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記憶と報告

 ん~~頭がくらくらするわ。

たしか私は記憶を見る魔法を使って、それで…………


 「あ! 起きたみたいですね」

そう、私はこの子の()()()()()()()を使ったのよね~。

フレアちゃんが連れてきた子だから気になって使っちゃったけど、まさか失神しちゃうなんてね~。


 「ん~~~、私はどれぐらい倒れていたのかしら~?」

ベットに運ばれているから、気絶してすぐに起きたってことではないみたいね。


 「1時間ぐらい寝ていましたよ、それで体は大丈夫ですか? いきなり倒れてびっくりしちゃいましたよ」

困った様子でそんなことを言う()()

でも正確に言うなら()のほうがいいのかしら?


 彼の記憶を見たと言っても、あまりの情報の多さに頭が負荷に耐えられなくて意識を失ってしまったから、すべての記憶を見れたわけじゃないけれど、彼女の、、、コホン、彼の大まかの出自と性格、それと現状は理解できたわ。

―――――――事情が事情だから彼女、いいえ彼には悪いことをしてしまうけれど


 「介抱(かいほう)してくれてありがとうねぇ~、それでフレアちゃんはどこにいったのかしら? 見当たらないみたいだけど…………」

彼女からここに来たのに今この場にいないのはとても不可解だから当然とも言える質問だ。


 「フレアならいつ起きるかわからない相手を2人で待ってもしょうがないって言って、冒険者ギルドに用事があるからって言って出かけちゃってますよ」

なるほどね、それなら好都合だわ。


 「それで、その、いきなり俺の方を見て倒れていたからさ、その、どうしてなのかなって聞きたくて」

…それもそうよね~。

いきなり倒れた相手が自分をみて失神するなんて穏やかじゃないものね、記憶のことで私も驚いていたから忘れてたわ~。


 「倒れた理由はこう言えばわかるかしら~? クリュー()()


 「ッ!!! 俺の性別わかって……どうして? やっぱり元の体の持ち主と知り合いなんですか?」

あら、なんか変な方向に誤解しちゃっているわね~。

私は記憶を見ただけだから、元の持ち主のことなんて当然知らないから困っちゃうわ。


 「違うのよ、私はあなたの記憶を見ただけなの~、だから前の体の持ち主のことは知らないわ~」

そういうと、彼はガックリとうなだれてしまった。


 「元の体に戻る手掛かりが掴めると思ったんだけどな、そんなにうまくいかないよなぁ。それで俺の記憶を見たんだよな…なら地球に居た頃の記憶も見たってことでいいんだよな?」


 「もちろん見たわ~、それで私から提案があるんだけど~、…ちょっと近くに来てくれるかしら?」

そう言いながら、私はスリープの魔法を無詠唱で唱え始める


 「ん? もっと近くにってことか、なんかドキドキしちゃうな、って性別ばれてるからセクハラじゃんか、あはは」

そんなことをつぶやきながら全く警戒しないで傍まで来る


 「それでね、私が言いたいことは…………おやすみなさい♪」


 「ん? おやすみってどういうこt……………………」

 

 「つんつん、お~い、おきてるかしら~?」

 

 「……………………………」

うん、ぐっすり眠っているわね。

あどけない表情で眠っちゃって、警戒心が死んでるんじゃないかしら~?

それじゃ、あとは世界樹の国(エルフの国)に運ぶだけね~。









  <フレアside>


 いま私が向かっているのは冒険者ギルドね。

いつか調査依頼の報告しないと、とは思っていたんだけどついついクリューちゃんと遊んでいたら忘れちゃうから、あいつが倒れている間に行くことにしたのよ。

報告するっていっても2日前に頼まれてた依頼の件についてだけど、詳しいこと、特にクリューちゃんのことは伏せるつもり、あの子は一応身元不明の少女ってことになるから、そのことで下手に勘繰られてクリューちゃんが嫌な思いをするなんて絶対にダメからね。

まぁ、私は嘘が下手だからばれちゃうとは思うんだけどね。

 

 「それにしてもあのフィニアの表情…」

あんな顔したフィニアは見たことがなかった。

今更だけど2人きりにして大丈夫だったかしら…………

いや、あの子に限ってフィニアになにかをするってことはないと思うけど…

逆ならどうかしら、フィニアがクリューちゃんに、なにかをするってことなら…いやいや、フィニアは私なんかよりも頭が良いから、きっと仲良くしてるでしょ。

でも、なんか不安なのよね。

あの表情が忘れられないのよ、普段のおっとりした感じがかけらも無くなるなんて、さっさと報告して戻ろうかしらね。




 「おう! ようやく戻って来たな!!!」

相変わらず元気でうるさいわね。

ちなみにこの場所はギルドの2階にあるギルマスの部屋で、今はこいつと私の2人きりの状況ね


 「大声でしゃべらないでよ、まったく、それでセイレーンの森の調査だけど、異常は確かにあったわ。あそこにクレセントボアが一体だけど、いたからね」


 「なに!!! 大丈夫だったのか?」

クレセントボアは討伐推奨ランクAの魔獣だからこの反応も無理はないだろう。

セイレーンの森は大体この町から5~6時間かければ着く場所にあるから、近場ともいえる。

そんな場所に普段見ないAランクの魔獣がいたらそりゃ驚く。

クレセントボアは普通に戦ったら確かに厄介な相手だ、大きいなりしてシュルシュルと素早く動いて接近するし、鱗は頑丈かつしなやかなため、致命傷を当てるのに時間がかかるし、しぶといしで結構な相手なはずなのよね…普通なら


 「大丈夫よ、でもクレセントボアは私に気付いたのに襲う気配がかけらもなかったのよね、一歩も動かずにこっちを見るだけで…一瞬罠なのかと思ったけど、倒しても何も起こらなかったから余計に謎なの」


 「…………本当に襲ってこなかったのか?」


 「ええ、奇襲を仕掛けたわけでもなく真っ向から挑んだのにね。ああ、もちろんケガして動けなかったとかはなかったわよ」


 「ふむ…あの獰猛な魔物が襲ってこないのか、何かありそうだが情報が足りないな、他には何か変わったこととかはなかったか?」


 「……………………特に()()()()()()わ」


 「本当に、だな?」


 「ええ、本当よ」

あの子のことを隠しているから、緊張するわね。


 「…まぁお前さんがそういうなら本当に()()()()()()んだろうな!」

薄々何かに気付いているみたいだけど、深く追及する気はないみたいね。

 

 ふぅ、これで一応報告は終わったからとっとと、あいつの所に戻りましょうかね。


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