今や……。
決して私たち以外に触れることを許そうとしなかった、銀の絹糸のような髪はザンバラに切り刻まれ。
虹色の輝きを宿すに至った、蒼銀色の、ずっと見つめ合っていたくなる瞳……それが今や……。
えぐり抜かれた、血潮を垂れ流す眼窩は闇と血肉を剥き出しに晒され。
さくらんぼの、紅をささずとも、麗しく艶を湛える唇……それが今や……。
再生を阻害する無数のとげを生やした口枷を嵌められ、止まらぬ血の川を流す噴水へと貶められ。
そっと触れると、ピクリと体を震わせ、白く美しい頤を持ち上げるほっそりとした首……それが今や……。
切り離されたままの首は生気の全てを零し、再生する傍から蛆に貪り食われ、脊髄へとつながるはずの骨も剥き出しに。
麗しの銀の姫の、悍ましく痛めつけられ、それでもなお死”のみ”を未だ拒まれ続けるそれが。
ぞんざいに、私の足元に投げ渡される。虚ろな眼窩が私を見据える。
この状態で、”死んでいない”? ……不死は呪い、その言葉を痛感する。
ゴトリと、足元に落とされた頭蓋……撫でるとさらさらと心地よく、お互いを幸せにしてくれた頭……。
頭蓋に取り付き、割り開き。脳髄をすする悍ましいゼリー状の、触手が生えた生物。永遠と再生する脳髄をひたすらすすって……。
こらえきれずに、胃液が口から零れ落ちる。
嘔吐が止まらない。
必死に耐えてこそいれど、同じく絶望と、嘔吐を抑えるのに手いっぱいの紗雪の感覚が、心が、克明に伝わってくる。
「ふ……っざけるな……! まだ、まだしも!! ルナリスが、選んだ幸せの形ならそれでもと!!! これのどこに、これのどこが! 貴様らぁぁぁ!!!」
胃液を吐き散らしながら、叫び散らす私。
必死で足元に転がされた、最愛の銀の姫の頭部を胸にかき抱く。潰す傍から新たに湧き出る蛆。その責め苦から解放してあげる事すらできない無力な自分にますます絶望が深まる。
しかし……無体は、無残は、無情は
まだ、序の口だった……。
続いて嗤う混沌の邪神がひきずり出した存在。
麗しき銀の姫の柔らかな肢体。愛を交わし合った彼女の身体……それが今や……
悍ましい肉の触手に全身を取り込まれ、ありとあらゆる肉を穴を、犯し、喰い破られる。内臓は零れ落ち、蛆がたかり育つ。
ああ、そして今、意思伝達の儚いつながりが……復活した。
否、それは復活とは到底言えぬ。繋がりは、得られた。だが、伝わってくる銀の姫の魂は、破滅に呑まれていた。
虚無、ひたすらの虚無。ただ、それだけが、心へと伝わってくる。まるで底なしの穴に呑み込まれるような、虚無へと飲み込まれるような。
時に優しく包み込むように、時に甘えすり寄るように、時に羞恥に身もだえするように。表情以上に豊かな感情を伝えてくれていた、銀の姫の心は、もはや何の反応も示してはくれない。
「”不死”とは実に愉快。しかもこれでも完全な魂の消滅を許されない”至上の供犠姫”。ふふ、あははははぁぁ。こんな成れの果てでも、零れ落ち続ける、湧き出し続ける魂の雫のなんと甘美な事!!」
「啜るくらいは自由にするがよい。だが、”心の臓”は、今、抜かせてもらうぞ」
「どうぞ~。そのためにここだけは無垢なまま。ナオさんの前で、やって差し上げてくださいな」
わざわざ、ああ。わざわざ、レイラさんの姿に変じ、艶やかな肢体をくねらせ、フェイスベールの奥で長く赤い舌を誑し嗤う邪神。
冒涜の限りを尽くされた、ルナリスの胸元にクロウリード王の手が添えられる。
まっすぐに添えられた指先。
ルナリスの一部であった、虹色宿す蒼銀の瞳が輝き、時空の理を王の眼前を映し、示す。
ゾブリ
肋骨すらも割り砕き、突き込まれた手刀。
引き抜かれた、銀の姫の心臓。
衝撃にもはや無事なところなどない肉体の残骸が跳ね、血肉と蛆が飛び散る。
それでもなお、ルナリスの虚無に堕ちた心は、何も伝えてきてはくれない。
痛みも、苦痛も、絶望も、恨みすらも、伝えてきてくれない。ただひたすらの無。
血を生み出し続け、滝のように零す心臓。
それを、右手で捧げ持った男が向かう先は祭壇。
昏睡から目覚める様子のない、海のように深い碧色の長い髪を祭壇に広げる、碧色の供犠姫のドレスをまとった少女、ルゥ。
その心臓に、クロウリード王の右手が、再び手刀となり、かざされる。
