どこかの街 屋敷内 4:本の理由
今回はきりのいいところが早くて短いです。
ようやくドロが立ち直り寝台に腰掛ける。
「さっきは取り乱した。悪かった」
「別にいいよ。ほら話の続きをしよう」
リージュは頭を撫でられた箇所を触り人形の影に隠れて喜んでいた。
「リージュ?」
「!?はい」
「さっきのお話の続きをしたいんだけど体調は大丈夫?」
リージュは頷き人形を隣に置いて話を聞く体勢に入る。
「僕達を王子様って呼ぶのはあの本の王子様が月明かりの中来たからだね?」
ウツワの問いにリージュが頷く。続けてウツワは言う。
「リージュは攫ってほしいの?」
ウツワはリージュに続けて問いかける。問いに対してリージュはまた頷く。
「どうして?」
ウツワが聞くとリージュは躊躇った素振りを見せてから言う。
「私、病気だからお外に出れない。お外に出たい。でも許してくれない」
「お父さんが?」
リージュはコクリと頷く。
「リージュ。リージュのお父さんはお外に出たら病気が悪化しないか心配なんだよ」
「でも出たい。お外を歩いてみたい。だから攫われたい。黒い王子様お願い。私を攫って」
「攫われることは決して良いことばかりじゃないんだよ?」
「それでもいい」
リージュはキュッとウツワの袖を掴む。ウツワは困った顔でドロを見て助けを求める。
「なら外に出よう。簡単な話だ」
さも当然というようにドロは言う。
「それはそうだけど出来るの?」
「出来るだろ。それに俺達がいるんだ。病気はどうしようもないけど身の安全だけは保証できるだろう?それに……」
「それに?」
「攫うよりいいだろ?」
「まあ…ね」
「よしじゃあ決まりだ!俺がリージュのお父さん説得してくるから待ってろ」
そう言うとドロは部屋を飛び出しリージュの父の元に向かう。
「行っちゃった。でも大丈夫かな?」
しばらくウツワとリージュは他愛もない話をしていると部屋にドロが笑顔で入って来た。
「明日だ、明日なら外に出ても良いってさ」
「本当!」
「ああ、ちゃんとお医者さんにも行っても大丈夫って言われたからな。ただし俺とウツワから離れないこと。これが絶対条件だ。いいか?リージュ」
リージュは嬉しそうにコクコクと頷き隣に置いた人形をぎゅっと抱きしめる。
「そうと決まれば今日は早めに眠りな。この頃は良くなってきたけど今日みたいに興奮で倒れたら大変だ」
「ドロ、まだ昼前だけど」
「いいんだよ。今言っておけば忘れないだろ?喜んでる時に釘を刺しておくのがいいんだよ」
「それって聞いてないんじゃ………」
「リージュだから大丈夫だ。な?リージュ?」
リージュはコクコクと頷く。
「心配だなあ」
はあっとウツワはため息を吐いた。
こうしてドロ、ウツワ、リージュの3人での外出が決まったのだった。




