初見で気絶されたら申し訳ないと思うことあるよね
「お~い、フィニア~~~いるかしら~~~!!!」
家の入口から大きな声で叫ぶフレア
「さっさと出て来ないとドアぶち破るわよ~~~!!!」
魔王みたいな発想やめような
「私を魔王呼ばわりする子はどこかしら?」
…破壊神みたいな発想やめような
もう心を読まれても動じません。
「修正入ったけど、大して変わってないじゃない、まぁいいわ。どうせ今日の夜に粛清、コホン、にゃんにゃんタイムが待ってるし…しっかし全然出て来ないわね、だったら仕方ないわ」
普通の人なら呼んでも出てこない場合は、日を改めてから出直すのだろうけど彼女が止まるわけもなく・・・
「ドアをぶち破るまでよ!!!」
そう言うと彼女は何もない空間から手を伸ばして当たり前のように剣を取り出した
え!!! 今の何? てかホントに壊す気かよ、止めないと!!!
「フレアちょ、ストップ、止まってって、破壊はまずいよ捕まるよ!」
慌てて止めるが間に合わず
ドカーン! バコーン! ドスーン!!!
破壊音と共に扉は跡形もなくなっていた。
「それじゃ中に入るわよ」
あははは、怒られるやん普通、なんで平然としているんだよ………
とはいえ、先を行くフレアに置いて行かれてしまうので慌てて後ろをついていく。
家の中は思ったよりも豪華な感じはしなくて、落ち着いた内装みたいだ、よくわからないツボとか絵画がいくつかあるけどそこまで豪華な感じはしないな。
いくつか部屋を無視してどこかを目指しているフレアの後を追う。
「確かこのへんにフィニアの部屋があったと思うんだけど…あ、ここみたいね♪」
そういうと当たり前のように部屋に入っていく
もちろん俺もついていく
チョキチョキチョキ…………………部屋にはそんな不気味な音が淡々と響いていた。
音の正体はおそらく彼女で間違いないだろう、後ろ姿で屈んでいるため何をしているかは不明だ。
「あんたいつまで盆栽弄っているのよ、いい加減こっちに気付きなさいよ!!!」
「ん~~~? あら~来ていたのね~? 久しぶりねぇ~、それでまた扉壊してきたのかしら~?」
そうおっとりした口調で彼女は振り向いて答えた
翡翠のような瞳に緑色のロングヘアーにおっきな果実が2つ実っている女性がこちらを見て微笑んでいる。
こりゃ、すごいな。
ナニがとは言わないけど、デッカイんですわ。
「扉をノックしてもどうせあんた出てこないでしょ、だったら壊して進む、それだけよ」
カッコイイセリフだけどフレアさんや、それ犯罪でしょ…
「壊されるかもしれないと思っていたから、鍵をかけないでおいたのだけどねぇ~」
それは無防備すぎると思いますよフィニアさんや。
「なら鍵は開いているって言いなさいよ、言ってないんだから私は悪くないわ」
無茶苦茶やんか。
「それで~、どうして今日はここにきたのかしら~? もしかして後ろにいるその子のことかしら~」
真っ直ぐに見つめる翡翠の眼が俺の方を見て微笑む
「そうなのよ、この子―――――――――って、ちょ、フィニア!!!」
フレアが水晶に反応がなかったことを説明しようとした所で予想外の事態になった。
フィニアさんがこっちを向いて微笑んでいたが、すぐに化け物を見るような表情に変わり、その後気絶したからだ。
「フィニア、ねぇ起きてってば…………………駄目ね、完全に気を失っているわ、でもあの感じはあの魔法を使って…だとしたら、クリューちゃんあなたは一体?」
何かを考えている表情のフレア。
言いたいことはわかる、フィニアさんは間違いなく俺を見て気絶していた、なんも心当たりはないんだけど。
あ!!! 俺の体の本当の持ち主が彼女と知り合いなら話は違うよな。
だとしたらフィニアさんが知っていて俺が何も知らなくてもおかしくはないはずだ。
「フィニアさんは俺の知り合いなのかもしれない、だから気絶したのかも」
「知り合いなのかもって、どうして自信がないのよ、知り合いなんでしょ?」
…………体を奪われたことを信じてもらえてれば、説明できるけど信じてもらえてないからな。
あまりしつこく奪われましたってアピールして不信感を持たれたら最悪の事態になりかねないからな、、、辛い。
「…………言えない事情があるならいいわ、とりあえずそこのベットにこいつを運ぶから手伝って」
少しだけ寂しそうな表情でフレアはそう言った。
体を入れ替える魔法が世界に存在すること証明できればすべて解決するんだけど、今この瞬間にはフレアの満足のいく答えは返せそうにもないから、諦めるしかない。胸が痛くなるが我慢だ。
しかしこいつ呼ばわりって、フィニアさんとフレアはかなり仲(?)がいいみたいだな。
そんなことを思いながら甘い香りのするフィニアさんをこの部屋に置いてあるベットに運んだ。