「アレイスター王国 第三王女 クゥルゥネ=フォン=アレイスター 至らぬ供犠姫に最後の時を告げる。責務を放棄した不徳の妹に変わり、汝、ただひと時の仮初めの供犠姫たる責務を果たせ。時空を映す瞳は既に成り、正当なる者へと譲渡された。我らが父たるヨグ=ソトースへ捧げられるべき至上の供犠姫、その最後の魂の一雫となり替わり、その身、その魂を、捧げよ!」
再び胸に突き込まれる、邪悪なる僭王の右手。
その衝撃に、ルゥの目が、深い海のような碧色の目が見開かれる。
喉を潰されていたのか……声すら漏らすことが許されなかった絶叫に、口が大きく開かれる。
取り出されたルゥの心臓。しかしそれは無残にも握りつぶされる。
代わりに、胸に開かれた大穴に突き込まれる、クロウリード王の左手。
その先には、奪い取ったルナリスの身体からえぐり抜いた心臓。
未だ機能し続ける急速な再生の力は、与えられた異なる身体に血液を循環させ始める。
とたん、巨大な扉の中から湧き出てくる無数の肉の触手。あの地下で見た触手達よりも、はるかに膨大な邪気と悍ましさをまとった触手の海。歓喜に振るえるそれらが、碧い供犠姫。ルゥと呼び、親愛を交わした彼女を、扉の奥、闇の果てへと引きずり込んだ。
消えた”至上の供犠姫”ルナリスの心臓。心臓が無限に生み出す血潮に満たされ続ける“碧い供犠姫”ルゥ。
けれどもその中にあって、確かに未だ感じる胸の中の、哀れな姿に貶められた麗しの銀の姫の頭部の重み。
わずかに湧き出した理性が呼び起こされ、全てを試みろと、意思を動かす。
最上の治療手段。すがるように、2つの清浄な神々しい輝きを放つ瓶を取り出し、使用を念じる。
が……あぁ……なんたる無情
【パーティーアナウンス:この対象に“☆7 最上級-状態異常除去薬(帰属)”、”☆9 蘇生薬(帰属)“は使用できません】
神話級とされる蘇生の秘薬すらも……彼女を救えないというのか!
あまりの光景に、あまりの冒涜に、機能を放棄していた脳と体が。
怒りを通り越し、無我に至ってしまっていた心が。
ただ、ただ、無の境地のままに、砕けていた己の魂を突き飛ばす。
転身 顕現体/表 神翼種/光
「腐れ外道、腐れ邪神、貴様が恐れていたのはこれだろう、これなんだろう!?」
白き羽根の身を縛ったという、邪神自らの失言。
紗雪と共有された知識の中に確かに在った、原初のナコト写本の知識。
始めて見せる焦りの表情で、開きかけていた巨大な扉へと触手に引きずり込まれた、心臓を入れ替えられたルゥの後を追うように、扉の奥へと飛び込むクロウリード王。
くそ、勘のいい。逃げられたか。
「なんでも持って行けよ、何だろうと持って行けよ……もう、知るか」
あぁ、人はここまで空虚を抱えられるのか。
虚無しか伝えてきてくれない、ルナリスとの意思伝達の繋がり。全てをつないだ紗雪の深い深い、悲しみと絶望。
それすらもどこか遠い世界の出来事のように、感じながら。
「滅びろ、消えろ、失せろ」
怒りなんてまだ甘かった。
「IA IA Cthugha, IA! IA! Cthugha!! 怨敵を滅せよ、混沌の使者ナイアルラトテプの天敵たる御身が焔をここに示せ、この身、この魂、諸共に焼き尽くそうとも、この邪悪を、外道どもを!! 滅ぼし尽くしたまえ! IA! IA! Cthugha!!!」
自らの胸元に“双短剣-鳳凰翔舞“を突き入れる。
まるで、ルナリスの後を追いたいと心が叫ぶままのように、彼女の頭部を抱きしめたまま、己の心臓をためらいなく貫く。
接触発動の縛りを、己が命に直接叩き込む事で成し。
昏く静かに、元天使たる身に、焼滅の炎が宿る。
邪悪なる神性の炎が宿る。
紗雪に類が及ぶ前に、神炎をもたらす邪神の降臨の直前。
強制的に”依依恋恋たる抱擁-昼想夜夢”による紗雪との全ての共有効果を解除する。
彼女だけは対象から外すよう、乞い、願い、代わりにこの身の全てを捧げることを、胸の抱いた彼女の安らぎを、願う。
「貴様!!?」
この姿に転身しても、まだ、どこか余裕を残していた邪神ナイアルラトテプが、今度こそ、真正の慌てた声を上げる。
ざまぁみろ。ナイアルラトテプの天敵と神話に記された、クトゥグアとはいえ。
その力を、矮小なヒトの身で扱ったところで、貴様には届かない。
そう、思っていただろう? わかっていたのだろう?
こっちにはね、原初の”ナコト写本”を、その身に呑み込んでまで私に寄り添おうとしてくれた。最高のパートナーが、最愛の伴侶の片割れが、いるんですよ。
人の身を通じた、限定的な力の発露などではない。
貴様が恐れた炎の邪神。かの神そのものが、今ここに、贄を得て顕現するぞ?
さあ、畏れろ! 恐れろ!!
属性:神炎
ただの、人の身に許された、魔術発動ではない。
変質した魔力、神代魔法の適性を有する魔力をつぎ込み。
【エリアアナウンス:”☆9神話級スキル 属性:神炎”の導きと、“贄の存在の消滅”を糧に “☆9 神話級 クトゥグア”が願いに、求めに、応え、顕現します】
「ふふ、あははははははは!!! 滅びろ、糞邪悪ども!!!! 永劫に、邪悪をはぐくむ国土ごと、消え失せろ! どうせ民も、何も、生命あるものの残ってはいない土地だろうが!」
私の頭も完全にプッツンしている自覚はありました。狂気をはらんだ哄笑を上げ。
だって、胸の中で、最愛の片割れたる銀の姫の無残な躯が。瞳を失った眼窩が。
それでも、死を得る事すらできない、”至上の供犠姫”などという鎖に未だ縛られた彼女が!
私を、見届けてくれているのですもの……。
滅びろ、滅びろ、滅びろ!!
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種族邪神
ランク☆9 神話級
名前クトゥグア
レベル対象外
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今、降臨す。
自らの存在すら諸共に焼き尽くす、神威の具現を体感し、私の意識もまた消滅していった。
アレイスター王国。
大陸の西半分、全土の実に4分の一を占める国土。
黒い結界に封じられたその全てを。
邪神ナイアルラトテプの断片ごと、神の炎が、”焼滅”せしめた。
残されたのはただ一人、禁忌なる魔導人形の少女”紗雪”。
そして、未だ無傷でそびえたつ、巨大な開きかけの扉。
残る見渡す限りの全ては、底の見えないほど深い、深い、空虚へと変じていた。
地平線の彼方まで……。
【エリアアナウンス:“☆9 神話級 クトゥグア”はフォーマルハウトへと帰還しました】
【サーバーアナウンス:アレイスター王国、並びに同国土が、消失しました】
【パーティーアナウンス:邪霊”断章:ナイアルラトテプの断片”へのオーバーダメージならびに、特殊条件を達成。”☆9 邪神ナイアルラトテプ”の神核に損傷が与えられました】
【サーバーアナウンス:☆8 禁忌級クエスト 「供犠姫-策謀阻止」 をプレイヤー「ナオ」がクリアしました】
【パーティーアナウンス:☆8 禁忌級クエスト 「供犠姫#5-策謀阻止-策謀の中心へ」をクリアしました】
【パーティーアナウンス:秘匿☆8 禁忌級クエスト 「供犠姫#6 (秘匿) -策謀阻止-暗躍する混沌」をクリアしました】
【パーティーアナウンス:プレイヤー”ナオ”の意識レベルに問題を確認。クエスト評価結果を自動適用します】
残された、ただ一人命永らえた者、紗雪が気が付きました。
視界の隅に映るパーティー欄には、”ナオ(封印体)”、”ルナリス”の2人の名前が、確かに白く、表示されている事を。
それを裏付けるように、彼女の脳裏にアナウンスが響きわたった。
【パーティーアナウンス:”ナオ”, “紗雪”, “ルナリス”のレベルが100に到達しました。ランク2上限、レベルキャップを超える経験値は、特定の条件達成時に還元されます】
【パーティーアナウンス:“ナオ”, “紗雪”, “ルナリス”に、称号”神へ刃届きし者”が授与されました。称号に付随し、アイテム”☆8 可能性の結晶”を獲得しました】
【パーティーアナウンス:プレイヤー名”ナオ” 顕現体/表 のキャラクターデータが凍結されました】
アレイスター王国全土を覆う、黒い結界は消滅した。
だが、開けた視界の先に、あるべき大地は存在しなかった。
ただただ、底すら見えない、虚無が足元に広がっていた。




